中日新聞2003年2月16日(日)3ページ 経済総合
候補地削除に1年半
放射性廃棄物 核燃、報告書開示で
旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が、高レベル放射性廃棄物処分の調査報告書で全国約五十カ所を候補地としていた問題で、動燃の後身の核燃料サイクル開発機構(核燃機構)が、岐阜県の市民団体の情報公開請求から開示まで約一年半もの間、地名などの削除作業をしていたことが分かった。
核燃機構は、高速増殖原型炉もんじゅのナトリウム漏れ事故のビデオ隠しなど動燃不祥事の反省を踏まえ、「研究開発成果などは原則公開」とする指針を設けていたが、市民団体は「一年半も待たされて、原則公開のはずの報告書が空白だらけで出てくるとは思わなかった」と話している。
核燃機構によると、市民団体は二〇〇一年四月、十五冊ある報告書のうち東海地方の分を開示講求した。同機構は、外部の有識者からなる情報公開委員会が「詳細な地名は指針が定めた非公開情報に当たる」としたことを受け、地名を削除する作業を始めた。
削除されたのは市町村名のほか、山や河川、公園の名称や地図、温泉や鉱泉の一覧表など。核燃機構は請求から約一年半後の昨年九月、ようやく多数の個所を空白にした上で、市民団体に報告書を開示した。
市民団体は、候補地名を非公開としたのは違法として十七日にも、名古屋地裁に提訴する。
候補地削除に1年半
放射性廃棄物 核燃、報告書開示で