どうなっているの!! 岐阜市の情報公開
情報公開審査会の答申を受けて新たに開示決定
ところが開示決定どおりの開示ができない
そもそも岐阜市は情報公開が著しく遅れている
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設定 2007年5月13日
異議申立人(兼松秀代)は岐阜市内に搬入されたフェロシルトについての情報を岐阜市に開示請求しました。開示結果が他の自治体や岐阜県、国の機関などに比べても著しく不十分と考え岐阜市長に対し異議申立をし、情報公開審査会に意見書を提出し、口頭意見陳述し、情報公開審査会の答申を得、岐阜市の新たな開示決定も得ました。
しかし残念ながら岐阜市の新たな開示決定も岐阜県や土岐市の開示に比べ大変不十分で、遅れた公開状況です。
同時に岐阜市の情報公開の誤りの多さに驚いています。
1日も早く透明性の高い情報公開が実現することを願っています。
1.岐阜市の情報公開が極めて遅れていること
とりわけ法人の外形的情報(会社名、代表者名、所在地、連絡先など)の
公開が遅れていると強く感じます。
2.情報公開の手続きの過程で間違いが多いこと
当該文書を管理している産業廃棄物指導室があまりに単純な間違いをします。しかしその原因は、産業廃棄物指導室にあるのではなく、情報公開の担当部署となる行政管理部行政室が開示することの意味や意義を理解しないまま仕事をしていると考えるようになりました。
岐阜市の行政管理部行政室が情報公開の意味や意義、手続きを学び直し、最近の自治体の情報公開の動き、情報公開訴訟の結果を岐阜市の情報公開に反映させなければ解決は困難だと考えます。
<情報公開と異議申立の流れ>
情報公開は一般的にはなじみが薄いかも知れません。情報公開と異議申立、情報公開審査会の答申などの流れが分かりやすく書かれている神奈川県のホームページからご覧ください。
★
神奈川県 情報公開手続きの流れのイメージ図へ
岐阜市の
情報公開条例へ
岐阜市西部の水田に埋められたフェロシルトの撤去作業
(撤去作業は終了しました。)
異議申立人は神奈川県のイメージ図にあるように、岐阜市に対してフェロシルトについての開示請求をし、不開示は違法であると考える部分について、異議申立を行いました。
<経過>
2006年1月13日 請求 フェロシルトに関し保持するものすべて
2006年1月26日 開示決定
【資料 1】
2006年1月27日 文書の開示日
開示された文書名
1.フェロシルト搬入時期とその後の経過のわかるもの
【資料 2 抜粋】
2.撤去計画書
【資料 3 抜粋】
3.弁明書
【資料 4 抜粋】
2006年3月27日 岐阜市長に対して異議申立をしました。
【資料 5】
岐阜市長は異議申立に添った開示はできないと判断し、
岐阜市情報公開審査会に諮問しました。
2005年5月1日 岐阜市長の陳述書
【資料 6】
2006年6月6日 情報公開審査会に意見書提出※1
【資料 7】
2006年6月9日 情報公開審査会で口頭意見陳述
2006年7月5日 岐阜市市長は異議申立の一部を認めて開示しました。
【資料 8 抜粋】
しかし岐阜市が一部開示以外の部分については
開示できないとしたために情報公開審査会で審議
されました。
異議申立人はこの時の開示決定が不備違法であ
ることを主張し、岐阜市は新たな開示決定をしました。
2006年7月5日 当初の決定書
【資料 9】
2006年7月5日 差し替えのた決定書
【資料 10】
2006年9月4日 情報公開審査会に意見書提出
【資料11】
2006年9月6日 情報公開審査会で口頭意見陳述
2007年2月17日 情報公開審査会の答申を受理
【資料12】
答申の一部である経過の記録に欠落があった。
2007年3月1日 答申の一部変更通知の写し送付
【資料 13】
2007年4月11日 答申を受けた開示決定
【資料 14】
2007年4月13日 開示決定書及び開示部分受理
岐阜市長は情報公開審査会の答申を受けて、改め
て開示決定をし異議申立人に一部開示するとの決定
を行い、開示文書を送ってきました。
ところが、答申を尊重し答申に従った開示をすると
決定しながら、開示してきた文書に明らかな誤りが
あり、指摘しました。指摘に対する対応が未だにあ
りません。つまり、岐阜市長の決定に従った開示が
行われていません。
【資料 15】
<まとめ>
改めて、岐阜市の情報公開の主な問題点
1.情報公開が著しく遅れている。
特に法人の外形的情報公開が遅れている。
岐阜市は法人の外形的情報(会社名、代表者名、所在地、連絡先)の公開をしません。
情報公開審査会も岐阜市の決定を妥当と認めています。岐阜市の情報公開審査会自体が情報公開に遅れています。
情報公開審査会が開示を答申し、岐阜市長が新たに開示決定したのは
1.石原産業株式会社四日市工場元副工場長の氏名の公開です。
理由は新聞や岐阜県がすでに公開している情報公開だからとの理由です。
2.フェロシルト搬入ための「開発行為計画書中の開発場所の住所及びフェロシルト撤去計画に携わる業者の情報(社員名を除く。)を非公開とした処分は取り消すべきである」としたことだけです。搬入の経緯、搬入のための用地造成の設計などに関わった会社名などは不開示です。
いかに遅れているかを、ほぼ同じ事例としてフェロシルトの搬入経路と経過に関する岐阜県の開示文書と対比します。
岐阜市の該当開示文書の抜粋 岐阜県の該当開示文書
岐阜市
設計施工業者名、住所、連絡先、代表者の不開示
岐阜県
設計施工業者名や代表者、依頼者の開示
岐阜県への開示請求は2005年3月、開示が2005年5月19日です。フェロシルトが社会問題になる前に開示請求しました。
岐阜市への開示請求は2006年1月です。フェロシルトは岐阜市長により産廃と判断され、「生活環境保全上の支障が生ずる恐れがある」という理由で岐阜市長が石原産業に撤去命令を出した後に請求しました。岐阜市の情報公開審査会の判断はフェロシルトが産廃だから、搬入場所や撤去に関わる業者の法人情報を公開するのが妥当と答申しました。この論法から判断するとフェロシルトが産廃でなく、撤去命令が出ていなければ、開示しなくてもよいという答申をしたはずです。
しかし岐阜県はフェロシルトが社会問題であるなしに関わらず、法人の事業活動も公開するという基本的姿勢があり、その基本に添ってフェロシルトの搬入業者、場所、搬入業者(従業員の個人名は除く)に対する岐阜県の聞き取り調査の内容まで公開しています。
異議申立人は岐阜県や土岐市の調査や搬入場所や経緯などの情報を開示文書から得て、石原産業やフェロシルトにリサイクル認定した三重県に対して、撤去とリサイクル認定の取り消し求めていきました。
こうした経緯を振り返ると、岐阜市の情報公開がいかに遅れているか、市民を情報から遠ざけているかが分かります。市民を情報から遠ざけた密室で行われ違法行為の典型が岐阜市椿洞の善商の不法投棄の山であると思っています。岐阜市は善商の社長の名前および実質オーナーの名前を長いあいだ出しませんでした。異議申立人は異様に感じました。
しかし岐阜県も最初から良かったわけではありません。むしろ悪い自治体でした。岐阜県山県市の寺町知正さんが訴訟で一つ一つ勝ち取って透明性を高めました。その意味では住民次第です。岐阜市民が岐阜市に関心を向けないことの一つの現れでしょう。つまり書いている異議申立人への戒めでもあります。
2.単純な間違いや考えたかの誤りが何回も
岐阜市は本気で情報公開の意義や意味を学び、全庁で共有する必要があります。
誤りの具体例
(1)新たな決定を理解できずに不開示とした
岐阜市は審査会の答申を受け入れて、岐阜市内のフェロシルト撤去計画に携わる業者の情報(社員名を除く。)を公開すると開示決定しながら、岐阜市内のフェロシルト撤去計画書にある会社の代表取締役(社長の名前)と緊急時の体制の電力会社名及び所在地、連絡先をマスキングしました。
a社長は会社の代表者です。社員ではないので当然公開すべきです。
b緊急時の体制も撤去計画書に含まれるので、会社名前や所在地、連絡先は公開すべきです。
aについて担当課の産業廃棄物指導室に確かめたところ、
会社名は公開したが社長の名前は個人の名前だから非公開との回答した。あきれましたが、らちがあかないので、行政管理部行政室に異議申立人の問い合わせについて確認して欲しいと伝えました。
岐阜市の情報公開の責任部署である、行政管理部行政室長に確認しました。
室長 a、bも新たな開示決定に従って公開すべきである。
兼松 担当課の産業廃棄物指導室は情報の内容を判断した上で公開又は非公開の判断したのではなく、人の名前だから非公開だと機械的に判断したようです。この判断で良いのですか。 情報公開の大元である行政管理部行政室が最終確認して、開示するなど担当課のミスを防ぐ方法が必要ではないですか。
室長 そう思う。行政管理部行政室で確認したのだが・・・・・。
行政管理部行政室がチェックしたが、チェック機関の行政管理部行政室が間違えたというのです。チェック機関も理解できていないということです。唖然、暗澹たる思いです。岐阜市の行政管理部行政室は情報公開の意味と意義を含め一から研修をやり直す必要があると思います。
上記の状況で、2007年4月11日付の開示決定に従った開示が5月11日になっても実施されていません。
(2)情報公開審査会の答申の経過に漏れ
情報公開審査会の答申に付けられた、審議経過に間違いがありました。
極めて単純なミスです。意義申立人からいつ意見書が出されて、担当課からいつ
陳述書が出されたかは、経過に記載されるべきものですが、記載が抜け落ちていました。このような不正確な答申を得たことはありません。
異議申立人の指摘を受けて、情報公開審査会が答申を差し替えました。情報公開審査会も、事務局がいい加減な経過を書いたために、差し替えをせざるをえず気の毒です。
(3)公開しないと陳述書で主張しながら、間違って公開してしまった
担当課の産業廃棄物指導室が陳述書では公開しないと主張しながら、その部分を公開しました。
石原産業の四日市工場元副工場長の名前は個人情報なので非公開であると主張しながら、異議申立を受けて、2006年7月5日付で一部開示文書で開示してしまいました。これも意義申立人の申し出て差し替えました。
【資料 8 抜粋】の2ページと7ページを見てください。
(4)異議申立に対する開示決定の対処を誤る
異議申立の一部を認めて2006年7月5日に一部を開示した際、行政管理部行政室長は新たな開示決定通知書の必要性を理解できませんでした。
1つの事案に対し行政が下した決定を変更する際は、前回の決定をそのまま使うことはできません。新たな決定をしなければなりません。ところが 行政管理部行政室長は理解しませんでした。情報公開審査会長も理解しませんでした。何回話し合っても理解が得られないため、NPO法人情報公開クリアリングハウスの室長から行政管理部行政室長に電話で説明してもらい、約1ヶ月半後の2006年8月19日に差し替えを受理しました。
2006年7月5日 当初の決定書
【資料 9】
2006年7月5日 差し替えのた決定書
【資料 10】
私は行政の情報や国の機関の情報を時々に開示請求します。行政や国の機関の情報から、何をしたか、何をしようとしているか、その理由は何かを考えるためです。
そんな経験の中で意図的に隠すケースはありましたが、岐阜市のような誤りを頻繁に繰り返すケースは初めてです。このことを行政管理部行政室長に伝えると、私達も(こんなに発生することは)初めてだといいます。でも、室長の発言は本当でしょうか。行政と何回もやりとりすることが苦痛だったり、支援してくれるNPO法人を知らなかったら、面倒なやりとりはしないかも知れません。物を言ってこないことが、問題がないことと思うのは止めた方が良いと思うと室長にお伝えしました。
(※1 この際の逸話 意見書を出して更に意見陳述をするのは異議申立人が初めてとのことでした。これは驚きです。
更に行政管理部行政室から異議申立人への連絡が遅く、連絡を受けたときには意見陳述の日が迫っていました。他の自治体は異議申立人に口頭陳述の予定日を早めに知らせてくれたり、異議申立人に配慮した日取りにしてくます。
そうした経験を伝えてもう少し早く知らせる等配慮できないか、指定日に出席できなかった場合はどうしたら良いのかと、行政管理部行政室尋ねたところ、行政管理部行政室の担当者は、そういう場合は意見書を出せば良いと答えました。行政処分に不服があって異議申立をしています。意見書の提出と口頭意見陳述は開示請求者の当然の権利です。どちらか一方できたらいいだろうという考え方には驚くばかりでした。)
情報公開の作業は資料の存在の確認、開示不開示の判断、第三者紹介などに手間がかかります。それを実施してくれる担当者には感謝します。
しかし間違いや誤解を何回も繰り返すのは、情報公開の意味や基本を理解していないことの現れではないかと思います。
岐阜市は情報公開に対する考え方をもう一度学び直して、透明度の高い市政を運営されることを願っています。
私は情報公開の透明性の程度は、行政の健全性を測る1つのバロメーターだと考えます。
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