久しぶりに、鉄腕アトムを読む。
とてもとても、絵柄に騙されるがやはりアトムも重い。ロボット・アンドロイドは友達と言う『理想』とロボット・アンドロイドは奴隷・使役物という『現実』。
良い、実に、良い。現実に目を逸らさずに理想を見るその姿勢、実に良い。
アトムの世界では確かにロボットを好意的に扱う人間も居るがやはり基本は奴隷・使役物の扱いだ。たとえ人間が理由であろうともロボットがミスをすれば「この鉄屑野郎!」で終わり。
はっきり言って鉄腕アトムをある程度読んで明るいだけの子供向け漫画などと思っているようなのは本当に子供なのか頭の中がおめでたいかのどちらかだ。
例えば・・・アトムが真犯人に濡れ衣を被せられたりすることが何回かある。勿論アトムは否定する。でも周囲は信じない「壊れた」の一言でおしまい。勿論アトムはその後誤解を解いて事件も解決するわけだが・・・
解りますか?アトムは例えそれまでにどれほど人間の役に立っていようと殆どそれは役に立たない。酷い時なんて一番の理解者であるはずの御茶ノ水博士ですらアトムを信じない。
これの理由ってわかりますか?それはアトムがロボットだからどんなにアトムが弁解しても「回路が壊れたんだ」ハイ終わり。
人間だったらもう少しなんかやるんだろうが、ことロボットが怪しいとなったらすぐその線で決まり。同じくらい怪しい人間が居たとしてもまぁまず容疑はロボットに向きますねぇ。なんていったって「壊れた」で済むし実際アトムには人間を憎むロボットも出てくる。
でも、問題はもっと根本的なところから来てると思う。結局心底からはロボットの事を信用できてないっていうことだ。自分でつくって自分に逆らえないように作ってそれでもなお心底からは信用できない。業が深い事だ。ロボットを信じないで人は信じられるって言うんだから。
そりゃあ、裏切るロボットもいますがね。でもそれは人間の悪人が全体の何割かって言う問題と同じです。ロボットだってそういうのは居る。ただ人間と違うのはそういうロボットは、回路の故障以外の理由では100%、人間が悪事の為に作った元来からの犯罪ロボだと言う事。
さて、これでロボットの存在が悪だなんて言えますか?言えませんね、悪いのは人間だ。
ハ、ハハハ、滑稽滑稽。自分達でロボットに逆らえないようにロボット三原則で足枷はめて鎖で縛っているって言うのにそれでもまだ信用できない。結局、作った人間も信用できないということでしょうに。
普通のロボット達は人間に逆らえない、人間に酷い事されてもそれでも人間を慕う。アトムだって心がある、人間から酷い扱いを受ければ傷ついて泣く。それでも人に喜んでもらうとあんなに明るい顔で笑う。
はっきり言ってロボットからの人間に対する愛情と言うのは例えそれが、嫌、作られたときに人間に定められた事だからこそ下手な人間の愛情よりも深い。深いというのも正確じゃない。底が知れない。
だから、ロボットに憎まれるなんてそうとうのことですよ。

それから、人間が思う以上にロボット・アンドロイドは純粋だから、例えば主人の人間がサディストで愛情からサディスティックな行為に及んだら確実にロボットはそれを幸福と受け取るでしょうね。ロボットを幸せにしたいなら本気で「好きだ」と思って何かをする。嘘だったら、いや嘘でもロボットはそれを幸せにするでしょう。
人間だってそう言う人はいる。私はロボットは基本的にそういう姿勢だと思ってる。傍から見てどんなに残酷な扱いでも、見てるほうが納得できなくてもそこに主人とロボットの間に情があればロボットは幸せなんですなぁ・・・
ロボットの哀しみは仕える主人と認識した相手から引き離されたり、相手にされなくなったり廃棄される事。どんな扱いだろうと傍において貰えて愛情があれば幸せ・・・か。
だから、哀しいんでしょうねぇ、ロボットってぇのは・・・

こ、こいつ・・・何をいって・・・駄目だ・・・ここは・・・善くない場所・・・だ・・・