かくれた名作2 2001/1/22

さらばタイムマシン
千代島雅(1991北樹出版)


 1冊まるごとかけて、タイムマシンの可能性を否定

 この本の特徴は、1冊まるごとかけて、タイムマシンの可能性を否定するところにあります。
よくそんなことする気になったよな。

 読者としてのターゲットは?

 タイムマシンの可能性を論証した本ならともかく、否定するだけの本なんて、普通読もうとは思わないよね。
 これが超能力かなにかの否定論だったら、いちおうそれを否定する人であっても、やはり可能性を捨てきれないこともあって、興味を向ける人もいるかもしれないが、タイムマシンを否定する人っていうのは、もともとタイムマシン自体への関心もない人で、それが普通だもんな。
 一方、タイムマシンを肯定する人のなかには、読む人もでてくるかもしれないけど、これもごくわずかの範囲に限られるよな。

 千代島氏の主張

 にもかかわらず、千代島氏がこの本を執筆しようとした動機は何なのか。彼の懸念は、このようである。
 タイムマシンの風潮が拡まれば、世間の人は、人生をもとに戻ってやり直すという、過去への後ろ向きの観念に束縛されることになるのではないか。しかし、本当はタイムマシンなどはないのだ。だから今こそ、タイムマシンと訣別し、未来に向かって歩み始めようではないか。

 だから、そんな心配いらないって (^_^) 


(追)2001/10/11
 本書の全面的書き直し版の、『時間とタイムマシンの哲学』(2001年10月北樹出版)という本が刊行されました。
 内容はたぶんそんなに変わらないとは思いますが、また後日ご報告したいと思います。
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