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マット・ストライフ、というのが彼の名前だった。霜に覆われたシリンダーの中から、黒髪の若い青年の姿がぼんやりと垣間見える。もしかしたら血縁なのかもしれない、と思うとなんだかうれしくなってしまって。というのがメリルの話で、見つけて以来時々会いにきているのだという。だって、次にいつ会えるか分からないでしょう?と彼女は笑顔のまま、周囲と同じような氷点下の冷たい、射るような視線を投げかけた。 彼はメリルの視線にびくつきながらも、なにか釈然としないものを感じていた。さんざん探した挙げ句にこの結果は納得できない。 むっとしたヴァッシュは戻ることにした。僕は皆に言われたように彼女に会いに来たんだし、責任は果たしたよね。そっとメリルの側を離れる。部屋に戻るよ、とぼそぼそと呟いた。ややあって、背後から静かな問いが投げかけられた。 「・・・・・・怒ってますの?」 「は?どうして?・・・君もそろそろ戻った方がいいんじゃないかな。冷えるし」 メリルは顔をきっと上げて、ヴァッシュを見据えた。それからわずかに口をすぼめた。 「嘘。ヴァッシュさん怒ってますわ」 「・・・怒ってないよ」 「怒ってますわ。顔が怒ってます。私、何かしましたか?」 ヴァッシュははっとして、顔に手をやった。怒る?彼は困惑してメリルを見つめた。二人はそのまま少しの間、じっと見つめ合った。 やがて、メリルは少し寂しそうな笑顔を見せてから彼を通り過ぎ、まっすぐ出口へと向かった。慌てて後を追うと彼女は振り返り、ごめんなさい、私、こどもじみてましたわね。とそれだけ言ってまた歩き出した。 ヴァッシュは焦って彼女の腕を掴んだ。ぎょっとしてメリルが振り返る。ヴァッシュは動揺のあまりしばらく口が利けなかった。動悸が否応なしに高まっていくのを必死で抑える。 「あ、いや、なんていうのか、その」 せっかく見つけたのに、君が僕を見ないから。 「・・・ッ、ええと」 ヴァッシュは突然メリルを抱き寄せた。 「が、がはっ!ヴァッシュさん、く、くるし」 「あ、ご、ごめん!その、寒いかな、と思って」 メリルは笑い出した。そしてそのまま腕を背中に回す。 「これで寒くないですわ」 メリルはその日の午後から、風邪を引いたという。 FIN |
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なんじゃこりゃー! あーえー、言い訳するとシナリオっぽいものが書きたかったのです。ト書きだけ、みたいな。淡々と事実だけが書いてあって・・・という。ただ私の実力ではただの萌え作文にしか見えないんですが。わーん。 タイトルはOvalの曲から。もうちょっと、タイトルにちなんだような話にしたかった・・・うっ(泣)。 |