| 位置情報システムについて 位置情報システムはGPSが代表的ですが、その後各国も独自システムを開発しているようですので概要をまとめてみました。 @GPS(アメリカ) NavstarGlobalPositioningSystem GPSシステムは全地球上をカバーするシステムで1978年初号機打ち上げ。軌道面数6×4機で24機がサービス中、予備機を含め32機が軌道上にあるようで軌道高度は約2万kmのようです。測位精度は民間用に公開されているCA符号1.023Mcpsで約10mとのことですがイラク戦争が始まったときにはSA(セレクティブアベイラビリティ)がかけられ数100mの誤差が発生したり、軍用受信機が不足し民間の受信機を使用することになった時はSAが解除されたという話もあるようです。軍用のP符号は10.23Mcpsで高精度になっており巡航ミサイルの誘導や海洋での船舶航行、航空機の航法のほか砂漠での車両位置確認などで活用されたようです。米国国防総省が軍用目的で運用し一部が民間に開放されており、衛星の運用情報も公開されています。年間経費は700億円程度とのことです。 Aガリレオ(ヨーロッパ+中国) Galileo 全地球上をカバーするシステムで2005年12月実験1号機打ち上げ。2008年4月2号機打ち上げ軌道面数3で30機で運用、軌道高度約2万3222km、2011年11月2機、2012年10月2機で軌道上4機、2014年までに18機で初期サービスを提供開始とのことですが2014年8月22日に打ち上げた衛星2機(5基目、6基目)の軌道投入に失敗し部分運用にとどまっていましたが2016年12月15日から初期運用が開始されたようで、測位精度は1m以下とのこと。将来の有料サービスでは測位精度数cmとのことで、EU(欧州連合)、ESA(欧州宇宙機関)などが運用しているようです。当初予定の3倍を超える1兆2000億円が投じられたとのことです。 Bグロナス(ロシア) GLONASS 1976年開発を開始。全地球上をカバーし1982年初号機打ち上げ、1996年に24機となりましたが、ソ連の崩壊後の経済危機で一時中断したようですが、2011年12月に軌道面数3で24機体制が復活、2014年11月現在28機が軌道上にあるようです。軌道高度約1万9千kmで民間用の測位精度は7m。ロシア連邦宇宙局が軍用に運用しているようです。 C北斗(中国) コンパスCOMPASS 全地球上をカバーし2000年に実験機を打ち上げ。静止衛星、準天頂衛星、中高軌道衛星の35機配備、軌道高度3万6千km及び2万2千kmで民間用が10mの精度とのこと。中国ではGPS衛星システムの電波に対し妨害電波が送信されているため、GPSシステムが使えないようになっています。巡航ミサイルに目標を攻撃されないようにしているとのことです。また、軍需工場の多い四川など内陸部の企業振興のため、2011年から北斗衛星の民間活用を推進し華為、ZTEなどの携帯電話への搭載を義務づけて、華為などは北斗の信号を受信できるスマホが1億5000万台を超えたようです。なお、中国へ乗り入れる航空機への搭載も義務づけ、情報収集を加速するようです。 中国は全世界向けサービスを2020年までに開始する予定でしたが、米中貿易摩擦の中で覇権争いに勝つため前倒しして2018年12月27日にサービスを開始したと発表しました。ただし、位置情報の誤差が2.5〜5mの北斗3号は19基のため精度の低い北斗2号と組み合わせた運用のため当面は精度が10m程度となるとのこと。今後020年までに北斗3号衛星を11基追加するようです。 DIRNSS&GAGAN(インド) GAGAN(GPS Aided GEO Augmented Navigation) 特定地域をカバーし3機の静止衛星と4機の地球同期軌道衛星の7機で運用予定で測位精度20m以下。IRNSSは2011年から打ち上げ予定でしたが実際には2013年7月、2014年4月、2014年10月に打ち上げ現在3機のようです。GAGANはGPS補完システムで2010年4月に初号機の軌道投入に失敗し、2011年5月、2012年9月と打ち上げたようです。 E準天頂衛星システム(日本)。 準天頂衛星(QZSS)は西太平洋をカバーしGPS衛星の補完システムで、3個あれば24時間GPS衛星の補完が出来ますし、7個あれば自律システムとして運用できるようです。測位精度は2m以下で数cmを目標としているようです。2017年6月1日に2号機、2017年8月19日(当初予定8月11日がHeタンクバルブ交換で遅れ)に3号機(静止軌道)、2017年10月10日に4号機衛星を打ち上げ、2018年11月1日から24時間サービス開始、2020年に1号機の後継機、2023年に5号機、6号機、7号機衛星を打ち上げ予定。 3号機は静止衛星で、全長19m、発電能力6.3kWで初号機より1kW大きく、寿命も15年と初号機より3年長い設計のようです。 FGPSに頼りすぎています。 日本はGPSに頼りすぎています。GPSはカーナビの他、海上での船舶航行や航空機の航法など交通機関で使用されているほか、携帯電話基地局の周波数や基地局識別データの位相同期にも使われています。GPSの暦は1980年1月6日を基点とした10ビットの週番号で構成されているため1023週の次は0週に戻ります、2000年問題の前に1023週(約20年)の1999年8月22日の翌日に1980年に戻るというロールオーバー問題が発生しました。カーナビは20年も使うことが想定されていないようですのでGPS受信機の製造時にオフセットがかけられていると20年後に傷害が発生します。 GPS傷害が発生すると交通機関が麻痺するほか携帯電話も使えなくなります。その他にGPSに頼っているTV放送中継も見られなくなります。 |
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