アンテナゲイン

@ アンテナ絶対利得(dBi)
   基準空中線が等方性アンテナの場合の比。
   概ね1GHz以上の周波数で用いられます。

A アンテナ相対利得(dBd)
   基準空中線が半波長ダイポールアンテナの場合の比。
   通常ダイポールアンテナが一般的
   概ね1GHz以下の周波数で用いられます。
   0dBd=2.14dBiとなります。

B EIRP(等価等方輻射電力)
   等価等方輻射電力は空中線電力にアンテナ絶対利得を乗じた
   (dBでは加算)ものです。

C ERP(実効輻射電力)
   実効輻射電力は空中線電力にアンテナ相対利得を乗じた
   (dBでは加算)ものです。

 電波法施行規則ではアンテナ利得は3種類規定されており、上記の「アンテナ絶対利得」、「アンテナ相対利得」の他に「短小垂直アンテナ利得」があります、ご参考に施行規則のアンテナ「空中線」利得関係の条文を掲載します。
 ちなみに施行規則では「アンテナ利得」ではなく「空中線の利得」と記載されています。

 なお、アンテナ利得は正しく理解する必要があります。アンテナ利得を低く見せようとして誤った理解をしないように注意しましょう。設備規則では空中線を設置する位置の近傍にあるものであって電波の伝わる方向を乱すものや給電線からの輻射も含めることと規定されています。
 その他、誤った主張を以下に紹介します。

(a)八木アンテナなのに、導波器や反射器は針金が転がっているだけで、直流的に接続されていないのだから、ダイポールアンテナのみの利得で、誤った低いアンテナ利得を主張することはできません。
(b)カセグレンアンテナなのに、放物面の中華鍋が転がっているだけだからホーンアンテナのみの利得で、誤った低いアンテナ利得を主張することはできません。
(c)送信アンテナに円偏波アンテナを使っているのに、受信アンテナが直線偏波アンテナなので、円偏波アンテナの利得を3dB低く評価しろと主張することはできません。
(d)コーナリフレクタアンテナでは反射板の角度を変えると、アンテナ利得が大きく変わります。たとえばノートPCなどではアンテナ位置とディスプレイの開き角度によってアンテナ利得が変わる場合は、最大となるアンテナ利得で評価しなければいけません。低い利得の開き角度の利得を主張することはできません。

電波法施行規則第2条第1項
第七十四号「空中線の利得」とは、与えられた空中線の入力部に供給される電力に対する、与えられた方向において、同一の距離で同一の電界を生ずるために、基準空中線の入力部で必要とする電力の比をいう。

注:省略。
第七十五号「空中線の絶対利得」とは、基準空中線が空間に隔離された等方性空中線であるときの与えられた方向における空中線の利得をいう。
七十六号「空中線の相対利得」とは、基準空中線が空間に隔離され、かつ、その垂直二等分面が与えられた方向を含む半波無損失ダイポールであるときの与えられた方向における空中線の利得をいう。
第七十七号「短小垂直空中線に対する利得」とは、基準空中線が、完全導体平面の上に置かれた、四分の一波長よりも非常に短い完全垂直空中線であるときの与えられた方向における空中線の利得をいう。
第七十八号「実効輻射電力」とは、空中線に供給される電力に、与えられた方向における空中線の相対利得を乗じたものをいう。
第七十八号の二「等価等方輻射電力」とは、空中線に供給される電力に、与えられた方向における空中線の絶対利得を乗じたものをいう。
第七十九号「水平面の主輻射の角度の幅」とは、その方向における輻射電力と最大輻射の方向における輻射電力との差が最大3dBであるすべての方向を含む全角度をいい、度でこれを示す。



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