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はっとする。その僅かな顔色の変化に気づいたように、クローン人間はやんわりとした笑みを浮かべながら服を脱ぎ始めた。血に濡れていない白い肌が覗く。
「昔はいつもボクに優しくしてくれたでしょ?」
柔らかな、まだ少年の身体。峻の身体に、弘毅は動きが止まる。
「あの子より、きっとボクの方がイイと思うよ」
「!?」
驚く弘毅にクローン人間はにっこり笑む。
「ボクの方が、もっとコウキを悦ばせてあげられる」
クローン人間は弘毅に両腕を差し伸べる。
「コウキ、昔のようにボクを抱き締めて。愛してるって言ってよ」
甘くねだる。峻の声で、峻の顔で。弘毅は握り締めた拳を震わせる。
「峻…」
「そしたらボクのすべて、あげるよ。ボクはコウキのものだよ」
「…メロ…」
クローン人間は弘毅の手を取り、自分の肌に触れさせる。
「大好き、コウキ。ね、もう一度ボクとしよ?」
「…やめろ、やめてくれ…」
弘毅は呟いて、クローン人間を抱き締める。
「峻…峻…峻…」
胸が苦しい。こんなことを言わせたくなかった。すべて自分の所為だった。自分が言わせたのだ。
顔を上げて唇を近づけてくるクローン人間。閉じた瞼。峻のあどけないままの顔。
弘毅はそれにそっと顔を近づける。
と、その時のことだった。
足元が揺れたと同時に、地面が盛り上がってきた。
「え…っ?」
弘毅はバランスを崩して、盛り上がった地面でできた坂を転げ落ちる。
「うあああっ」
クローン人間は転がり落ちる弘毅から離れ、山の上で体勢を保つ。
弘毅は地面に落ちてから、何事かと頭を振って顔を上げる。
背後から声がした。
「何やってんの、松田弘毅っ」