第2章
再会と決別
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 まだ何か言い返したかったが、寛也は仕方がないと、部屋を出て行った。

 それを見送ってから、翔は潤也に向き直る。

「成る程。役目を与えておけば無茶なことに首を突っ込む間もないってことですね」
「今、ヒロを失う訳にはいかないからね。単独行動を控えてもらうよ」

 多分、杳が一緒にいなければすぐにでも紗和の元へ殴りこんでいっていたに違いない。杳をまず安全な場所に連れて行くことを最優先にしたのは、褒めてあげてもいいくらいだったが、甘い言葉はかけないでいることにした。

「で、実際、どうするつもり? 新堂くんが敵につくなんて」
「あの人はあの人なりの考えがあるんです。僕達は僕達の考えで動くしかありません。少しきついかも知れませんが」

 少しどころではない。地竜王は守りの要だった。その彼が抜けるとなると、守りが手薄になりすぎる。それを指摘すると、とんでもない言葉が返ってきた。

「その点は潤也さんにお願いしますよ」
「僕ーっ? ちょっと待ってよ、それって…」

 守りに回ると言うことは、即ち前線から退くという事である。極めて心外だった。

 その潤也にボソリと耳打ちをする翔。

「杳兄さんもいますから、役得ですよ」

 抗議の言葉を探していた潤也は、うっと息をのむ。

 翔の真意は、全力で杳を守って欲しいと言うこと。四天王の要でもある風竜を前線から外してでも守りたいと言うものだった。

「戦力ダウンは仕方ありません。どちらにしても、勾玉は死守しないといけませんから」

 一番厳しいのは翔の立場かもしれないと、翔の横顔を見ながら潤也は思った。

「ああ、それから、静川さんにも連絡をお願いします」
「OK」

 潤也は軽く返事をして、部屋を出ていった。

 潤也が出ていくのを見送って、一人になった翔は誰にも見られることなく、小さくため息をついた。

「勝てない…か…」

 握り締めた拳に力を込める。

 だけど負けられないのだ、負けるわけにはいかないのだと、自分に言い聞かせた。





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