第4章
告白
-4-

4/4


「授与式、終了」

 呆然とする寛也の前から、杳はスッと離れて立ち上がる。

「あ…あの…杳…?」
「じゃ、オレ、帰る」

 そのまま部屋を出て行こうとする杳を、慌てて引き留めた。

 もういい、本能のままに行動しなければ、絶対に後悔することになると思った。

「待てよ、杳」

 掴んだ腕を引き寄せると、抵抗はなくベッドの方へ戻ってきた。その身体を抱き寄せる。

「な、もう少しいてくれよ」

 抱き締めた腕の中で、杳は居心地悪いのか、少し身じろぐ。

「…仕方ないな」

 ポツリと言う言葉とは裏腹に、杳の頬は朱色のままだった。

「杳…」

 名を呼んで、そっと腕の力を緩めると、杳は顔を上げる。その杳にそっと囁くように告げる。

「好きだ、杳。お前が許してくれるなら、俺の恋人になって欲しい」

 ピクリと、腕の中で杳の身体が震えた。答えは分かっている。だから。

「今すぐ答えを出さなくていいよ。いつか答えてくれたら、それでいい」

 その背を撫でながら言うと、杳は寛也の胸に頬を寄せてきた。

「答えが出せないままになるかも知れないけど…それでもいい?」

 それは、自分の命の尽きる時を知っているかのような答えで、いたたまれなくて強く抱き締めた。

 華奢な身体は、熱を出している寛也よりもずっと弱々しくて、儚かった。

「待ってるから。ずっとお前の答え、信じて待ってるから…」

 耳元で、そう繰り返した。





<< 目次 第5章へ