第 2 話
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「な…何でだー?」
どこをどう調べたのか、次の日の朝、エドガーがセフィーロの泊まる宿へやって来た。そして一夜にして増えてしまった同行者に、目をまるくしたのは言うまでもない。
「これじゃあ団体旅行じゃないかっ!」
エドガーはライムに怒鳴るが、ライム自身昨夜のことを殆ど覚えていないらしかった。もしかしてあの事も覚えていないのかと、聞くに聞けないセフィーロも<すこぶる機嫌が悪かった。
「あんたが一晩中どっかの女とチャラチャラしている間に、出発してやっても良かったんだけどよ、待ってやっただけでも有り難いと思えよ」
「何だと?」
機嫌の悪い二人が睨み合うのを、仲裁に入るのはリオンしかいなかった。
「まあまあお二人とも。旅は道連れと言いますし、仲良くしましょうよ」
のんびりとした口調でそう言われて、セフィーロは力が抜けそうだった。エドガーも、ライムが承知したのならばと不承不承であった。女遊びが云々と言われれば、言い返せない立場であった。
「足手まといになるようなら、容赦なく見捨てて行くからな」
そう言ってエドガーは折れた。
「やったー。ライム、これでいつも一緒だね、僕達」
マルスはそう言うと、ベッタリとライムにくっついた。思わず引きはがしてやろうかと、一歩足を踏み出したセフィーロの目の端に、ふと、エドガーの姿が映った。
心なしか、眉間に縦皺を寄せ、ライムを見つめていた。何を考えているのかと不審に思っていると、それに気付いて振り返る。
「何だ?」
「…別に」
昨夜のことなど教えてやるものかと思った。
ライムの頼りなげな背中など気付かなかったくせにと、背いた視線の先にその人物を認めながら。