■ 恋人志願 ■

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 がっくりと肩の力を落とすタケルを抱き起こしたのは悠史だった。

「いいんじゃないの。タケルだって気持ち良さそうにしてたし」

 悪びれた様子もなく言う悠史を、タケルはギロリと睨む。

「違うなら始めっからそう言えよっ」

 悠史の手を振り払って立ち上がるタケル。と、その股間を、とろりと伝い落ちるものがあった。白く濁った液体――悠史との関係の証だった。

「っくしょう…」

 タケルはそのまましゃがみ込む。はらわたが煮えくりかえりそうになるのを、悠史が柔らかく抱き上げて、ベッドの上に軽く投げ込んだ。

「何を…?」

 抵抗しようとするタケルの唇をふさいで。

「いいじゃない。このまま僕の恋人になっちゃえよ」
「な…!?」

 タケルは悠史の手を払いのけようとするが、その前にシーツの上に押さえ付けられた。

「僕もそろそろ恋人が欲しいと思っていた所なんだ。お年頃だしね」

 しれっと言って、悠史は再び元気になった息子をタケルの中へ平然と滑り込ませた。すんなり入る悠史のものに、タケル自身も再び熱くなり始める。

「うああん…」

 タケルは抵抗しようにも、自分自身の身体が悠史のものを含んでしまって離れなかった。悠史の手が慣れたものを扱うようにタケルの身体を丹念に煽っていく。

「このまま朝まで楽しもうよ」

 そう言いながら突き上げる場所は、もう熟知していた。

 既に悠史の手中に落ちてしまったタケルは、それでも何とか首を振って抵抗するものの、身体は何としても悠史のものを銜え込んで放そうとはしなかった。

「っくそ…」

 悠史の下で無意識に腰を振り上げながら、タケルは今日の仕事が完了しなかった始末書をどう書こうかと考える。が、その考えもやがて悠史の紡ぎ出す律動に呑まれていった。

 二人の長い夜は始まったばかりだった。



   end






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