■ じらされて ■
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「や…あは…やあああん……」
熱い疼きにセレムは細腰を捻らせた。
その中心には、ねっとりとした嫌な匂いのする薬が塗り込められていた。それが夜の空気をしっとりと纏わり付かせ、じくじくとセレムをいきり立たせていた。
熱く熱を持ち、はち切れんばかりに太く堅くなっていた。先端は天井へ向けてそそり立ち、解放される時を今か今かと待ち焦がれていた。
しかし、それは叶わなかった。
いくら慰めようにもセレムの両手は頭上のベッドの支柱に括り付けられていた為、セレムはただ腰を振ってその苦痛に耐えるしかなかった。
快楽に辿り着けない、果てしない苦痛だった。
そして、セレムを本当に苦しめているもうひとつの場所があった。セレムの股間の更に奥、ピンクに染まった秘所にはセレム自身に塗られている物と同じ薬が塗り込められていたのだ。
セレムはその場所に、長い指で丹念に塗り込められた時の事を思い出し、一層熱くなる。
「う…あはぁん……たすけ…てぇ…」
気が変になりそうだった。
レイヴァンによって教え込まれた身体は、幼い少年を官能の渦中へと放り込んでいた。
身を捩り、シーツに己自身を擦り付けて慰めようとしても、あと少しの所でそれは届かず、いや、微かに先端がシーツに触れて、それがかえって余計に熱く猛らせていった。
身悶えるセレム。
腰を大きく振り上げ、ベッドに振り降ろす。
その振動に一瞬慰められるが、次に襲って来る尚一層の疼きに、セレムは更に腰を上下させる。
足を開き、膝を立て、腰を激しく上下に振る様は、下から眺める男に取っては最高の見物だった。
セレムはそこに据えられた鏡に、自分の淫らな姿を見ながら、隣のシャワー室の男を思いやった。
避暑地の別荘へ行かないかとレイヴァンに誘われて、セレムはこの屋敷へやってきた。ストレスの多い戦いの中、ほんの一時の解放感を味わおうと、半ば強制的に連れて来られたのだ。
白樺の生い茂る、清々しい風の吹き渡る絶好の休息地だった。
ここでいつまでレイヴァンの慰み者になれば済むのだろうか。
「おもいっきりいい汗、流そうぜ」
そう言ってレイヴァンはときめくような笑みをセレムに向けた。
それでも最初は、来て良かったとセレムは思っていた。心ひそかに思うようになったレイヴァンと二人で過ごせるのだ。
それに、澄み渡る空、小鳥のさえずり、何を取っても心休まる光景だった。
「じゃあ早速旅の疲れを癒すために、シャワーでも浴びるとするか」
そう言ってレイヴァンは勝手知った別荘へ足を踏み入れた。
多少の疑念を持ちながらも、セレムはその後に続いた。