いつのころであったか、鍵をひろいました。 人間の手のひらくらいの鍵です。
いや、ひろった・・とは言えないかな、私の下に落ちていたのを、誰かが私に巻き付いている針金に引っかけて行ったのです。
いや、鍵・・とは言わないのかな、かんぬきと言うのかな。
とにかく、この鍵みたいなものを持つようになったら、自分がマンションやビルになったような気がしてきて、ビルの管理人にもなったような気がしてきて、なんとなく「責任感」が出てきたような気がしています。頭の上をモノレールが通らなくなって、このごろはこちらが本業かな。
もちろん、この鍵の持ち主さんがあらわれたら、お返ししますよ。わたくしこと、54番まで来てください。 |