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はしらのはなし・52番


(はしらを桜並木に、二ヶ領用水の柵の影を豆電車のレールに見立てて・・)

 今年も桜の季節がやって参りました。向ヶ丘遊園地の跡地の桜は、今年は見てくれる人も少なくて、地元の人たち
が遠巻きに美しさを確認しているくらいです。去年(2002年)の桜はとても早く咲いて、遊園地の最後の賑わいに文字通り花を添えていましたっけ。観覧車もジェットコースターも消えたこの春、桜はこの丘の主人公です。

 桜と言えば・・・、私たち「はしら」も、桜とは縁があります。モノレールができる前、豆電車がここを走ってい
た頃は、桜並木があったそうですね。残念ながら、桜並木とモノレールは共存できなかったようで、モノレールが作
られると桜は惜しまれながら切られました。そうして、花の一つもつくわけでもない私たちが並びました。

 桜並木の下を豆電車が走っていた時代を知る人たちには、私たちは殺風景な物に見えるかもしれません。でも、
この季節だけは、桜の木になった気持ちで立っていますから。私は52番。

 


(2003年4月・記)