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はしらのはなし・49番

 私の足元は、きれいな花壇です。そばにマンションが建った頃からでしたか、おじさんが少しずつ整えて今のような姿になりました。四季おりおりのお花が香っているので、遊園地の往復に歩いてここを通り、感心された方もおられるのではないでしょうか。
 私は何となく、お花たちを守るような、花壇の垣根の一部になった気持ちでいました。

 ところがある雨の日、小さな小さな声が、聞こえてきました。「さびが。」「またさびだ。」「にがいさびだ。」声は、足元のお花のものでした。確かに、私の所から落ちた錆で、白いお花が茶色く汚れていました。いままでいい気になっていてごめんなさい。でも、お花たち、本当に好きですよ。私は49番です。

 


(2004年4月5日/記)