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はしらのはなし・48番

 私たちモノレールの脇を流れる川は、二ヶ領用水です。今では両岸も底もコンクリートで固められて、水は底の方をなんとなく人工的に流れていますけれど、昔は違いました。昔と言っても、豆電車が走っていた時代までさかのぼる必要はありません。私たちモノレールでも、かろうじて知っている時代のことです。

 そのころは、川沿いには柵なんてろくになかったのですよ。今よりも川底は浅くて、岸は切り立っておらず、ずいぶんなだらかで、草や木が生えていました。川にすむカルガモさんたちは、今よりも子育てがしやすかったみたいです。ヒヨヒヨ鳴くヒヨコたちが、親鳥について私たち「はしら」の足下に上がってきたこともありました。

 


(何があったのか知らないが、川沿いの一部には柵とガードレールが二重に施されている)

(2006年7月/記)