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はしらのはなし・46番

 私は、自分がいちばんきたないかも
しれないと思っている。
 ほかのはしらにくらべて、レール
からの錆よごれがいちばんひどいよう
な気がしている。
 思うに、それはきっと、私の背が
ひくいせいなのではないかと考えた。
 雨がふると、レールをつたって、
錆色の水がひくいほうへ集まって
くるというわけだ。
 それが、私にジャバジャバとかかる、
というわけだ。
 番号だって、半分はがれてしまった、
というわけだ。

 そんな私だが、ひとつだけ自慢しておく。
 私はめがねをかけているのである
(左下の写真)。
 私ははしらだから、目などないのだが、
ほかのはしらが持っていないものを
持っているというだけで、よしとする。
 以上。46番。である。


(ご自慢の眼鏡、というか、束ねた電線。)

(2002年10月/記)