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はしらのはなし・35番

 向ヶ丘遊園が閉園した2002年、向こう端と反対端では、仲間の「はしら」たちが壊され始めていました。
 でも、 私たち30番台の「はしら」周辺ではまだ工事は始まらず、いつものように傍らの細長い草地には草がボーボーに生え、たまーにおじさんが草を刈ってはまた生え、やがて冬になってみんな枯れました。そんな冬の一日のことです。

 左の写真、私の右側の草地に見える青いものは何でしょう?実はおじさんが横になって寝ているのです。モノレール撤去の関係の人でしょうか、ここでお弁当を食べたあと、暖かい日差しを浴び、気持ちよさそうに眠ってしまいました。

 この時間には、犬を散歩させに来る人がいます。寝ているおじさんを見つけてギョッとしてしまうのではないかと心配しましたけれど、少ししたら、おじさんはシャキッと起きあがり、午後の仕事へ出かけてゆきました。少しして、犬の散歩さんが来ました。犬は、おじさんが寝ていた所をクンクン嗅いで、知らない奴のにおいがするぞっ、とばかりにオシッコをひっかけ、満足そうに去って行きました。


(まさに撤去されようとしている35番。2003年10月)


(このアングルはカーブがきれいなので写真を何回も撮りました)


(2005年4月/記)