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はしらのはなし・22番

 すり傷だらけ。白くこすれてるでしょ。(左の写真)

 私たちは「はしら」だから、顔がどこ、ってことはないのだけど、やっぱり人並みに、顔は上の方がいい。顔があるなら、表情が少しは欲しい。となると、数字が書いてある所を私たちの顔にしたいですね。数字のカタチには動きがあるし、私、22番の場合、ゴロ合わせで「ニコニコ」になるから素敵でしょ?

 で、その私の顔であるところの数字がこんな風にこすれているのは、木の枝のせいです。傍らの木の枝が伸びて、風が吹くと自動車のワイパーみたいにシャワ、シャワっと触ります。それが長い間続くと、こんな風に跡がついてしまうんです。

 そばの遊歩道を歩く女性たちの会話から、「ピーリング」というのを知りました。顔の表面の汚れをこすったり溶かしたりして落とし、つやつやのお肌を取り戻すことができるというのです。もしかして、私の場合もピーリング効果で素敵に生まれ変われるかも??って、期待してたのだけど・・。

 


(解体・撤去を待つばかりの頃、撤去準備で数字はすっかりはぎ取られてしまった。2003年5月)

(2005年8月/記)