17 月夜の雲 |
1999.11.12 |
5日間の東北出張もここ福島市で終わり。ここから東京へ帰るだけだが「転んでもタダでは起きない!」ハンドルを逆方向へ向け4号線をひた走る。仙台市内の4号線バイパスは右折レーンが3車線もあり驚かされる。小高い丘に切り開かれたキャンパスは既に陽も暮れ全容は計り知れない。
臨時駐車場に車を置き、礼拝堂へと足を運ぶ。会場前なので許可を得てオルガンの写真を撮らせて貰う。白を基調にした礼拝堂内部は天井も高く客席は1200と実に広い。残響は空席時3.8秒、満席時2.8秒と書かれている様に子供の甲高い声が鋭く響き渡っていた。祭壇正面に大きく、また左右に4対のステンドグラスが配されている。肝心のオルガンは祭壇左手にそしてやや斜めに設置されている。パイプの発する音が丁度会堂中央に響く様にであろう。プロスペクトは東北の「北」の様に見えるのは私だけであろうか?試しにプログラムの前半は会堂中央やや後方に陣取ってみる。後半は後ろの2階席に座ってみよう。 1曲目はバッハの協奏曲イ短調。1楽章目、思っていたよりオルガンの音は小さくちょっと残念。しかし3楽章目はまるできら星が天から降り注ぐように会堂に響き渡りゾクゾクと体を震わせた。時空をさまよい宇宙に投げ出され異次元の世界にいる感覚に陥った。 後半はフランクの「交響的大曲」。スケールの大きな曲に対しオルガンの音は程良い大きさに感じられた。カヴァイエ=コルを知らない私ではあるが、私なりにフランクの作品をこのオルガンで知った様な気がする。 誰も居なくなった会堂。わずかな灯りにともされ堂々と聳え立つオルガンを礼拝堂の外から見つめながら煙草に火を付けた。煙が立ちのぼり、見上げれば月夜の雲と化す。 演奏:松居直美
東北学院大学泉キャンパス礼拝堂オルガン仕様 製作・組立:アルフレッド・ケルンオルガン製作所(フランス) 設計・仕様:ダニエル・ケルン、伊澤長俊 調整・整音:ダニエル・ケルン、望月広幸 設置年:1989年3月 座席・残響:1200席・3.8sec/2.8sec ![]() Bourdon 16' Montre 8' Bourdon 8' Flute 8' Cornet V Prestant 4' Flute 4' Nasard 2 2/3' Doublette 2' Fourniture V Cymbale III 1.Trompette 8' 2.Trompette 8' Clairon 4' Voix-Humaine 8' Tremblant Positif C-g''' Bourdon 8' Viole de Gambe 8' Prestant 4' Flute Douce 4' Nasard 2 2/3' Doublette2' Tierce 1 3/5' Larigot 1 1/3' Plein-Jeu V Trompette 8' Cromrne 8' Tremblant Recit C-g''' Quintaton 16' Bourdon 8' Salicional 8' Diapason 8' Voix-Celeste 8' Prestant 4' Flute Octaviante4' Octavin 2' Plein-Jeu IV Cornet V Basson 16' Trompette Harmonique 8' Basson Hautbois 8' Tremblant Pedale C-f' Principal16' Soubasse 16' Flute 8' Flute 4' Fourniture IV Contre-Basson 32' Bombarde 16' Trompette 8' Clairon 4' II-I, III-I, III-II, I-P, II-P, III-P ストップ:実動48 補助9=計57 パイプ総数:3486本 キー・アクション:機械式 ストップ・アクション:電動式 自由コンビネーション:32組 放射状ペダル |