11-2 VIP待遇
1999.3.13
オルガンビルダー勝浦氏のBMWにちゃっかり乗り込んだ私は、助手席に須藤氏、後部左座席にマナの松崎氏を従え(?)まさにVIP待遇である。(仮に高速道の事故で全員死亡となったとしても、新聞記事には「日本のオルガン界に暗雲・・・」「オルガンビルダー3名死亡」と書かれても、私は「ほか、不審者1名」で片付けられてしまうのであろうが)車中では滅多に聞くことの出来ない最近のオルガン製作事情や、須藤氏、松崎氏の巧みな冗句に翻弄されあっというまに白石に到着してしまった。

本日私が宿泊するパレスホテルのチロルで昼食。ここでもビルダー達の物に対するこだわりを見せつけられた。例えば、日替わりランチのメニューである「ポーク・ピカタ」とは何ぞや?ピカタは何語で何を意味する言葉か?とスチュワーデス、いやウェイトレスに質問したり・・・これが物造り達の原点を支えている探求心なのであろう。ところで皆さん!「ガラ・コンサート」の「ガラ」とはどういう意味なのでしょうか?須藤さんが気にしていました。

食後、愈々キューブの会場入りですが、新幹線J業から有に10年は経っているというのに辺りは「田んぼ予定地」「畑・予定地」と書かれた看板が目に付くだけでキューブ周辺には何もありません。いや、オアシスなる「ファミリーマート」が1軒ありました。

キューブの建物に入るとまず宙に浮いたタマゴ型の物体が目に入る。ホール内に入り通路を下る。パソコンのディスプレイで見て想像していたよりも広く感じられる。「いたいた、大林組長・・・そして左に目を移すと「おっ、オルガンの妖精!井上さんもいらっしゃる・・」と独り言。と突然背後から「武田さん!」と淡いピンクのジャケットを着たホールの職員の方に呼びかけられた。

「ホールの人が何故、私のことを知っているのだろうか?」「この職員、もしかして白百合学園にも居たのかな?」と回転の遅い1ビットの頭をフル稼働。「でも、どこかで見た顔だぞ・・・?」と悩んでいると「ユーバルの篠原ですよ!」の言葉に(あっ、亀久保の工房に居た人だ)と漸く思い出す。(篠原さんの着ているジャケットの色はどう見てもホール職員の制服にしか見えなかったのです。篠原さん、失礼しました。)

ホール中央やや左寄りに座り、全容を伺、。う〜ん本当にガラス張りだ。行政もこうであって欲しい。(なんのこっちゃ?)おまけに座席まで透明だ。ステージ左右に銅色のリード管が並び、良く見るとその奥にもシルバーに塗られた木管が並んでいる。その下奥には送風ダクトもガラス越しに見る事が出来る。ステージ奥の上方には3つの扉があり、左よりスウェル、グレート、クワイアとパンフレットには書かれている。

定刻、大林さんがステージ上に現れ設計製作のコンセプトを簡潔に述べ、引き続きトーマス・マレーさんのデモ演奏と移る。デモ演奏で私が特に興味を覚えたのはクレッシェンドの方法である。複雑なエクスプレッションペダルの操作は「一体、脳はいくつあるのだろうか?」とド素人は疑問に思ってしまう。サミング(thumbing)という奏法ではマニュアル部分を接写してスクリーンに拡大して映し出すという試みが好評であった。(でもこのサミング、ボクシングでは反則技で減点だよ!)

質疑応答の後、ステージに上がり探険と相成る。ここでもいきなり「武田さんですよね?」と陽気な女性から声を掛けられる。女性にはトンと縁のない私は内心焦りまくる。男性からも次々に声をかけられる。(オイオイ、どうしちゃったの?俺、そんなに有名かい?)

理由は簡単。皆MLの会員で、昨年12/20のオフラインミーティングの映像で私を確認していた、という訳。ちなみに、ピアニスト出身オルガニスト志望の吉川さん、東京から中新田へオルガン練習に通う植田さん達でした。

夜の部へとつづく 
(と書いたが未だに続かず) 

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