10 各駅停車
1999.2.26
新幹線といえども「こだま」は遅い。「のぞみ」や「ひかり」が恨めしく思う。東京から約2時間、駅からは徒歩2分とかからない、ここアクトシティ浜松はシャワーを浴びてしまい話題となったオルガンだ。先月14日と24日に復旧コンサートが開かれたが申込に遅れて聴くことが出来なかった。

今日はジャン・ボワイエの演奏である。シューボックスタイプの中ホールではあるが、客席は1030席とかなり大きめである。この日は前から3番目とかなり前の方になっトしまったが、その代わりリモートコンソールがステージ上に配置されていて、演奏テクニックを間近で見ることが出来る。試しに2階席へ上ってみたが、オルガンまでかなりの距離がある。

仕様書にはホールの概要が書かれていて、特に目を惹かれたのは残響である。空席時2.4秒、満席時2.1秒、オルガン使用時3.5秒とある。これ程残響をコントロール出来るものなのだろうか?プログラムの方だが前半はバロック期のマルシャンとJ.S.バッハ、後半はフランク、ヴィエルヌ、ジャン・アランとこのオルガンの特色が発揮されるであろうフランス物である。

さていよいよ、このオルガンの初聴である。あまりにも席が前過ぎた為か音が頭上を通過してしまっている様に感じたが、音は良い。全体的に明るい華やかな音でバッハの前奏曲とフーガに対してはちょっと違和感を感じてしまうのは私だけだろうか?でも演奏自体はとても素晴らしい。心地よい残響音がスゥーっと抜けていく感じだ。

後半のフランク以降のフランス物だが、まさに打ってつけのオルガンではないだろうか?リモートコンソールで得意そうに演奏するボワイエを間近に拝め、ちょっと得した気分だ。ヴィエルヌの幻想曲集・トッカータはまさに圧巻、締め括りのフランク、コラール第3番で私はエクスタシーを感じてしまった。「フランス物の曲を聴くなら今度から浜松にしよう」と心に誓い、ホールを後にした。


アクトシティ浜松 オルガン仕様
設計・製作:パスカル・コワラン社(フランス)
組立・調整:パスカル・コワラン社/ヤマハ
浜松市板屋町111−1

GURAND ORGUE C-g'''
Montre 16'
Montre   8'
Bourdon  8'
Flute Harmnique  8'
Viole de gambe  8'
Glos Nasard  5 1/3'
Plestant 4'
Flute allemande 4'
Glosse Tierce 3 1/5'
Quinte  2 2/3'
Doublette  2'
Flute  2'
Tierce  1 3/5'
Grande Fournuture II
Fourniture  IV
Cymbale  IV
Grand Cornet  IV
Bombarde  16'
Trompette  8'
Trompette en chamade dessus 8'
Trompette en chamade basses 8'
Clairon  4'
Tremblant

POSITIF C-a'''
Montre  8'
Bourdon  8'
Salicional8'
Prestant  4'
Flute  4'
Nasard  2 2/3'
Doublette  2'
Quarte de Nasard 2'
Tierce 1 3/5'
Larigot  1 1/3'
Plein-jeu  VI
Trompette  8'
Cromorne  8'
Hautbois  8'
Clairon 4'
Tremblant

RECIT EXPRESSIF C-a'''
Bourdon 16'
Bourdon   8'
Gembe  8'
Voix celeste  8'
Flute harmonique8'
Prestant  4'
Flute harmonique 4'
Nasard  2 2/3'
Flute harmonique 2'
Tierce 1 3/5'
Plein-jeu  V
Basson 16'
Trompette harmonique 8'
Basson Hautbois  8'
Voix humaine  8'
Clairon harmonique 4'
Tremblant

PEDALE C-g'
Bourdon  32'
Principale 16'
Bourdon  16'
Flute  8'
Violoncelle  8'
Grande Quinte  5 1/3'
Prestant  4'
Grande Tierce  3 1/5'
Bombarde 16'
Trompette  8'
Clairon  4'

キーアクション:第1演奏台=メカニカル
        第2演奏台=エレクトリック
ストップアクション:第1&第2=エレクトリック
ストップ数:実働64、パイプ数:4478本
カプラー:II/I,III/I,III/II
ティラス:I/P,II/P,III/P
コンビネーション:4*8*8*10
バーカーマシン(コワランバーカー)
クレッシェンド、Tutti
調律:平均律、442Hz=23℃

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