9-3 歩くGPS
1999.1.9
開演15分前、JR宝塚駅に到着。ベガ・ホールへは阪急清荒神駅下車1分。という事は駅前と考えられる。駅間1つなので線路に沿って歩く事にする・・が、道は線路と平行していない。住宅街をジグザグに歩き駅の方角を頭に描きながら進む。歩くGPSだ。時計が気になり途中から走り出す。漸く駅舎らしい建物が見えるが駅前にはそれらしいホールは見当たらない。見えるのは図書館。だが、図書館の入口付近に「第180回市民のためのオルガンコンサート」の立て看板が目に入りホッと一安心。

時計は13:55を差していた。ここのオルガンも阪神大震災でダメージを受けたが、1年後に修復されたそうだ。ホール内部はレンガ風造りとなっている。オルガンはステージ奥のバルコニーに設置されていて、奥行きのないノッペリとした感じだ。5つのタワー?はクーン特有のものだろうか。

演奏者は大津寄多美子さん。ヘンデルのアリオーソで始まり、ブクステフーデのパッサカリアと続く。ベテランの味だろうか落ち着いた響きがホールを包む。なんて暖かく穏やかで人間味溢れる演奏だろう。とても幸せそうに演奏しているのが肌で感じられる。

演奏途中で話された、まだオルガンが少なかった時代から現在へと、オルガンを弾かせて戴ける感謝の気持ち。それが演奏に現れているのではないだろうか。オルガンの音よりも演奏に惹かれてしまう。

演奏終了後、笑顔の大津寄さんと面会、「アトリオンにも行ってごらんなさい」の一言。おおらかな気持ちになりホールを後にする。ホール楽屋口より出てきた大津寄さん運転の車とすれ違う。オルガニストにとって車の運転はお手の物だろう。今日はこれから奈良の友人と久々に逢う事になっている。

つづく 


ベガ・ホール オルガン仕様

製作:Th.クーン(スイス)
設計:G.ワイズマン
組立:H.カウフマン,Th.クーン社,日本楽器
調整・整音:K.バウマン,日本楽器
設置年:1981年8月
兵庫県宝塚市清荒神1−2−18
Hauptwerk ManI C-g'''
Pommer 16'
Prinzipal 8'
Rohrflote 8'
Oktave 4'
Spitzflote 4'
Quinte 2 2/3'
Superoktave 2'
Terz 1 3/5'
Mixtur IV
Trompete 8'

Brustwerk ManII C-g'''(schwellbar)
Gedackt 8'
Salicet 8'
Prinzipal 4'
Koppelflote 4'
Blockflote 2'
Quinte 1 1/3'
Terzzimbel III
Krummhorn 8'

Tremulant

Pedal C-f'
Subbass 16'
Oktavbass 8'
Oktave 4'
Schwiegel 2'
Fagott 16'
Schalmei 4'

II-I, I-P, II-P
6combinations Mechanical key action Electric stop action
24stops 1468pipes
平行ペダル

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