9-1 夜行バス
1999.1.9
さて、今回はどこへ行きましょうか?とりあえず、22:10両国を出発、総武線各駅電車で代々木へ向かう途中、千駄ヶ谷を出るといつの間にか失速し、挙げ句の果てには駅間で止まってしまった。11時迄に渋谷の東急インの前に行かねばならぬというのに・・・車内アナウンスによると新宿駅構内で人身事故発生とのこと。やばい!完全にアウトだ!と思った瞬間再びアナウンスで「中央線ホームでの事故ですので当列車は出発致します」と流れ、息を吹き返す。

どうにか出発予定時間前に集合場所に間に合った。今夜は初めての夜行バスの旅。と言っても持ち物はカメラにサイン帳、サインペンにスケジュール帳と至って軽装。替えのパンツなど無い。バスは横3列、28人乗り、意外とゆったりしたスペースにまずは満足。

車内は既に寝入っている客も居る。夜行バスに慣れているのだろう。私も通を装って座席に腰掛け、早速シートを倒し寝ようとするが、右肘掛けのレバーを引っ張ったら太股にいきなり衝撃が・・・あれっ?これは違う。そうか!と左肘掛けのレバーを引くと今度は肘掛けがバタンと下に垂れてしまった。いや〜恥ずかしい。知ったかぶり見え見え。開き直って前のシートに差してある車内装備の説明をじっくりと読む。ふむふむ、これをこーして、あーして、な〜るほど。気付くと既に発車している。まだ明るい夜の渋谷をバスはゆっくりとそして堂々と行進して行く。

首都高に乗るとすぐに消灯、カーテンを閉めろとのアナウンス。しばらくは車窓からの町並みを眺めていたかったが・・・明朝の景色に期待しよう。その前に寒波の影響で関ヶ原付近が心配だが。そんな心配をよそにバスは朝焼けの神戸へ無事到着。三宮で殆どの客が降車してしまう。

姫路のバス待合室で目的地のバス路線図を探す。「あった、ラッキー!」粟賀行きに乗り病院入口で降りれば良い・・と。あと5分で発車だ。急いでタバコに火を付け8時間の禁煙を解く。運転手に行き先を確認し最後尾に座る。25分程で目的地に到着。帰りのバスの時刻をメモし病院へと向かう。病院受付で事情を説明し、修道院へ連絡を取って貰う。

修道院入口のベルを鳴らすと老シスターが笑顔で応対してくれ中へと案内して貰う。そうそう、ここは姫路聖マリア病院教会です。ここのオルガンは「日本のオルガン」に紹介されていますが、オルガンの写真は掲載されていませんでしたので、実質初めて目にするオルガンです。

薄暗い会堂の片隅にオルガンケースが2つあり、それぞれ別の場所に配置されている。(お互いが90度の角度を保ち1.5m程離れている。)コンソールは勿論1つだがそれも独立している。私がパッと見た時、初めは2台オルガンがあるのかと思った。オルガンケースが2台、コンソールが2つあるのだ。しかし、よく見ると2つのコンソールの内1つはリードオルガンであった。ケースの一方は前面が木管で配置され、もう一方のは金属パイプが前面に配置されていて対照的にデザインされている。金属パイプは銅色をしていたが(使い古した十円玉の色)うた口の淵の部分は銀色をしていた様な記憶がする。

シスターに撮影を許可して貰い何枚かシャッターを押す。シスターはしきりに「もう古いオルガンですから新しいオルガンが欲しいのですが・・・」と云っていました。特別にオルガニストは設けず、神父、又は信者が演奏を担っているそうです。演奏会はやらず、もっぱら礼拝に使用している、との事でした。帰り際シスターの「また来て下さいね!」の言葉に「ハイ!」と返事をしてしまった自分はお調子者でしょうか?

つづく 


聖マリア病院教会 オルガン仕様

設計・製作・組立・調整・整音:フェルシューレン社(ベルギー)
設置年:1969年
兵庫県姫路市仁豊野900
Manual I  C-g'''
Gedeckt 8'
Salicional 8'
Oktav 4'
Flote 4'
Oktav 2'
Mixtur II-III

Manual II  C-g'''
Rohrflote 8'
Principal 4'
Flote 4'
Sesquialtera II
Nachthorn 2'
Tremolo

Pedal  C-f'
Subbass 16'
Oktavbass 8'
Choralbass 4'

II−I,I−P,II−P   2 combinations   Plenum
Electric action   13 stops   684 pipes
平行ペダル

目次へ  日本オルガン紀行の目次へ