7 ウィークエンドフリー切符 |
1998.12.5 & 6 |
飛び乗った列車は満席状態、かろうじて空いていた席は隣がムサ苦しいオヤジだったので、列車を降りて1本待つ事にする。ふと、気が付くと乗ろうとしていた列車は東北新幹線。私が乗りたいのは上越だ。アブネエ、アブネエ!
ムサ苦しいオヤジに感謝をし、そのホームを後にする。上越は比較的空いていた。
新潟で乗り換え酒田へと向かう。久々に「汽笛一声新橋・・・」のオルゴールを耳にする。新潟からは日も沈み車窓からの風景も期待出来ないのでオルガンの本を読む。シュバイツァーの著書だ。終点の酒田では降りる人もまばら。いつもの癖で改札を出る時に切符を渡してしまう。駅員が「お客さん、いいんですか?」と尋ねる。「オット、イケネ!」この切符はウィークエンドフリー切符で土、日乗り放題、今日は土曜であと1日分残っている。 酒田は思っていたよりも寒くない。2日前の東京の方が寒かった。今日は駅近くのビジネスホテルで一泊。コンビニで買った弁当をたいらげ、風呂に入り浴衣に着替えてタバコをふかす。その後有料ビデオ劇場を見たかどうかは読者の皆さんの御想像にお任せするとしよう。こもったタバコの煙を出そうと開け放たれたホテルの窓から列車のディーゼル音が響いてくる。ディーゼル音が遠のきかすかに「カタ、コト」というレールの継ぎ目の音が聞こえやがて、それも消えていくと静寂だけが取り残される。明日は、早い。もう寝よう! 早朝、酒田を出発。陸羽西線、陸羽東線と乗り継ぎ小牛田へ。西古川の駅に停車中聞いた話だが、昔はこの駅から中新田を経て北仙台まで軽便鉄道が敷かれていたそうだ。仙台駅ビル「S・PAL」で脱糞。ここのトイレの個室にはフックのみならず、ハンガーまでが用意されていて、冬場などジャンパーを着ているときは特に有り難い。この気配りに感謝をし水を流す。 バスで泉中央駅へ向かい、そこから仙台白百合学園の送迎バスでキャンパスへ。聖堂は真新しく、鮮やかなステンドグラスが目を引く。見覚えのある真新しいオルガンが設置されているが、生で見るのは今日が初めて。そうです。今日は須藤さんの製作したオルガンのお披露目演奏会です。オルガニストは青田絹江さん。 1曲目はオルガン披露にふさわしい華やかなファンファーレを連想させるマルシャンの「グラン・ディアローグ」で、まるでこのオルガンの個性あるストップを紹介しているかの様だ。全身鳥肌が立つようにゾクゾクとする、滅多にない快感を味わう。2曲目は静かな曲で始まるが、子供の泣き声「ママ~、ママ~」に奏者の背中に「どうにかしてよ~」の文字が浮き出ているようだ。 休憩時、タバコを吸おうと表に出ようとしたところ、「武田さん!」と、ここのオルガン製作者に声をかけられる。須藤さんは今日も仲良くご夫人とご一緒である。外でタバコを吸っていると奇遇にも「私は演奏者の父です」と言う人に出会い、色々と青田さんの話を聞かせて貰った。(というか、聞かされた。) 後半、モーツァルトのK616は自動オルガンの安っぽい音ではなくとても上品でいて且つ優しい、妖精を見ている様に心安らぐ響きであった。最後はバッハの大フーガで鮮やかに終わる。全体的に纏まりがあり、且つ個性的な音色のストップを持つオルガンの様に印象を受けました。青田さんへの拍手に続き、彼女に手招かれた須藤さんが壇上に立ち会釈をすると、奏者以上の拍手が聖堂を埋め尽くしていました。これには須藤さんも照れて(?)いました。演奏会終了後、須藤さんにサインを求めたのは言うまでもありません。
仙台白百合学園 ロザリオのマリア聖堂オルガン仕様 製作:須藤オルガン工房 設置年:1998年12月 I. Grand-Orgue Montre 8' Flute a cheminees 8' Prestant 4' Flute 4' Doublette 2' Fourniture 3-4rgs. Trompette 8' II. Positif Bourdon 8' Flute a cheminees 4' Nazard 2 2/3' Flute 2' Tierce 1 3/5' Cymbale 3rgs. Cromorne 8' Tremblant Pedal Soubasse 16' Bourdon 8' Oktave 4' Trompette 8' ストップ数:18 パイプ総数:1076 |