第 7 章



 
自己実現への道

 個人ページってそもそも何でしょう? ずっと前の章で、「自己満足」に始まって、「自己主張」を経て、「自己実現」に到達する、なんて書きましたが、僕だって自己実現とは何なのか、はっきり理解しているわけではありません。なんとなく、こういうことだろうなあ、と思う程度です。

 僕自身では、ようやく自己主張の入り口に差し掛かることが出来たかな、という程度だと感じています。

 しかし世の中なかなか思い通りに行かないもので、ましてや何らかの仕事に従事してそれで飯を食うとなれば、自己主張もままなりません。学生だって同じ事で、単位を取るために妥協することは多々あるのではないでしょうか?

 webの世界では、そういう現実をちょっとヨコにおいといて、自己主張までなら誰でも出来るのではないか、そう思います。もちろん、無法なこと、非常識なことはやってはいけないし、モラルを守りましょうということは既に書きました。それらはここで改めていうまでもなく、前提条件です。

 その上で、ささやかながら自己主張が出来る場なのです。

 いやいやながらやむを得ず酒の席に出席するのが現実世界なら、お気に入りの人(サイト)だけブックマークをしたりリンクを貼るなどして、誰に批判されることなく自分の行動を自由に決めることができるのがWebの世界です。このことを非難する人はいません。現実世界では「嫌なことから目を背けてはいけない」なんて注意を受けるでしょうが、ネットの世界ならそれが当たり前なのです。

 「同好の士が集まってわいわいやってるだけで、ともすれば傷のなめ合いじゃないか」
 そんな批判も聞こえてきそうですが、突き詰めていえば趣味の世界ですから、「それでいいのです」と、僕は答えます。

 但し高みを目指すことは出来ます。これでいいやと思ったら、そこまでで終わりです。自己実現なんて極みには到達できないでしょう。幸い僕はまだ高みを目指す気力があります。だからこのホームページ作成講座も3度目の大型改定を実施しました。でも、いつ、挫折するかも知れません。長く続けたからといって「高み」に到達できるとも限りません。しかし、それはそれでいいんです。趣味の世界ですから。

 でも、やる気のある人はどんどんやって下さい。現実社会では色々なしがらみで「偏屈な芸術家」ぐらいしかそんなところに辿り着けないような気さえしますが、webの世界なら可能です。しかも、誰に制約されることなく自分のペースでやれるのが個人ページの最大の魅力ではないでしょうか。

更新&新着

 ネットサーフィンを続けていると、「更新」「新着」「NEW」「UPDATED」など、様々な「更新」を表す言葉が使われています。あるいは、画像やアニメgifまで用意している方も少なくありません。ホームページ制作者はどうしてここまで更新にこだわるのでしょうか。

 それはもちろん、何度も自分のページを訪れている人に、「ここが新しくなっています」とお知らせするためです。こうすれば、何度もそのページを訪れている読者は、マークのついた新しい部分だけをは読めばすみます。もしこういった表示がなければ、新しくなったページを探すだけでも一苦労です。

 ホームページは実はこの更新こそが命なのです。


更新の種類

 それでは、更新とはいったい何なのでしょうか? ホームページの日常運営をはじめてみれば、下の説明など読むまでもなく身につくことですが、ここは初心者向けの講座なので列記してみました。ホームページを開いたら、コンテンツに関して次のようなメンテナンスが必用ですよ、ということです。

 (1)既にアップされているページの修正
 ページそのものに大きな変化はありません。「昨日の野球の結果」なんてコーナーがあれば、試合の組み合わせと得点を修正するだけですね。

 (2)新しい記事の追加。
 既にあるページに、新しい記事を追加します。そのページには追加した分だけ情報量が増えますが、ページ構成に変化を伴いません。

 (3)新しいページの追加。
 僕なら新作小説を掲載した場合がこれに当たります。新しいページが増え、それに伴いリンクの追加やページ構成が変わってきます。

 (4)いったんアップしたらほとんど更新する必要のないページ。
 実は「ほとんど更新の必要なし」というページが大半ではないでしょうか? しかし、こういうページも作りっぱなしにせず、時々チェックしてみましょう。このチェック作業自体が大切な更新作業でもあります。

 (5)ページの削除。
 これも更新のひとつであり、とらおも随分ページの削除を行ってきました。ページが減ればリンクや目次など全体構成も修正が必要です。これを怠りデッドリンクのまま放置されていることは結構ありますね。


更新のペース

 「個人ページの場合、最低でも二週間に一度」が理想であると、何かの本で読んだことがあります。また、例え頻繁な更新が行われていてもそれが「不定期」であるのはあまり感心せず、日を決めて定期的に更新するのがよろしい、と解説した本は何度も目にします。そりゃあそうでしょう。「毎週月曜日更新」などと決まっていれば、そのときに訪れればいいのですから。

 残念ながら僕の場合不定期です。3日連続で毎日更新することもあれば、一週間ぐらい飛んでしまうこともあります。これは読者にとって迷惑な話で、「なんだ、更新のペースが遅くなったなあ」としばらく訪問を中断すると、ある時点でドバドバ更新されていて読むのに手間がかかったり、「おお、毎日更新なんだ」と思って日々訪問すれば、ある時点からさっぱり更新されていない、ではがっかりします。

 ジオの場合は「三ヶ月間更新されないと、削除することがある」そうですが、僕はそれ以上ほったらかしになっていて、削除されていないページを知っていますし、だからと油断していたら削除されてしまったというサイトも知っています。三カ月というのはひとつの目安と解釈すればいいのですが、読者にとっても3ヶ月間も更新されていないWebはもはや「存在しないページに等しい」と言えるのではないでしょうか。

 色々な方のサイトを回ってみると、実にみなさんよく更新されています。

 毎日更新したければ、「日記」のコーナーを作りのが手っ取り早いでしょう。その他に「芸能ニュース」を扱ってる方もいらっしゃいましたし、新聞ネタを拾ってそれに自分なりのコメントをするなどの手法があるようです。

 また、伝言板などに毎日レスを付けている方もいます。書き込みが無くても、自分で何か話題を書き込んだりされています。これも一種の「毎日更新」といえるでしょう。

 「日記」といっても、その名の通り毎日更新する必要もないようです。特別なことがあったときだけ書き込んでる方も多数いらっしゃいます。

 週に一回、何曜日に更新と、比較的きちんとされている方もおられ、好感が持てます。諸事情で更新できなければ、「今回はパス」である旨をアップしておくといいでしょう。

 二週に一度、月に一度、といったペースももちろんありです。この他に、本当に不定期の方もいらっしゃいます。定期的な更新が理想ではあるのですが、大切なのは自分なりのペースをつかんで、長続きさせることだと思います。無理は禁物だし、趣味でやってるのに義務感にとらわれてしまうと、とたんにやる気がうせるでしょう。所定の更新日に更新できなかったらその旨だけアップしておけばいいや、くらいの気持ちで、逃げ道を作っておくのも長続きの秘訣でしょう。


読者によって成長するweb・しないweb

 ネットサーフィンを始めた頃、色々なページに「メール下さい」とか「メールの宛先はこちら」などと書いてあるのを見て、僕は「みんな勇気があるなあ」と、感心したものです。webページは世界に向けて発信されているわけだし、日本語オンリーのページであっても、いったい日本人って何人いるんだよ、そういった人たちから感想や意見や苦情や希望など、ありとあらゆるメールが届いたら、その対応にてんてこ舞いするではありませんか。

 メールアドレスを公開するということは、「制作者の責任として連絡先を明示しておく」もので、どこか片隅のわかりやすいところに公開していればそれで済むのではないか? 大々的にメールの募集などする必用がどこにあるのだろう。中には嫌なことを書いてくる人だっているに違いありません。そんな風に思っていました。

 しかし、メールなんて来ないものですね。

 考えてみればそれはちっとも不思議なことではありません。だって普段、テレビや映画の製作者に対して、あるいは小説やマンガの作者に対して、お便りなんてめったに送らないじゃないですか。それと同じ確率ぐらいでしかメールなど届かないのです。

 その中でも、比較的メールを出しやすいコンテンツとそうでないコンテンツがあります。

 「とらおランド」でいえば、もっともメールが頻繁にくるのがこのコーナー「僕たち初心者ホームページ作成講座」です。

 このホームページ講座はもともと「第7章」に当たる部分までしか存在しませんでした。しかし、その後、読者の方のお便りなどがきっかけで、「第8章」以降に当たる部分が出来ました。その際、前者を「基礎編」後者を「ステップアップ講座」とタイトルをつけました。また、「よくある質問」「在校生」「卒業生」などの新しいコーナーが生まれました。現在は、講座部分は構成を変更し内容も改定の上、全10章の構成になっていますが、これらは読者によって成長したWebといえるでしょう。

 一方、メールを出しにくいコーナーだって存在します。これは「成長しないWeb」といえるでしょう。例えば、旅行記をアップしたとしましょう。それはそれでひとつの完成された作品です。読者の意見を取り入れて改定する、という作業はなかなか難しいと思われます。

 このように、読者によって成長するWeb・しないWebというふうに、ひとつの性格わけをすることができるでしょう。読者によって成長する範疇のWebは、それ(読者の意見やお便り)を上手に利用することが、Webの完成度を高くする秘訣なのです。


webコンテンツの弱点

 ホームページの公開を続けていると、表紙ページや目次などは、おそらく何度も手直しすることになります。なぜなら、デザイン的に飽きが来て変えたくなる場合もあるでしょうし、新しい技術を習得すればそれを試したくなったりするからです。しかし、一番の理由は、コンテンツが徐々に充実していくからです。中身に伴って目次などは変更を加えなくてはならないのは誰しも理解できるところでしょう。

 これは実は、ホームページの強みであります。書籍なら出版された段階で完成形でなくてはなりません。しかし、ホームページなら出来た順番にアップすればよく、ページ構成の変更も追加も自由自在です。そして、それらが発生するたびに、目次も作り変えればそれですみます。

 では、ホームページの弱点、とはなんでしょうか。それは「全部でどれだけあるか、訪問者にはさっぱりわからない」と言うことです。

 テレビならあらかじめ放送時間が決まっていますし、新聞や雑誌、単行本の類なら、その厚さから全体量を目で見て判断することが出来ます。それに比べて、webページは全体像が全くつかめないと言うことですね。

 しかも、トップページがあり、子ページがあり、孫ページがあり、曾孫ページがありと、どんどん階層が深くなっていきます。クリックするたびにその先で枝分かれしていれば、読者は戸惑うに違いありません。行きつ戻りつしていくうちに迷子になる可能性もあります。同じ階層のページは横のつながりを持たせるとか、どのページからでも一気に最上層の目次へジャンプできるようにしておくとか、いろいろな工夫はあるのですが、作者の好みやセンスに左右され、こうしなければならないなどという決まりはありません。読者はホームページごとの癖を把握しないといけないわけです。

 それではとばかり、僕は以前いきなりトップページから最終ページまで全てのリンクを表紙ページに作ってみました。もともとは、表紙ページには「子ページ」への目次がありました。子ページが各テーマの入り口になっていて、そこに各テーマに応じた本論の目次があり、本論自体は「孫ページ」という扱いでした。コーナーによっては、孫ページも存在しました。わずらわしいけれども、それだけ系統立てて構成されていたのです。それが一気に表紙ページに集約したために、「とらおランドには膨大なコンテンツがある」と読者を錯覚させることになり、これがプレッシャーとなって、「すごいなあ」とは思ってもらえるものの、うんざりさせてしまったのです。

 それからというものなるべく表紙ページはシンプル&縮小化の方向に向かったわけで、現在の形はそれなりに気に入っています。

 結局は試行錯誤しかないのかもしれません。ホームページは書籍のように決まった形に整形されて発表されるわけではないので、コンテンツの中身や量に応じて、作る人それぞれが工夫しなくてはなりません。


オフ会を楽しもう

 「オフ会」という言い方がどうやらもっともなじみがありそうです。「オフラインミーティング」とも言い、オンライン(インターネットを通じたお付き合い)ではなく、実際に会いましょう、ということです。

 インターネットをはじめる前、パソコン通信の世界にそういうものがあるということは、僕も知識として知っていました。実際に会ってもハンドルネームで呼び合う奇妙な集団、と揶揄する報道や文章は何度も見かけました。それに対して僕は違和感を覚えませんでした。なるほど、と感じたわけです。なるほど、奇妙な集団だな、と。

 実際におそらくは会うことがないであろう匿名での付き合いだからいいんじゃないか、という風にも考えていました。「バーチャル」だからいいんだ、と。

 Web上でのお付き合いは、ほとんどの場合が現実としてもそうでしょう。しかし、交流が深くなり、お互いに興味を持てば、「一度会いませんか?」となるのも、これまた自然の成り行きでした。

 オフ会でお会いする方は、外見や立場などにとらわれずことなく、既にニックネームで呼び合うほどの間柄なのだと言えることがわかりました。インターネットの場合は、ある種それぞれの人が持つ本質的な部分でのお付き合いが、外見や立場など抜きにして、最初からスタートしているわけですから、実社会でやむを得ず会わなくてはならない人と「はじめまして」と名刺交換するよりも、ずっとスムーズで快適なお付き合いができるとさえ言えるかもしれません。

 無理にとはいいませんが、もしオフ会の機会がアナタに訪れたなら、一度は参加してみるのもいいでしょう。

 なお、最初から「会う」ことを目的とした出会いのサイトなどは、また別物です。



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