第 8 章



 
日記は面白いコンテンツ? つまらないコンテンツ?

 個人ページで最もよく見かけるコンテンツのひとつが「日記」でしょう。

 では、日記は面白く人気のあるコンテンツなのでしょうか? 親しい間で取り交わされる交換日記や小学校の宿題で出される日記なら「人に見せること」を前提としていますが、これらはあくまで特殊なものであるといえます。通常日記とは人には見せないものです。それがホームページ上で公開されるということは読者にとって「他人の日記を覗き見できる」ということです。面白くないわけがないのです。

 しかしながら、あなたは誰の日記に対しても興味を示すでしょうか? 多分しないでしょう。あなたが読みたいと思うのは、特定の人のものだからではないでしょうか?
 だとすれば、日記をホームページで公開するのは、滑稽なことですし、同時に意味のないことになってしまいます。ただし、もしそれが、本当の意味での日記であれば。

 ホームページ上の日記には、確かに人気のあるものが存在します。人気のある日記は、それだけで人を集めます。

 それはまず大前提として、人に読んでもらうための日記だからです。では、人に読んでもらうための日記とはなんでしょうか?

人気の出る日記の書き方

 日記は人気のあるコンテンツであると同時に、人気のないコンテンツでもあります。「へっ、他人の日記なんか読んで、何が面白いんだよ、フン」てなもんです。では、人に好まれる日記の書き方とは?

 手法は様々、かつ人それぞれ。であるからこそ、「その人らしさ」が出て面白いのです。ですから、王道というおは本来ないのでしょう。しかし、誰にでも参考になる共通項的なアドバイスはあります。その一部を公開してみましょう。

 毎日書くから日記?
 日記とは読んで字のごとく、「日」のことを「記」したもの。つまり毎日かかれるものです。サーフィンを続けていると時折「毎日更新」と堂々と掲載しているページがあり、「すごいなあ」と感心するのですが、「日記」を採用すれば容易に「毎日更新」が可能になります。
 確かに毎日新しいコンテンツが増えていれば、読者にとってはいいでしょう。日々つなぐのが楽しみになります。日記というからには毎日書くことが前提になります。けれど同時に、僕は無理して毎日書くことはないと思っています。個人的な行動記録ならともかく、Web上に公開する(人に読ませる)に値する出来事や想いが、毎日毎日湧き出てくる、というのは実は大変なことなのです。
 日記をはじめて、ある日「今日は書けない」と感じたとしましょう。こんなときはどうすべきでしょうか? 日記なのだから毎日書かなくてはいけない、そんなプレッシャーの中で無理する必要はないと想います。思い切って休んでしまいましょう。無理に毎日書いて、それがやがて苦痛になり、ある日嫌になってしまう。そんなことになるくらいなら、最初からやらない方がまし。毎日書くことよりも長く続けることのほうが大切です。
 長く続けているうちに自分なりのスタイルが出来上がるでしょう。ペースもつかめるでしょう。また、それなりの量があれば、訪れた読者の信用も得やすいでしょう。

 心の叫びを書き込もう
 人に読ませるためのものとはいえ、無味乾燥に行動記録を綴ったのでは面白くありません。そこにあなたの人生を垣間見ることができるから日記は面白いのです。
 喜怒哀楽の表現はあった方がいいでしょう。(このことで、あなたを「嫌い」になる人は当然出てきますが、同時に共感を覚えて「好き」になる人も出てきます)
 わざわざ「嬉しかった」などと書く必要はないし、書かないほうが優れているのですが、それを感じさせるものであれ、ということです。そのためには、その原因となった事象を書き込まなくてはなりません。それは極めてプライベートなことであるはずです。通常なら誰にもいえないことや恥ずかしいことなどもあるでしょう。でも、安心してください。ホームページでは通常ハンドルネームを使います。匿名みたいなものです。思い切り恥ずかしいことも書きましょう。(本名で発表している場合は辛いけれどね)

 すぐれた省略をものにしよう
 すぐれた省略は日記ばかりでなく、あらゆる文章に応用できるわけですが、残念ながら僕は理屈だけで実践できていませんね。反省。
 では、優れた省略とは? これから書こうとしているのは文学作品ではありません。日記です。ですから俗語や流行語をじゃんじゃん使って構わないと思います。技巧として優れた省略をものにするのは大変ですが、俗語や流行語の類を使えばそれほど苦労はしないでしょう。
 例えば、「モト彼とデートした」なんて表現を使ったとします。昔、付き合っていた人、でも、今は別れた人。それだけでドラマを感じさせるじゃないですか。今は恋人ではないけれど、いい友達として関係が維持できているのでしょうか。それとも、なにか特別な事情で再会したのでしょうか。未練が断ち切れずにあったのであれば、再び何らかの波乱があるかもしれません。「モト彼」という単語から様々な憶測が飛び交います。日記においてはこのようなタイプの単語も使い方次第でぐーんと魅力的になります。
 おっと、彼には秘密にしておかないといけないかもしれませんね。「ねえねえ、わたしホームページ作ったの。見て見て」なんて既に「イマ彼」に宣伝している人は気をつけましょう。

 日記にテーマ性を持たせる
 テーマはあなたの好きなもので構いません。「読書日記」「パチンコ日記」「うちのタマ」なんてきわめて限定された書き方もそのひとつですが、テーマを公開せずに書き進めるのもひとつの方法です。テーマを公開すると、同様の嗜好の人が集まってきて楽しいものになります。一方で、一般性が薄れますし、毎日パチンコにうつつをぬかすわけにも行かないでしょうから、ネタが不足するかもしれません。ですから、それは作者が決めることです。
 一方テーマを公開しなければ、何をかいてもいい、ということになります。さらに、何を書こうかなと思案するような場合は、自分なりに決めた隠しテーマを中心にまず考えることが出来ますから、作者としてはラクになります。もちろん、テーマに沿ったことでなくても、読者はテーマを知らないのだから文句を言う人はいないでしょう。
 月ごとにテーマを変えてみるのもいいかもしれません。「ケーキバイキング」「駅前留学」「自分の服装」など、いくつものテーマを持ってもいいでしょう。日記のどこかに、今日はどんな服装をしていたのかを必ず書き込むようにする、など全体の中に隠しテーマを紛れ込ませることも出来ますね。

 ネタに詰まったら時事物を
 時事ものと言うと硬く聞こえるかもしれません。でも、そんなことはないですよ。新聞を読んだりテレビのニュースを見たりすれば、それなりに思うところはありませんか? 警察の不祥事を取り上げて「バカヤロー」とWebで叫んだりすれば共感を得られるでしょう。もっとも共感を得るためだけに日記を書くのではないですが、我々庶民が不特定多数に向かってこのようなことを叫ぶ機会はほとんどないはずです。個人ページはその貴重な機会です。僕はそういうことをしているWebを見ると小気味いいですね。僕は日記という形をとってはいませんが、「そごうの借金棒引き案」には頭にきて、Webに書きました。「世の中には数百万の借金のために商売をたたんだり夜逃げをしたり、果ては首をくくる人だっているのに、そごうは甘えるな!」と、そんな気分で我慢ならなかったのです。
 芸能人の結婚に対して、「おめでとう」とささやかなコメントを添えるのも、「ファンだったのに。届かぬ人とはわかっていたけれど、悲しい」なんてことを書くのもいいかもしれません。
 そういえば、いつだったかの新聞に「不登校」「大学生サービス」なんて見出しがあり、「大学生がボランティアで、不登校の生徒や児童に接触して、問題の解決を図ろうという試みなのかな」と本文を読んで、あきれたことがありました。「大学生の不登校にたいして文部省や学校がサービスをする」という内容で、大学生の不登校の原因はいわゆる五月病や、バイトに明け暮れたためなどではなく、「朝、起きられない」などが原因とかかれていました。こんな奴らにいったい文部省や大学が何のサービスをするというのか。ふざけるなと思いました。そんな暇と予算があったら、いじめで今日も命の危険にさらされている子供達への対策を一歩でも進めなさい、と思ったものです。
 このように、新聞やニュースの時事ネタに対してコメントするというのは、なかなか書くほうも読むほうもそれなりの取り組みができるものです。



BBSって何?

 伝言板、提示板、ゲストブックなど用途に応じて色々呼ばれていますが、ここではBBSと総称します。

 WEBページというのは普通は作者から一方的に情報などが発信されるだけで、閲覧者がそれらホームページにたいしてアクションを起こすことが出来ません。意見や感想があれば、作者宛メールをおくらねばなりません。しかし、BBSを設置すれば、閲覧者が自分のPCにメッセージを打ち込んで送信すれば、すぐさまそれがWEBページに反映されます。いわば、対話型、参加型のページがBBSによって実現します。

 メールはやりとりする本人同士の私信としての交流になりますが、BBSであれば、閲覧者が記事を共有でるという魅力があります。事実、多くのページにBBSが設置され、またホームページをオープンしたらBBSを解説したいという希望も多くききます。

 BBSをオープンするにはどうすればいいのですか?
 これも非常に多い質問です。

 BBSに何らかの書き込みをすれば、その時点で、訪問者は、閲覧者から作者に変身する、とも言えるわけです。参加型コンテンツの代表選手で、訪問者もこれを期待していることが多いのです。

 更新頻度が低くてもマメにBBSだけでもレスをつけていれば、ファンの人が何度も訪れてくれ、会話がはずむことでしょう。訪問者同士がレスのつけあいなどを始めれば、とても楽しいページになります。


BBSはどうやって設置するの?

 BBSを設置するには、自分でCGIというプログラムを組むか、レンタルBBSを借りるか、どちらかです。CGIを組むには知識を必要とするので、初心者には少し厳しい作業になります。また、サーバーによってはCGIの使用を認めていないところもあります。ジオもそのひとつですね。

 一方、レンタルBBSは、ほとんどの場合、オンラインで申込みが出来、手軽です。無料のものと有料のものがあり、無料のものにはバナー広告が入るのが普通です。有料の場合は広告が入らず、また、機能的にも無料に比べて良くなっていることが多いようです。

 申し込んだ段階ですぐ使用開始できるものと、後日メールで詳細が送られてきて、それから使用開始できるものの2種類に分かれます。どちらがいいとか悪いとかいう事ではないのですが、すぐに使えるタイプの提示版の場合、確認のメールが来る場合とそうでない場合があるので、念のために申し込み終了時に画面に出てくる各種情報(URLやID、パスワードなど)を控えておくようにしましょう。

 プロバイダがBBSを用意していることもあります。自分が契約したプロバイダにホームページをおく場合はこのサービスが使えます。これも優良と無料があります。プロバイダにより異なりますので、各自で確認しなくてはなりません。

 無料オームページのサーバーにもBBSがセットされている場合があります。ジオシティーズやミルトクラブなどがそうです。簡単な設定で使用できるようになります。フリーティケットシアターのBBSはサーバーをレンタルしていなくても申し込めるようですが、人数制限があるようです。

 ジオのゲストブックは、「読む」と「書く」が分かれているのをはじめとして、従来のBBSに比べて微妙に異なる点があるので、かなり不評でした。そのゲストブックそのものは現在もそのままですが、それとは別に新たにゲストブックのサービスが始まりました。「eツール」のページから申し込めます。レイアウト的にもいくつかの種類があって楽しく、機能的にも一般的なBBSに似てきていますので、古い方のゲストブックと比べれば格段によくなっています。また、強力なカスタマイズが出来るため、htmlの知識のある人にとっては自由にデザインできます。


レンタルBBSって、どこにあるの?

 例えばジオシティーズのように、レンタルサーバーのサービスの中にBBSレンタルが含まれている場合は、ジオならジオのホームページからゲストブック設定のページへ進めば、後は対話式で申込みや設定が出来ます。プロバイダのサービスとしてのレンタルBBSも同様に、それぞれのホームページから申し込みページへ進めばいいわけです。

 また、オンライン上に存在するレンタルBBSは、それぞれのレンタルBBSのホームページから申込みが出来ます。申し込んだ後は、リンクでつなげばいいだけです。さも自分のページの一部のようにしてリンクするわけです。しかし、実際は本文コンテンツをおいているのとは別のサーバーへリンクされているということになります。

 僕が知っているのはレンタルBBSのうち、お勧めをふたつ紹介します。

 ティーカップ
 OTD

 代表的なのはやはり「ティーカップ」です。現在もかなり多くの方が利用されており、しょっちゅう目にすることでしょう。ほとんどセキュリティーのない「無料」版と、ある程度のセキュリティーを設定できる「有料」版があります。次に紹介するOTDに比べてユーザーへの誠意があまり感じられません。

 最近メキメキと実力を伸ばしてきたのが、OTDです。有料と無料があり、無料の方にはバナー広告がつきますが、ティーカップのように機能制限はなく、どちらも同じです。一人一個という制限もなく、カスタマイズがきわめて自由に出来、かつセキュリティーも強力です。サーバーが落ちたときなどは即座にお詫びと復旧状況のメールが届きますし、定期的にメールで色々な情報を送付してくれます。様々なBBSサービスの中では後発ですが、もっとも優れたBBSではないでしょうか。サーバーも重くありません。いつまでできるかわかりませんが、今のところ「過去ログ」無制限で削除しない、という方針のようです。超おすすめです。難点は正式なユーザー登録(仮登録から一ヶ月以内。BBSそのものは仮登録でフル機能が使える)の時に、いろいろ入力する項目が多すぎてやっかいだ、ということくらいでしょう。

 この二つのほかにも「大手」がいくつかあるようですが、受付の中止と再開を繰り返す場合が多いようで、検索エンジンなどで調べてホームページへ行っても、「現在受付休止中」のことが多いです。「アミューザーネット」のBBSはカスタマイズとセキュリティーという面では優れていますが、現在は受付していないようで残念です。どうやらサーバーレンタル業に専念する気配ありです。

 ジオの市民なら、新しいゲストブックでそれなりのものが作れます。5つまで持てるのも嬉しいですね。ただ、自分のホームページの一部として容量を食います。でもまあ今は12MBもあるし、どうってことないでしょう。(昔は2MBだったんだよ)


日常運営の注意点

 めったにないことですが、必ずあるのが、不本意な書き込みです。

 犯罪に利用されてニュースで話題になるようなこともありますね。そこまで行かなくても、「好ましくない」書き込みはBBSをオープンする限りは覚悟しなくてはなりません。白熱した議論はかまわないのですが、だんだん過熱して罵り合いになったりすることもあるようです。

 また、商用に利用される場合もあります。全く自分のコンテンツと関係のない話題で、かつ世間話でもなく、やたらと丁寧な口調で、どこかのHPへの誘いが掲載されていれば、かなりの確率で商用です。

 丹精こめて作った自分のHPへの誹謗中傷もあります。他の読者を不愉快にするものもあります。

 こういったものは遠慮なくバンバン削除するに限ります。本当に遠慮は要りません。これはあなたのホームページなのですから。ですから、理想は毎日チェックして良くない書き込みは削除する。これが基本的なメンテナンスです。

 セキュリティーのしっかりしたBBSなら、特定のIPアドレスからのアクセスを拒否することが出来ます。

 消しても消してもアダルトページの宣伝書き込みが絶えない、などということもあります。これはロボットを使って定期的に書き込まれているからです。このような場合は、過去ログを取った上で閉鎖し、新しいURLで新しい提示板を開設しましょう。

 僕が一番憂いているのは、あらゆる種類の望まない書き込みで、BBSを閉鎖してしまうどころか、ホームページつくりそのものに嫌気が差したり、深く傷ついたりして、ネットの世界を去る人が後を立たないことです。対策には限度があるし、いつでもどこでも悪質な人間は存在するものです。だから、そのような悪質な書き込みがあってもいちいち傷つかないで欲しいのです。BBSをオープンする限りはそういうリスクは背負います。けれど、悪いのはあなたではなく、悪質な書き込みをする人です。あなたが傷つく必要は一切ありません。
 もちろん、悪意のあるものばかりではありません。通常のやり取りをしているだけのつもりが、あるときあることがきっかけで傷つけられてしまうことがあります。表情もニュアンスもボディランゲージもない「文字」の世界ですから、多いに起こりえることです。だから、最初から、「ま、そんなものよ」と思っておくことです。あなたの心を豊かにするふれあいのほうが遥かにたくさん存在するんですから。

 ところで、BBSには「レス(返信)」がつき物です。レスがレスを呼んで楽しい交流が続くことも珍しくありません。一方で、管理者自らは一切レスはしない(管理はするんだよ。放置という意味ではないからね)という手法もあります。成功すれば、訪問者同士でレスをしあうとてもいい雰囲気のBBSになりますが、失敗すると閑散としたBBSになってしまいます。放置する場合でも、本当に時々は管理者も顔を出して、「こんにちわ、いつもご訪問&書き込みありがとうございます」程度のことは書いておくのもいいかもしれません。レスはないけれど、管理者もちゃんと目を通しているんだな、ということが伝わるはずです。



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