前の章で「しっかりとした構想を練りましょう」と、書きました。 ところで、じゃあ、しっかりとした構想ってなんでしょうか? もしアナタが、「多くの人が個人ページを開設しているし、自分にも出来るんじゃないか」と、なんとなく思ったとしましょう。しかし、本当に「なんとなく」でしかなかったのでしょうか? 中にはそういう人もいるでしょうけれど、ホームページという自己表現の場を得て、「こんなことをテーマにしたい」という想いはあるでしょう。 そのテーマを、いかにして伝えるか、その作戦を練るのが「構想を練る」ということです。 具体性に欠けるとわかりにくいので、ココから先は僕自身のことを例にあげながら、解説を進めましょう。 |
ホームページ作りは「作家活動」です。ホームページで表現できるものは限られています。文章や表、画像(写真やイラストを含む)や動画、そして音声です。これらは全て基本的に「自分で創ったもの」でなくてはなりません。他人の創ったものを無断で自分のホームページに掲載すれば、それは著作権法違反です。著作権については後に触れますが、とにかく自作以外のものは原則として公開してはいけない、ということです。 基本的にとか原則としてと書いたのは、例外があるからです。アイコンやバナーやMIDIなど、「自由に使っても良いですよ」と公開しているサイトがあるからです。これらを使う場合は、著作権者の指示に従って使わせてもらいます。 さて。僕がホームページを作ることになったのは、とあるお気に入りのサイト(詞や小説や沢田聖子さんに関するコンテンツがありました)の管理人さんに、「投稿したら掲載してもらえますか?」とメールで問い合わせたのがきっかけです。その返事は、「それだけのやる気があるなら、自分でホームページを開設すればいい」でした。なるほど! そこで僕は、ジオシティーズに自分のホームページを作りました。小説はもちろん自作のオリジナル作品です。沢田聖子さんに関するコンテンツも作りました。当時は沢田聖子さんのオフィシャルホームページがありませんでしたから、ファンクラブの会報に掲載されているライブ情報を告知してあげるだけでも価値があると判断していたのです。しかし、ライブなどの情報は他のファンサイトでも掲載されています。しかも、どこにニュースソースがあるのか、ファンクラブの告知よりも情報が早かったりします。従って、それだけでは情報提供という価値はありません。実は沢田聖子さん関連のメインコンテンツはべつにあり、それは曲紹介でした。といっても、歌詞を転載するわけにはいきませんから、歌詞の中にあるストーリーを説明したり、イメージを描写したり、感想を述べたりすることにしました。それらに興味を持った人がその場でライブやイベントを知るための便宜的措置として、情報も掲載したのです。 現在はさらに形が変わっており、沢田聖子さんに関することはもっぱら「ライブレポート」がメインです。自作の小説は別のサイトに引っ越しました。それはともかく、これは僕にとってはまさしく創作活動なのです。ホームページ作りは作家活動なのです。あなた自身の言葉や表現方法で、自己表現をして下さい。 ということは、ページ作りの前に、まず創作活動をしなくちゃいけない、ということですね。そりゃあそうですよねえ。CG(コンピューターグラフィック)サイトを開設するには、まずCG作品がなくちゃいけません。文章を掲載するには、文章を書かなくてはいけません。 |
ホームページ作りが作家活動だとすれば、自分の好きな作品を好きなように作り、それをバーンと掲載してしまえば良いのですが、それだけで本当にいいのでしょうか? あなたが超人的な創作能力と記憶力を持ち、それを系統立てたり整理したり表現したり、そんな能力も人並みはずれていたとしましょう。ならば、それも可能です。でも、実際そんな天才はめったにいるものではありません。少なくとも自分はそうではないと思っておくのが無難でしょう。 とすれば、作家活動以外にもすることがあるはずです。 いかに自分の好きなことであっても、そのことに関する知識や情報となると、限られていたり、はっきりしなかったり。そのことに関して、ただ「好き」と書いただけでは、誰もついてきてはくれませんから、その裏付けとか理由なども説明しなくてはなりません。このことに気づいた時点から、取材が始まります。 資料を探したり取り寄せたりする事も必要かも知れません。手元にあるはずの資料を探し出すのだって一苦労でしょう。 個人ページらしさを出すにはデータだけではだめで、記憶や感情が必要です。それらを整理してその中に混乱や誤解がないかを確認しなくてはなりませんし、自分の感情や感想をどのように表現していくかも大切です。これを僕は自分に対する取材と呼んでいます。 このようにして、何をアップしていくか、その材料をそろえていくわけですね。材料には、テキスト(文章)、画像(写真や絵)、そして音楽などがあります。この他に、プログラムなどを用意して、自由にダウンロードできるようにしてる方もいらっしゃいます。 僕は文章中心なので、この講座でも画像や音楽に関する記述が少なくなりがちなのですが、自分で制作したり加工したり、あるいはどこかから借りてきたりなどで、題材をそろえていくことでは、本質的には同じだと理解しています。 さあ、みなさん、納得のいく材料が集まりましたか? |
さあ、いよいよ、ページ作りです。取材も行い、自分なりの表現も出来ました。材料が揃ったわけです。後は見栄えのいいように並べるだけです。プロ作家のように、原稿を提出したらあとは出版社が本にしてくれる、なんてことはありません。それすら自分でしなくてはならないのです。 webページのありがたいところは、何の疑問も持たずに、最初っからカラーグラビアだという点です。僕は今まで同人誌やミニコミ誌をいくつか作ったことがあるのですが、何しろビンボー集団が悲壮な想いで自己表現をする場を確保するわけですから、カラーなんて夢のまた夢。おまけに、出来上がった本をどうやって販売するかというのも大きな問題です。「販売」といっても別にお金を儲けることが目的なのではなく、どうやって読者の手に届けるかということです。 それはともかく、集まった題材をページに構成するということは、単純に「福笑いのように素材をページに張り付ければいい」というのではない、ということはもちろんお分かりだと思います。 見栄えの良いように、また、効果的に自己表現するために、並べ方を工夫しなくてはなりませんね。 まず、画面全体として、背景色や背景画像、BGMの指定が出来ます。テキストは、文字の色や大きさや字体の指定が出来ますし、箇条書き、表組、などもできますね。表組には、枠線の有り無し、有りの場合はその太さ、表全体の色、枠線の色、枠線以外の部分の色または背景画像など、様々な指定が出来ます。位置についても、右寄せ、センタリング、左寄せなど指定できます。画像とテキストの組み合わせ方法や画像の位置や大きさなどにも気を配らなくてはいけません。何でも好きなように出来るからといって、背景を白、文字色を白にしたのでは読めませんから、注意が必要です。 この他に細かいところがまだ色々ありますが、ここまでになると、まさに「雑誌編集」の世界です。編集活動とはそういうことです。出来の良いホームページほど、デザインに気を使っています。テクニカルな手法で目を引くものも、できるだけすっきりとシンプルにわかりやすくしたものも、出来がよければそれだけ第一印象がよくなり、本文コンテンツへと進んでもらえます。逆に、重厚なイメージを与えて読者を選別してしまうページもあります。まあ、こんなページの作者がデザイン論を語るのはおこがましいのですが、それは「論」ということで許していただきましょう。僕にセンスがないのは自分でも認めています。 デザインはどうやって決めれば良いでしょうか? 頭に浮かんだイメージをそのままいきなり画面に描写していくのは少しなれないと難しいと思います。そこで、ラフなものでいいので、紙に実際に書いてみるといいでしょう。そして、いよいよパソコン上でページを作ります。 しかし困ったことに、これがなかなか思い通りになりません。ブラウザやweb作成ソフトのクセを把握するのに一通り時間がかかりますし、もともとhtmlでは出来ないことをしようとしているのかも知れません。根本的にhtmlタグの文法を誤って使っているかも知れません。ブラウザの種類やディスプレイの大きさにより、出来たり出来なかったりする場合もあります。 どうして、こういう風にならないの? これも代表的な質問のひとつですが、もともと出来ないことをしようとしていたら、いくらがんばっても出来ないのです。 web作成ソフトではとうとう作りきれないとわかって、参考書を見たり他人のソースを参考にしたりして、直接メモ帳で編集しても、ブラウザに呼び出すと思い通りの画面にならないなんてこともしょっちゅうです。ぼくなど、一度他人のソースをまるまるコピー&ペースとしてみたのですが、それでもうまくいかなかったりしたことがあり、これにはさすがに頭に来ました。! とりあえず、こういうのは誰もが通る道でありますから、これでめげたりせずに、でもある程度の格好の付いたところで妥協もして、ひとつの完成形を作って見ましょう。ホームページを通じて知人が増えれば、そういうことをアドバイスして下さる人も現れて、思わぬところで解決するなんて事もあります。 ま、そんなこんなで、最初は思い通りにならないことが多くて、イヤになっちゃうかも知れませんが、この段階ではページに載せる材料は既にそろっているわけですから、あとは楽しくレイアウトする作業だけなんです。楽しくやりましょう。ホームページの完成は目の前です。 そしてこのレイアウトも、「こんなことができるんだ」というのがおおよそわかってくれば、頭の中や紙の上で構想を練る段階からブラウザの実力に応じた形、つまり実現可能な構想を練れるようになります。すると後は作業を残すのみ、ということになります。 つまり、構想が練れたら、後はページにまとめて、アップロードをするだけ。 つまり「構想が出来たら完成したも同然」といえるでしょうね。 |
「表紙ページを作りましょう」では、実習をまじえた講座をしました。一方、この「ところでホームページに何を載せるの?」では、講義が続きました。しかし、講義だけでは終わりません。ここでも実習をしていただきます。 では、課題です。あなたは自分のホームページにどんなコンテンツを掲載しますか? ここでは、中身まで構想しなくてかまいません。いわば「目次」を作ります。次の章に進む前に、あなたのホームページの目次を紙にでも書いて作ってみてください。 僕の場合は、こんな具合でした。 ・歌手 沢田聖子さんに関すること ・作家 辻真先さんに関すること 現在は廃止されています ・旅行記 現在は廃止されています ・小説 現在は別サイト ・ゲストブック チャットも設置したいと思っており、それは後日実現しましたが、これもまた廃止しています。 この他にも色々なものがありましたが、それは「とらおランド」の表紙ページから、過去コンテンツえ進んでくだされば、いくつかは残っています。 さあ、目次は出来ましたか? |