ところで、ホームページになにを載せるの?(1)




 

インターネットをする目的

 インターネット人口がまだまだ少なく、ほとんどの人がパソコン通信との区別もつかず、ネットの何が面白いのかサッパリわからず、必要性など微塵も感じられなかった頃。そう、ぼくの感覚ではそれはそんなに古いことではありません。1995〜6年あたりでもそんな感じだったのではないでしょうか?
 そして、そんな人にインターネットが何たるかを説明するのによく言われたのが、「情報の収集」「情報の宝庫」などという言葉でした。

 確かにそういう使い方もします。地図サイトを見たり、どこかへ出かけるのにその行き先の様々な情報を集めたり・・・。株や銀行取引などに使う人もいるでしょう。

 けれど、そんな風に「必要に応じて情報を収集する」とか「実務的に使う」だけなら、無制限で接続する必要などさらさらないのではないでしょうか? 真夜中しか使えないテレホーダイになんの意味があるのでしょうか?

 そう考えると、我々のネット接続のほとんどが、「趣味」「娯楽」を目的としているように感じます。

 

ホームページを作る目的(1)

 ここの読者の中には、会社でホームページ担当になったとか、自営業で自分のお店のホームページくらい開設しなくちゃ、などという人もおられるでしょうが、ほとんどの人がそうではないでしょう。

 あなたはホームページに何を掲載したいのですか?

 ネットサーフィンを続けるうちに、あなたはたくさんの個人ホームページが存在することを知りました。そして、そこには様々なコンテンツがありました。旅行記や日記、家族の紹介、子育て日記、映画観賞記、読書感想文や書評、自作イラストや写真、自作小説や詩、所属サークルの紹介、お気に入りのお店のこと、好きなアーティストの応援、オリジナル料理のレシピ、ペットのこと、日記、自己紹介、住んでいる町の紹介、手芸や工芸作品展、エッセイ、コラム、自作音楽、動画・・・・、その他ありとあらゆるモノが存在します。

 やがて、「自分もホームページを開設したいな」などと思うようになります。訪問先のホームページの管理人と仲良くなったりして、色々話をしているうちに、「自分でも出来そうだな」なんて気にもなってきます。

 ここで、もう一度改めて問いましょう。あなたは何を掲載したいのですか?

 

ホームページを作る目的(2)

 個人ページによく見かけるのが「日記」と「自己紹介」です。

 日記に対して批判的に「他人の日記のどこが面白いねん」と言う人がいますが、他人の日記、覗いてみたいですよね。でも、それは、本来の日記とは違います。自分の為に書かれたものではありません。公開する事を前提に書かれたものです。逆にいえば、公開する事を前提にあなたは日記を書かなくてはなりません。日記の手法については後で触れますが、簡単に言うと、独自の視点が必要だ、ということです。ただあったことを書くのではなく、それについて感じたり考えたりしたことを書かなくては、ただの他人の行動記録になってしまいます。そんなものは面白くないに決まっています。けれど、そこにキラリと光る個性があれば、そこに人は引かれて集まって来るでしょう。他人の日記などつまらない、という人はこのあたりのことがわかっていないか、あるいは不幸にも本当につまらない日記ばかり読まされた人でしょう。

 一方、「自己紹介」。これこそつまらないコンテンツですよねえ。どこの誰かもわからない人の「自己紹介」だけ読んだって、何の役にも立たないもの。けれど、しっかりした本文があれば、「この人はいったいどういう人なのだろう」と興味を持ちます。そんな時に「自己紹介」のページがなかったりすると、「それぐらい作っておけよ」と言いたくなります。読者って勝手です。自己紹介があっても「肩透かし」を食らうこともあります。せっかく「アナタに興味を持った」のに、「趣味:インターネット 年齢:ひみつ 性別:男 生息地:日本のどこか」では「ばかやろう!」とか叫びたくなります。「ああ、なるほど、この人はこういう職歴を経て、こんな考え方をするようになったんだ」とか、「プロカメラマンが主催する写真教室で勉強をしたのか。へえー、アマチュア対象の賞もとってるんだ。風景写真が得意なんだ」なんてことがわからなければ無意味でしょう。

 つまり、他人様に読んでもらう・見てもらう・聴いてもらうがホームページを作る目的です。

 

ホームページを作る目的(3)

 しかしまあ、「他人様に興味を持ってもらえるページを作る」なんて、僭越極まりないことですよねえ。でも、それをやっちゃえっていうのが「ホームページ」です。ただ、開設するだけで、あなたの作ったページは全世界に向けて公開されるのです。

 ぼくはこれを「自己表現」と呼んでいます。

 「自己表現」には、色々な方法があります。路上でギターを弾き歌うことも自己表現でしょう。同人誌を作るのもそうです。サークル活動だって、仲間内でそれぞれ自己表現しあっているのだと言う事が出来ます。ボランティア活動も自己表現の一種でしょう。

 「自己表現」の場をもつことはとても大切なことです。仕事や学校や近所付合やその他色々な日常生活がありますが、そんななかでいったいどれくらいの人がどの程度の自己表現が出来ているというのでしょう。ただ自分の思いを現すだけですが、それがどれほど難しく、またその機会を得るのがいかに簡単ではないかは、時として感じたりはしませんか?

 自己表現の場は何もホームページだけではありません。ホームページは選択肢のひとつです。しかし、このひとつの選択肢が増えることによって、それまで機会のなかった人が、その機会を得たことになります。

 さて、せっかく持った「自己表現の場」も、誰も来てくれないホームーページでは意味ありません。では、どうすれば訪問者の多いホームページになるでしょうか?
 答えはひとつだけです。しっかりした中身のページを作ることです。もちろん、いきなりそんなものは作れません。時間も限られているでしょう。しかし、趣味のホームページ作りに締切りもノルマもありません。じっくり作りましょう。最初の構想さえきちんと練ってあれば、あとは時間をかけてしっかりした中身のページを作るだけなのです。
 もちろん、どんなしっかりした中身のページでも、そこにこんなページが存在することを周知させねば、誰も来てくれません。が、これはある種テクニックの問題です。これらについては後で触れます。まずはページつくりです。

 

構想を練る(1)

 さて。長くなりましたが、まとめると、こうです。

 ホームページを作る目的は、「自己表現」であること。そして、最初に構想を練って、しっかししたビジョンを持って、作り始めましょう、ということです。

 もちろん、完成度が高くなるにつれてこの「構想」はどんどんレベルアップしていきます。ホームページ作りに「完成」はありません。途中で構想が変わっても全く差し支えありません。だから、「とりあえず初期段階としてこんなページにしよう」というようなレベルで十分です。
 では、次章から、この「構想の練り方」について、考えていきましょう。
 

 

おまけ 情報を提供したい人へ

 「情報収集のためにインターネットをする」 これは、まあまっとうでしょう。
 しかし、「情報提供のためにホームページを開設する」というのは、さて、どんなものでしょう。個人レベルでいったいどんな情報が提供出来るというのでしょうか? もちろんそれが「役に立たないページ」などとは言いませんが、通常の手段では「ほとんど役に立たない」と言っていいのではないでしょうか。
 あなたが得られるような程度の情報は、他のところから探し出すことが出来ます。

 自分だけしか発信することが出来ないようなきめ細かな情報もあるでしょうが、そこまでローカル(?)な情報を必要とする人がどれだけいるでしょうか。

 「○○県○○市○○町○○丁目のおいしいラーメン屋さんベスト3」って、そんなもん世界に向けて公開する内容ですかね。いや、そういうコンテンツを否定するつもりはないですよ。確かに、それが役に立つという人もいるでしょう。しかし、ほんのわずかです。あなたのページはそのほんのわずかの人にしか見てもらえないのです。でも、やり方によっては、そんなページでもたくさんの人に見てもらうことが出来ます。それが、「自己表現」なのです。食のガイドブックに書いてあるような通り一遍の紹介や描写ではなく、あなたならではの視点で書かれた記事ならば、情報として役に立たなくても、「読み物」として愛好されるでしょう。  

 



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