2002年1月30日
司法上の全面解決に当たっての声明
ハンセン病違憲国家賠償訴訟西日本原告団
ハンセン病違憲国家賠償訴訟西日本弁護団
残された課題であった遺族原告及び入所歴なき原告について、本日、和解が成立した。
この和解は、去る1月28日に原告団協議会と国との間で結ばれた基本合意に基づくものである。基本合意は、国が誤ったハンセン病政策によって入所歴なき原告を含む全ての患者・元患者らの人権を著しく侵害し、偏見差別を助長し、多大な苦難と苦痛を与えてきた責任を認めて謝罪し、遺族原告らにも賠償一時金を支払う義務があることを明らかにしたものである。
われわれは、ここにハンセン病問題が司法上、全面的に解決したことを宣言する。
1998年7月わずか13名によってはじめられた本件裁判は、国を相手取った集団訴訟としては異例というべき早期全面解決を勝ち取ることができた。これをもたらしたのは、90年におよぶ誤った政策とこれによる差別・迫害に抗し、人間としての尊厳の回復をめざして、まさに命がけで闘ってきた原告らによる運動の力である。この原告らの怒りと訴えが、国民世論の熱い共感を呼び、歴史的な司法判断と画期的な政治決断を導いたのである。いわば、かつてない被害、かつてない訴え、かつてない決断が、早期全面解決をもたらしたといえる。
この場をかりて関係各位にあつく御礼申し上げたい。
ただし、司法上の全面解決は、ハンセン病問題の全面解決を意味するものではない。被害者全員の名誉回復、療養所における生活の保障、社会復帰の実現、根強い偏見差別の解消など、なお解決すべき課題が山積している。われわれは、全ての被害者の人間回復の日がくるまで、全力をあげてハンセン病問題に取り組む所存である。国民の皆様には今後とも、ご理解とご支援をお願い申し上げるものである。
以上
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