2003年12月25日

声     明

ハンセン病小鹿島更生園補償請求弁護団

 本日、韓国の小鹿島にある国立ソロクト病院に在住している入所者28名について「ハンセン病補償法」による補償請求を行った。第二次世界大戦前日本が統治していた地域の療養所からの請求はこれが初めてである。

 国立ソロクト病院の前身は、「小鹿島更生園」だった。「小鹿島更生園」は、1907年以来日本政府が取ってきたハンセン病に対する強制隔離政策の一環として日本政府によって作られた。日本統治下の朝鮮でも、日本国内と同様に、ハンセン病患者は小鹿島更生園へ集められ、作業を強いられ、懲罰が加えられ、結婚の条件としての断種も行われた。だが、入所者の処遇は植民地であっただけに日本国内よりもいっそう過酷を極めた。逃走を試みた者は監禁されただけではなく、死にいたるほどの暴行が加えられ、作業の過程でも日常的に入所者に暴行が振るわれた。懲罰としての断種も加えられた。園内に作られた神社への礼拝が強制され信教の自由も否定された。日本語をしゃべらなければ診療も拒否された。今回補償請求を行った28名は、いずれも日本の植民地時代に小鹿島更生園に収容され、過酷な処遇に耐えて生き抜いてこられた方々である。

 ハンセン病補償法は、わが国が取った強制隔離政策が「ハンセン病の患者であった者等にいたずらに耐え難い苦痛と苦難」を与えてきたことの反省から、「ハンセン病の患者であった者等のいやし難い心身の傷跡の回復と今後の生活の平穏に資することを希求して、ハンセン病療養所入所者等がこれまでに被った精神的苦痛を慰謝するとともに、ハンセン病の患者であった者等の名誉の回復及び福祉の増進を図り、あわせて、死没者に対する追悼の意を表するため」に制定された。このために同法は、収容された時期、収容された療養所、国籍、居住地の違いを一切問わず、「耐え難い苦痛と苦難を」経験したすべての者に相当な補償をすることを目的としているのである。日本統治下に強制隔離を受けた本日の請求者の方々も、当然この補償の対象となるべき方々である。

 厚生労働省は、ハンセン病補償法の正しい解釈の立場に立ち、これらの方々の補償請求を認め、法に従った補償を直ちに行うべきである。

 私たちは過去に日本の政府が行った過酷な強制隔離政策の犠牲者である人たちの今回の請求を擁護するとともに、多くの人たちのこの問題に対する理解と連帯と支援を求めるものである。