No.8 2001年4月28日 |
弁護団つうしん | 発 行 ハンセン国賠訴訟西日本弁護団 熊本市京町2−12−43 TEL096-322-2515 FAX096-322-2573 |
5.11 歴史的判決を前にして
流れは私たちの側にある
弁 護 士 徳 田 靖 之
らい予防法違憲国賠訴訟の熊本地裁判決がいよい目前に迫ってきました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。私たち弁護団は,全面勝訴を確信しながら一丸となって勝訴判決をテコに年内に全面解決を図るための準備を進めています。
そうした過程で,いくつかの極めて重要な動きが相次いでいます。超党派国会議員懇の結成,全療協支部長会議の新しい決議,そして全国ハンセン国賠訴訟原告団協議会の結成等々,勝訴判決に向けて大きな大きな流れができてきたと言っていいと思います。
中でも,去る4月5日に結成された「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」はうれしいニュースです。
この国会議員懇談会は,与野党を問わず,すべての政党から101名もの国会議員が参加して結成されたもので,会長に江田五月議員(民主党),事務局長に川内博史議員(民主党)が就任した外,顧問として,野中広務前幹事長,菅直人元厚生大臣,白保台一議員(公明党),藤井裕久幹事長(自由党),市田忠義書記局長(共産党),渕上貞雄幹事長(社民党),野田毅幹事長(保守党)が選任されました。
こうして超党派のしかも幹事長クラスが主力メンバーとして参加した議員懇の特徴は次の3点にあります。
第1に,ハンセン病問題の最終解決を進めることを目的にしているということです。
これは,ハンセン病問題は法廃止によって結着済みであるとする厚生労働省の主張を正面から否定するものであり,熊本地裁の判決をテコに法的責任に基づいた早期の全面的解決を図ろうとする私たちと全く同じ立場だといっていいと思います。
第2に,その趣意書に「訴訟の現場で闘っておられる原告・弁護団の方々を側面から援助」と明記されていることです。
国を相手にした国賠訴訟の原告・弁護団を,その判決が未だ出ないうちから,与党を含めて援助しようというのです。これはまさに画期的なことです。この趣意書を最初に目にした時,私は感動を抑えることができませんでした。
第3に,この議員懇では,「らい予防法」を制定し,それを長期間にわたって放置してきた国会自身の責任をも検証しようとしているということです。
私たちは,国会での集中審議や国会での謝罪決議をも求めていきたいと考えていますが,まさにこの議員懇は,そうした私たちの力強い味方になってくれるはずです。
私たちが目指すのは,熊本地裁での勝訴判決をテコにしての早期の解決です。
国に控訴をさせてはなりません。国の解決引き伸ばしを許してはなりません。
平均年齢75才の原告団にとって解決の長期化は,解決の無意味化につながります。そのためには,この議員懇を中心にしての国会のそして政治の力を大いに発揮してもらわなければなりません。
私たちが目指すのは,勝訴判決をテコにしての全面解決です。判決では,国の法的責任を認めさせ,賠償金の支払いを勝ちとることはできますが,私たちの求める解決は,あくまでも全面解決です。4月14日,15日に確定した5つの柱の全面解決要求のすべてを解決するためには,国会の場での政治による解決が不可欠です。
その意味でもこの議員懇の結成は私たちにとって文字通り力強い味方です。
流れはまさに私たちの側にあります。心を一つにして5月11日を迎えましょう。
熊本地裁 第14次提訴で562人に 全国では740人 声をかけ合い さらに大きく 弁 護 士 国 宗 直 子 4月13日に17名の追加で14次提訴を行ないました。西日本訴訟では、2月と3月の提訴に引き続いて、1月の結審後3回目の追加提訴です。2月が60人、3月が37人でしたらから、結審後に何と114人もの人が提訴しました。 |
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選出された役員 会長 曽我野一美 会長代理 谺 雄二 副会長 竪山 勲 同 金城 雅春 同 宇佐美 治 事務局長 国本 衛 |
ホームページだけの特別報告
各園ローラー(説明会)の場面から大島青松園訪問記
弁護士 古 賀 克 重
13年1月12日の結審後、全国の弁護団では、各療養所に最低月1回、入り込んでいます。今後の訴訟について説明するとともに、新たな原告の掘り起こしに努めるためです。今回は、香川県の離島、大島にある青松園の訪問について、ご紹介します。13年2月23日午前7時すぎの「のぞみ」で博多を出発。岡山からマリンライナーに乗り継ぎ、10時40分に高松駅に到着します。いつもは駅から徒歩10分の港に直行し、午前11時の船で大島へ向かいます。今回は、自民党の高松選出・真鍋賢二参議院議員の事務所を訪問します。午前11時,高松市内の事務所を,大島青松園の曽我野一美氏と八尋光秀代表,井上滋子弁護士,古賀にて訪問。真鍋議員は,自民党の厚生労働部会長。議員本人は、当然国会のため不在。秘書の方が議員室にて対応してくれました。まず,八尋代表から「党派を超えた支援をお願いしています。現在,国会では超党派のチームを作っています。自民党も、当時の野中官房長官が理解を示してくれた経緯もあります。地元である真鍋先生にもぜひご協力をお願いします」との趣旨説明を行いました。次に,長年にわたり、全国の患者組織の会長を務め、法廃止の機運作りを行った、曽我野一美氏から,「真鍋先生とは,全療協の会長時代,お世話になりました。これからの支援もお願いしたい。」との申入れを行いました。真鍋議員本人との面談を申入れると,「土日は帰ってきていますが、分きざみのスケジュールです。が,何とか調整したい。2週間前くらいにもう一度,お電話を頂きたい。その時点で日程をにらみながら,決めさせてください。」という前向きのご返事を頂きました。十分な手ごたえで真鍋事務所を後にしました。大島は離島のため、船の時間が限られています。11時のつぎは、午後1時50分しかありません。曽我野さんのお勧めで、屋島まで足を伸ばし「わら屋」という定評のあるうどん屋さんで、腹ごしらえ。ひと時の休憩を楽しみました。13時50分の船にて大島へ。瀬戸内弁護団の平井代表、神谷、大槻、井上、福岡の稲尾各弁護士が合流。14時20分ころ、天候のためかなり揺れる船にて、大島到着。午後14時30分から八尋代表が園内放送を行い、裁判の情勢などを報告。さらに厚生会館に移動し,原告の方々との意見交換を行いました。岡山の長島における原告を増やすためにも、九州、瀬戸内の弁護団がひとつの弁護団として、働きかけを行うことを確認するなどしました。そして、来月3月の訪問は,全療協の3園ブロック会議に合わせて,長島・邑久の原告団と合同にて実施する方向で準備することにしました。原告の中には、お体が不自由なため、意見交換会まで出向くことができない方も少なくありません。私の担当である、不自由者棟の女性4人を訪問。いつも賀状などのやりとりをしているのですが、訪問すると、皆さんが集まってくださいます。裁判の情勢はもとより、親族の方のお話など世間話に花が咲きます。その中で、皆さんが訴えるのが、「大島で死にたい」。4名とも戦前に強制収容された方々。収容期間は50年、60年になります。帰るべき故郷を失い、第二の故郷となった大島青松園。一時は700名を越えた在園者も、今は200名弱。瀬戸内に3園ある療養所をひとつに統廃合するのではないか・・・・・在園者の方々は、そのような「第二の強制収容」を恐れます。国の法的責任に基づき、全国13園における処遇を生涯に渡り保証させることも、裁判の目的に他なりません。
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