私たちは、以下のとおりの最終的な全面解決を要求しています。この実現のために引き続きご支援ください。

　　　全 　面 　解 　決 　要 　求 　書 

2001.6.22

ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会

東日本訴訟原告団

瀬戸内訴訟原告団

西日本訴訟原告団

全 国 ハ ン セ ン 病 入 所 者 協 議 会

ハンセン病違憲国賠訴訟全国弁護団連絡会

東日本訴訟弁護団

瀬戸内訴訟弁護団

西日本訴訟弁護団

　私たちは国に対し、本年５月１１日に言い渡された熊本地裁判決が確定したことにより明確となった国の責任に基づき、ハンセン病問題の全面解決のため、直ちに以下のような対策を講じることを要求する。

第１　真摯な謝罪

　　　違法な強制隔離政策による人権侵害の重大さ・深刻さを自覚し、ハンセン病患者・元患者に対し、真摯な謝罪すること。

第２　名誉回復措置と損害賠償

　１　謝罪広告などにより、広く社会に対し、ハンセン病患者・元患者の名誉回復措置をとること。

　２　全被害を償うにふさわしい賠償金を支払うこと。

第３　恒久対策

　１　在園保障

　(1) 療養所での生活を希望する者に対しては、療養者の減少などがあろうとも、統廃合を行わず、終生在園を保障すること。

　(2) 療養所の医療、施設、看護・介護体制を整備充実すること。特に、不自由者棟の看護体制を強化するため、看護婦の増員によって、三交代勤務を速やかに実施すること。

  (3) 従来通りの給付を維持すること。

　２　社会復帰及び社会生活支援策

　(1) 社会復帰を希望する者及び既に社会内で生活している者に対しては、新たな年金の支給、住居の確保・日常生活の介護・退所準備金の見直しなど、社会生活を送る上で必要且つ十分な支援を行うこと。

　(2) 通院・在宅治療のための医療体制を早期に整備すること。

　３　医療・福祉の拡充

　(1) ハンセン病元患者の医療や福祉が円滑に受けられるよう制度の整備、確立を図ること。

　(2) 視力障害者・身体障害者・高齢者の三対策を充実すること。

　(3) 心理面のケア対策を行うこと。

　４　差別・偏見の解消

　(1) 差別禁止法を制定するなど実効性のある差別・偏見解消策を立案し、実行すること。

　(2) 偏見・差別に苦しむ家族・親族に対し、支援対策事業を行うこと。

　(3) 差別・偏見に苦しみながら無念の死を遂げ、しかも遺骨の引取先もない犠牲者について、名誉回復・被害回復の措置をとること。

　(4) 差別・偏見解消のためのハンセン病教育を実施し、啓発活動を拡充、強化すること。

　(5) 差別・偏見によって患者・元患者がどのような被害を受けたのか実態調査をすること。

第４　真相究明と再発の防止

　１　情報の開示

　　　９０年に及ぶ誤った強制隔離政策の真相を明らかにするため、国の有する全ての情報を開示すること。

　２　真相究明委員会の設置

　　　真相を究明し、二度と同じ過ちを繰り返さないため、原告団や全療協・学者などを含む外部機関を設置すること。

　３　ハンセン病資料館の充実

　　　ハンセン病の歴史や資料を後世に残すため、ハンセン病資料館を人的にも物的にも拡充させること

　４　感染症予防医療法の抜本的改正

　　　現行の感染症予防法は、感染症差別の解消及び感染症患者の人権保障について不十分であるので、抜本的に改正すること。

第５　継続協議の場の設定

　　　以上の要求事項に関し、原告団・全療協の意向を常に反映させるため、厚生労働大臣との協議を含む継続的な協議の場を設定すること。