短歌


奈々は短歌を書いています。
下手くそだけど発表していきます。
よろしくおねがいいたします。


病室のカーテン越しにわが名呼ぶ
明るき声は乳癌の人
*
一人部屋に腕をまくりてみつめをり
ツベルクリンの赤きふくらみ
*
病室の扉の陰より見し吾子の
「まんま」と言ひし声切なくて
*
レバー切る包丁の先にほとばしる
我と等しき血潮の赤さ
*
久し振りに食す素うどんの
「ああうまい」ひとりごちたり一月六日
*
床下のあまたの虫も苦しむか
シロアリ駆除の薬にむせつつ
*
ひたすらにただ叫びたし緑濃き
庭の樹木に囲まれて居て
*
木陰くらきブロックの隅にひっそりと
かさなりてをり二匹の甲虫
*
降り続く雨音しづか我が家の
庭草の緑つやつやとして
*
夜深く隣ベッドに病む人の
酸素ボンベはさざなみの音す