これまでは初手のポジションプレーについて解説してきたわけだが、 ここからはフロップ以降のそれについて話を進めていきたい。

まずは、ポット獲得に近づくために相手を振り落とすポジションプレーの基本を押さえておこう。


seat1: tight [bb]; CHECK
seat2: loose; FOLD
seat3: tight; FOLD
seat4: typical; FOLD
seat5: loose; FOLD
seat6: tough; FOLD
seat7: tight [B]; FOLD
seat8: typical [sb]; CALL

あなたは8番のプレイヤーとのヘッズアップであるが、残念なことに手札は72oである。しかし、勝負はここからである。
フロップには何もヒットせず、相手がチェックしてきたとしよう。この時、あなたはチェックも出来るし、ベットすることも出来る。もし、相手が何も持っていないとみれば、ベットしてポットを取ろう。
このように、チェックしてショウダウンしても勝ち目がないような時、ポジションに頼ってベットすることが出来る。


もうひとつ例を示そう。

seat1: tight [B]; RAISE
seat2: loose [sb]; CALL
seat3: tight [bb]; FOLD
seat4: typical; FOLD
seat5: loose; CALL
seat6: tough; FOLD
seat7: tight ; FOLD
seat8: typical ; FOLD

あなたは同じ席に座っているが、今度のポジションはボタンであり、しかも手札はAKである。
3名のコーラーを得て、フロップは2-6-Q。まるでヒットしていない。だが、すべてのプレイヤーからチェックされたなら、ここでもチェックではなくベットである。誰しも、少ないポットを無理して争いたくはないもの。あなたのベットに対し、フォールドを選ぶプレイヤーは多い筈。


基本的に、ルーズなテーブルほど、きちんと初手でレイズをかけておく必要がある。しかし、フロップでも同じ威勢の良さでプレーすると、思わぬ痛手を負いかねない。
そこで、ポジションベットの悪い例を示そう。

seat1: tight [B]; RAISE
seat2: loose [sb]; CALL
seat3: tight [bb]; FOLD
seat4: typical; CALL
seat5: loose; CALL
seat6: tough; CALL
seat7: tight ; FOLD
seat8: typical ; CALL

あなたは手札AKでレイズをかけたが、多くのプレイヤーにコールされてしまっている。上の例と同じく、すべてのプレイヤーがチェックし、フロップで何もヒットしなかった場合、あなたはベットすべきか。
答えはノーである。これほど多くのプレイヤーがいては、何らかの手札をヒットされている可能性が高いと見なければならない。もしかしたら、あなたがベットしてくるとみて、チェックレイズのタイミングを窺っている相手だっているかもしれない。ここまでくると、ポジションよりも、手札そのものが勝利への条件となる。


続いて、ポットを膨らませるのに有効なテクニックを紹介したい。まずはチェックレイズから。

→ seat1: tight [bb]; CHECK
seat2: maniac; BET
seat3: typical; ---
seat4: tight; ---
seat5: typical; ---
seat6: tough; CALL
seat7: loose [B]; CALL
seat8: typical [sb]; FOLD

ボードは6-J-K、手札はKJでかなり強い手が出来ている。このような時には、はじめにベットしてしまうよりも、直後に控えるマニアックを上手く操って、なるべく多くのコーラーを巻き込むことを考えたい。タイトプレイヤーというイメージのついているあなたがベットするよりも、彼らがコールしてくる可能性は高いと思われる。
チェックしたsbが降りたが、あなたは2名のコーラーを得ることができた。もし、ターンでも同じような展開が望めそうなら、そこでチェックレイズをかけるのがポットを熱くするのに最も有効だが、欲張らずにここでレイズしてもよい。


seat1: tight; CALL
seat2: loose; CALL
seat3: typical; FOLD
seat4: tight; FOLD
seat5: typical; FOLD
seat6: tough [B]; CALL
seat7: tight [sb]; CALL
seat8: typical [bb]; CHECK

あなたのいるテーブルは、かなりタイトである。このような時には、強い手でレイズするとすべてが降りてしまうことも珍しくない。そこで、自分の評判を逆手にとり、タイトなテーブルで旨みのあるポットをとるポジションの使い方を紹介したい。
あなたは手札AKoだが、ここは敢えてリンプインしてみる。普段、このような手札でレイズすると思われているあなたは、アーリーからリンプインすることで、周りを幻惑することが出来る。

ボードは、3-7-Kと、タイトなテーブルにはもってこいの札。

seat1: tight; CHECK
seat2: loose; CHECK
seat3: typical; ---
seat4: tight; ---
seat5: typical; ---
seat6: tough [B]; BET
→ seat7: tight [sb]; CHECK
seat8: typical [bb]; CHECK

ボタンにいるプレイヤーはポジションの強さを知っているため、AKという強い札をもつあなたを含むすべてのプレイヤーがチェックしたのを受け、フリーカード(free card: 何のリスクも負わずに見ることが出来る札)を渡さないためにベットをした。4人程度ならば、たいてい彼のようなタイプは手札に関わらずベットしてくるが、初手にレイズが入らなかったために、KQ, QJ, QTといった中途半端な手札を持っている可能性も高い。もしもそうであれば、あなたが彼のようなタイプからチップを吸い取るチャンスである。このようなAKリンプインという小技は、ABCタイトという自分の評判を変える意味でも役に立つため、ちょくちょくと織り交ぜていきたい。
チェックレイズをかける際に注意しなければならないのは、相手が必ずベットしてくるかどうかの見極めである。すべてのプレイヤーがチェックしてしまえば、あなたは貴重なベットの機会を失うことになる。あなたが頻繁にチェックレイズをかけるプレイヤーであればあるほど、周りから警戒されてしまうので、いつでもワンパターンでチェックレイズを仕掛けてはいけない。繰り返しになるが、強い手をもっているときほど、基本はベットである。


さて、今度はレイズではなく、コールすることによってポットを膨らませるテクニックを示す。

seat1: tight; CALL
seat2: loose; CALL
seat3: tight; FOLD
seat4: typical; CALL
seat5: loose; CALL
seat6: tough [B]; FOLD
seat7: tight [sb]; FOLD
seat8: typical [bb]; CHECK

あなたのアクションはリンプイン、手札は99である。
フロップはA-9-K、UTGの8番がベットしてきたとする。ここで、あなたは素直にレイズした方が得か、コールしたほうが得かの判断を迫られる。わたしなら、後ろに控えるルーズプレイヤーを勝負にのせ、ポットを膨らませるためにコールである。ここでレイズしてしまうと、後ろのプレイヤーがすべて降りてしまう可能性がある。このように、レイズできる局面においてコールすることを、フラットコール(flat call)という。
ここでも、ポジションの優劣が関係してくる。この例とは逆に、あなたが一番最後のアクションならば、コーラーが多ければレイズし、少なければターンまでレイズを待てばよい。また、UTGに座っていて、直後のプレイヤーが必ずベットすることが分かっていれば、チェックレイズを狙いにいくことが出来るし、一番最後にアクションをするプレイヤーがベットしてくると分かっていれば、コーラーを挟む込むためにも最初にベットしておくのが良いであろう。このように、常に自分に有利な状況とすべく、ポジションを駆使することは大切である。


さて、ポジションに関する解説はこのあたりで区切りをつけたいと思う。
いざポジションについて語るとなると、これほど難しいものはなく、全体としてまとまりに欠けてしまった。意図してポットに触れなかった点も批判を受けそうである。それでも、わたしの基本的な考え方はあらかた盛り込むことが出来たので、ビギナーの皆さんには何度も読み返してもらいたい。
なお、ここでは触れなかったが、ポジションの弱さはベットやレイズの仕方によって克服出来る部分も多い。フリーカードを得るためのチェックレイズがその一例である。しかし、ここから先は敢えて触れずにおこう。単にわたしのテクニックを明かしたくないためだけではなく、皆さんが新たな発見をする喜びを残しておくためにも…。

もちろん、ここで挙げたテクニックが絶対ということではない。冒頭で挙げたAJの例をみて、はじめにコールで入るのはおかしい、AKなどのリレイズを誘うためにもレイズで様子見をする方がいい、という人もいると思う。それはそれでもっともである。わたしにとって問題となるのは、ポジションを常に意識して、すなわち、これまでのプレイヤーのとったアクション、そして、これからとるであろうプレイヤーのアクションを意識して自分のアクションを決めるということの大切さが伝わったかどうかである。単に、手札の強弱だけを見てコールかレイズかを決めるという段階は、少しでも早く卒業したい。
はじめのうちは、手札の強弱を判断することだけで精一杯かもしれないが、ポーカーの技術はそれだけを切り離して考えるものではない。ポジションやオッズ、テーブルの性質、それらをすべて総合的に考えなければ、納得のいくアクションを下すことは出来ない。
ライブゲームは、そう。トーナメント同様、実に奥が深いのである。


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