<第一幕>


       永倉、中村、原田が登場〜斬りあい〜
       河上、、斎藤、沖田が登場〜斬りあい〜
       岡田、土方が登場〜斬りあい〜

 由梨  (舞台裏から) お願い・・・やめて!!お願いだからやめて〜っ!!

       全員STOP MOTION

 由梨   好きで人を殺す人なんていない・・・そうでしょ?
       もっと楽に、楽しく生きようよ。
       好きなことやってさ、自分の好きなように生きようよ。
       ね?・・・お願いだから・・・。

       暗転(この間に抜いていた刀をしまう)

       明転

 全員   元治元年六月。
 中村   ひとりの女が、幕末を迎えたこの京都にやってきた。
       奇妙な格好をしている上に、奇妙なことを口走る、まさに奇妙な女だった。
 永倉   突然現れたかと思うと、突然姿を消して・・・まるで夢のように
       散々俺たちをひっかきまわしておきながら、急にいなくなった。
 沖田   彼女は確かに僕たちの何かを変えた。
       彼女は心の優しい女だった。
       けれどもしかしたら、一番の悩みを抱えていたのは彼女だったのかもしれない。
 岡田   おそらく彼女は、自らの生きる世界からこの幕末の京都に逃げてきたのだ。
       俺たち誰もが逃げることを望んでしまっている・・・
       この世界から。この時代から。そして、自分自身から。
 土方   だからこそ、彼女はここへやって来たのではないか・・・?
       自らを見つけるため、自らを見つめなおすため。
 原田   自らの生きる世界では、認められることも、必要とされることもなく、
       ただ必死に孤独と闘いつづけた。
       人は「明るくいい子だ」と言う・・・でも、それは表面の部分。
 斎藤   内面の彼女自身に気づいてくれる人は誰もいない。
       誰も気づこうとしない。
       親も友達も先生も、彼女に求めるのは表面のみ。彼女にはそれが苦痛だった。
 河上   それでも、彼女は我慢をし、演技をしつづけた。
       そうすることで、自分の居場所を見つけようとした。
       表面上の絆でも、失うのが怖かった。
 岡田   けれど、結果として、そのことがさらに彼女を孤独に導いた。
 永倉   そんな世界に耐えられなくなった彼女は、ついにその世界を捨てた。
 中村   周りの何もかも・・・世界そのものに嫌気がさした。
 原田   ・・・彼女は、自らの居場所を求めて・・・生命を絶った。
 斎藤   そうすることで、安らぎを得ようとした。
 河上   そうして、ここへやってきた。
 全員   彼女は風だった・・・
 沖田   優しくて、はかない・・・そよ風だった。
 全員   由梨・・・強くて、気高い、ゆりの花そのものだった。

       土方以外退場

 土方   強くて、気高い、ゆりの花そのものだった・・・。

       土方退場