Canon NewFD Lenses With New F-1

これからNewFDレンズを購入しようと考えている方へ、CarlZeissとNewFDを使い分ける事にした私の実体験をレポートします。なお、これはあくまでも私個人の所感であることを御了承下さい。皆様のご参考になれば幸いです。


newf-1

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CanonNewF-1
NewFD35mmF2
NewFD50mmF1.4NewFD85mmF1.2L
NewFD135mmF2
NewFD200mmF2.8IFNewFD35-105mmF3.5
TAMRON:SP90mmF2.8MACRO1:1


特別企画


お粗末!作例紹介のコーナー:NewFD Lenses

CanonNewF-1>S/N198820

特徴

Canonが満を持して発売したF-1の後継機です。
機能についてはここで説明するまでも無いので省略致しますが、とにもかくにもNikonF3と並んで、日本が世界に誇る一眼レフカメラの頂点に君臨したカメラである事は間違いありません。シンプルで機能的な操作性は複雑化したAFカメラ全盛の現在貴重な存在でした。何故CanonはNewF-1を捨て、NewFDレンズを捨て、AFカメラ一本槍になったのか未だ理解に苦しみます。NikonでさえF3を捨てる事になりましたが、変わりにFM3を登場させました。マウント変更の為やむなしと言うのなら、新しいEFマウントでF-1を復活させて欲しいと願うのは私だけではないはずです。この論争は言い出したら切りが無いのでこの辺にしておきます。
さて、一言で表現すると「信頼できるカメラ」と言えます。私の仕様はワインダーFNを装備して、ファインダーはアイレベルファインダーのままフォーカシングスクリーンをブライトレザーマットS(スポット測光・全面)に変更しています。被写体にカメラを向けて、構図を考え、露出を決め、ピントを送りシャッターをレリーズする。当たり前な事が妙に楽しくてたまらない。そんなカメラです。
現在の主力はContaxRTS3+Carl Zeissレンズですが、これはレンズ描写の好みがCarl Zeissにある為で、カメラとしてはRTS3よりもNewF-1の方が使い勝手も信頼性も上だと思っています。ワインダーFNを付けた時のホールディングの良さと立て位置レリーズボタンの使いやすさは比べ物になりません。
唯一、NewF-1を使っていて不便なのはストロボシンクロ速度が1/90と、RTS3の1/250に比べると遅く、中望遠の浅い絞りでの逆光シンクロ等ではNDフィルターを必要とする点です。
メインで使うレンズはNewFD35mmF2とNewFD135mmF2です。共にハイコントラストでヌケが良く、ピントもシャープで使いやすいレンズです。

購入秘話

購入価格:¥105,000(アイレベルファインダーモデル・金融新品)
購入店 :SPK

CanonA-1+モータードライブMA、シグマ70-210mmF4.5、トキナー400mmF5.6を下取りに出して購入しました。
当時は金融新品でこの値段で買えたのです。今は極上品の中古で同じくらいの値段で売られています。私の所有するNewF-1は、かなりこき使ったのですが、中古屋に並べば8万円はするくらいです。頑丈な証とも言えますので欲しい人は買って損はないと思いますよ。但し、追針式の露出計はそろそろガタが来ている物もあり、Canonでは修理して貰えないので修理専門業者に依頼する事になります。
ちなみにモータードライブの音が好きという理由で購入を考えている人がいたらNewF-1ではなく、F-1をお奨めします。どちらも甲乙付け難いのですが、とにかくかっこいいですよ〜。

ContaxRTS3との使い分け

主力はRTS3です。Carl Zeissレンズの描写は常に新しい感動を呼び起こします。NewFDレンズとの決定的な違いは次の通りです。

・ ハイライトが飛ばずにシャドーは潰れない。階調が良く再現される点。
・ 色の立体感がある点。
・ 特に広角系は逆光に強く、湾曲も少なく、空気感が再現される点。

NewFDレンズと共通している点はピントと絞りの回転方向が同じという事です。これは両者を使い分ける上で意外と重要なファクターになっています。ちなみにNikonとPENTAXは共通しています。
では、どういう場面でNewF-1とNewFDレンズが活躍するかということを、当家の子供の通う保育園での例等を挙げてご紹介いたします。

・運動会
 運動会は砂埃が舞う中の撮影です。しかも動く被写体なのでカメラのホールディングが重要になってきます。埃の進入しやすいCarl Zeissレンズとホールディング性能に劣るRTS3の組み合わせでは、どうにもなりません。当家の子供達の通っている保育園のグランドは、そんなに広いわけではありませんので135mmで充分ですが、広い場所では200mmを使います。

・お楽しみ会(室内)
保育園のお楽しみ会は父母席が満員御礼詰め込み状態です。こんな中ではやはりNewF-1のタフさを信頼して135mmF2と組み合わせて使います。1/90しかないストロボシンクロ速度も、お遊戯ではかえって子供の動きが出て、程良くなります。動けない席ですがズームレンズの必要性を感じた事はありません。お友達や背景もすっきり撮りたいのでISO400のフィルムを使い、F8位で撮ります。

・その他、結婚式等の室内撮影
NewFDレンズはストロボ光でのコントラストと発色が特に良いと思います。35mmF2を中心に50mmF1.4をアップの時に使います。又、NewF-1のシンプルな操作性は進行の中でレンズ・フィルムチェンジにすばやく対応でき、迷う事なく一連の動作を実行できます。RTS3は立て位置で握った時のグリップが薄く、ホールディングが最悪です。名前とは裏腹にじっくり構えて撮るカメラだと思います。

EOS-1はいらないか?

個人的には欲しいとは思いません。AFは突然、意図せぬ所にピントを送ってしまいます。AFフレームを設定すれば良いのですが、瞬時の判断では人の目+全面マットには敵わないでしょう。咄嗟の時にミスった場合、自分のせいなら諦めがつきますが、機械のせいでは…。子供が成長し、運動会イベントを動態予測AFで撮りたいと音を上げるまではMFに拘りたいと思います。
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NewFD35mmF2>S/N71764

newfd35mmf2 特徴

コントラストは高めで、ピントの切れが良く、線が細い。NewFDレンズの象徴的なヌケの良い描写をします。NewFDレンズ全般にいえるのですが、ハイライトが飛びやすい事とシャドー部の階調が今ひとつな点を除けば、欠点らしい欠点は見当たりません。お奨めのレンズです。私のNewF-1のメインレンズとして活躍しています。



購入秘話

購入価格:¥34,000(中古美品)
購入店 :N

NewFD35-105F3.5のピントの甘さとコントラスト特性に不満が有り、だいぶ前から狙っていたのですが、いかんせん¥30,000以上の出費を思うと踏ん切りがつきませんでした。購入のきっかけとなったのが、結婚式の写真撮影依頼でした。新婦の晴れ姿をぼやけたピントで写すわけにはいかず、結婚式前日に購入を決意しました。価格は相場より幾分高かったのですが、閉店間際で迷っている暇はありませんでした。
翌日、この玉の威力を思い知る事になりました。
とにかくピントの切れが良い。スパッと決まるのでAFでは味わえない写真の原点であるフォーカシングを思う存分堪能できました。ピントの良いレンズはフォーカシングも楽しくなるものです。
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NewFD50mmF1.4>S/N6053778

newfd50mmf14 特徴
コントラストはまずまずで、ボケもまずまずですが、NewFDの宿命と言いましょうか、ハイライトの飛びとシャドー部階調表現が良くないのが目立ちます。そのくせ白の抜けがもう一つなので、明るい背景がお好みでしたらクリアベースのフィルムを使った方が気持ちの良い作品になると思います。又、特にピントの切れが良いわけではないので、今ではメインレンズの座をNewFD35mmF2に譲っています。

購入秘話

購入価格:¥14,000(中古程度普通)
購入店 :SPK

この玉は学生の頃NewF-1購入時に中古で購入しました。購入の動機は85mm、200mmに続く明るい単焦点レンズが欲しかったからです。
これといった思い入れはなく、安かったので買っておいたというのが正解です。
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NewFD85mmF1.2L>S/N?

newfd85mmf12l

特徴

ハイコントラストでシャープな特徴を持ちます。しかし、ピント合わせには苦労します。トレーシングペーパー1枚といったピントでしかも甘い。NewF-1のフォーカシングマットはブライトレザーマットSでしたのでなおさらピントの山が判り辛い状況でした。
開放付近からコントラストが高く、F5.6まで絞り込むとシャープな描写が頂点に達する様です。NewF-1+ワインダーFNとの組み合わせではホールディングが良く、口径がでかいので、いかにも偉そうに見えます。とにかくカッコイイ。そんな高性能レンズでも気に入らない所がありました。スバリ、後ボケが汚い。
外観からは「ポートレート向きのレンズかな?」と思わせるのですが、どうにもこうにも複雑な背景ではボケがギスギスしてしまうのです。よく観察すると、Planar85mmF1.4とはボケの性質が正反対だという事に気がつきました。ある程度絞った時のPlanarのボケはボケの中心に芯が残り、この芯を中心に透明感のあるボケが拡散していくので優しく見えます。しかし、NewFDはというとボケの中心にあるはずの芯がにじむ様に広がります。場合によっては、本来芯が有るはずの中心の色が抜け落ちて、ボケの円周上に、にじんだ芯が移動してしまう事が有ります。フェンス等が背景に有るとこの現象が目立つので注意が必要です。このレンズでは、にじんで膨張した芯が重なり合う事でギスギスした汚いボケに見えてしまうのです。
この特徴を知った上で背景を整理し、F2くらいで撮ればシャープなポートレートが出来上がるはずです。決して悪いレンズでは無いので、興味のある人は試して見てください。中古相場は¥85,000〜¥110,000程度です。ポートレート命で予算のない人は、黙ってNewFD85mmF1.8にしましょう。こちらの方が柔らかい感じで、ポートレート向きだと思います。¥35,000もあれば良品が手に入るはずです。

購入秘話

購入価格:¥117,000(新品)
購入店 :Y      
売却価格:¥18,600(カビだらけソフトフォーカス状態)
売却店 :SS

高校3年の時になけなしの小遣いと、AE-1P+ワインダ−A2、そしてレンズメーカー製25-50F2.8-3.5、75-250F4.5-5.6を下取りに出して購入した虎の子です。この時手元に残ったレンズはNewFD35-105F3.5だけでした。
当時はA-1+モードラMAと組み合わせて使っていましたが、とにかく周りの注目を集めた事を覚えています。
結婚して子供が出来るとやはりポートレートの頻度が増してきます。乾燥剤に頼って、しまわれていた玉がカビだらけになったのを機会にPlanar85mmF1.4への乗換えを断行しました。この決断は遅すぎたと後悔しています。
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NewFD135mmF2>S/N27443

newfd135mmf2 特徴

NewFDの中では特にコントラストの高いレンズです。ピントの切れもシャープでヌケがよく、NewF-1+ワインダーFNとの組み合わせではホールディングが良いので手持ちで1/60が可能です。近距離撮影ではNewFD85mm1.2Lと異なり、望遠効果の為ボケの芯が薄れるのでクリアーなボケが得られます。ビシッと写したいポートレートには最適です。欠点は2線ボケの傾向が顔を出す事ですが、構図をうまく作れば解決します。とにかくお奨めのレンズです。




購入秘話

購入価格:¥56,000(中古極上品・赤はちまきのいたずら有り)
購入店 :DI

NewFD85mmF1.2Lを売却して、RTS3+Planar85mmF1.4を購入したのですが、どうもタフさが感じられず、砂埃の飛び交う運動会や、狭いスペースにごった返しになるお楽しみ会等では使う気がしないのです。そこで、NewF-1の出番という事になり、中望遠が欲しくなった次第です。今では手放せないレンズです。
中古で見つけた玉は光学系がきれいで、あまり使っていない極上品でした。前の持ち主がLレンズに憧れていたのか、赤いはちまきが施されていました。剥がすと汚いので、そのまま使っていますが、少し恥ずかしい・・・。
NewFD80-200mmF4Lという手もありましたが、ズームは嫌いなのでこちらにしました。
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NewFD200mmF2.8IF>S/N22293

newfd200mmf28 特徴

ピントの切れはまずまずで、シャープでヌケの良いレンズです。ピントの線は繊細でいかにもCanonといった描写をします。コントラストはそんなに高い方では無く、ボケはにじむ傾向が強く、正直うるさいです。曇りの日中にポートレートを取ると優しい感じにまとまりますが、背景の処理には注意してください。Sonnar180mmF2.8と比べるとピントがきて、繊細な立体感が表現出来、比較的カチッとした(NewFDの中では階調が良く出て柔らかい方。)作品に仕上がります。しかし、色の彩度と立体感まで繊細なピントが支配するのと、若干アンバー(黄色っぽい)な感じになりますので、無彩なポートレートに向いています。Sonnar180mmF2.8は立体感をピントの線で見せるのではなく、色の彩度とコントラストの微妙な変化で表現するので、赤や青といった彩度の高い色が入ったポートレートでは、柔和で立体的な作品に仕上がるので用途により使い分けています。よく、CarlZeissはアンバーが強く・・・等と言われますが、少なくともこの2本の比較ではNewFD200mmF2.8の方がアンバーよりでした。又、場合によってはF4まで絞っても画面中央部のボケが口径食の影響を受けるので注意して下さい。

購入秘話

購入価格:¥67,000(新品)
購入店 :Y

高校3年の頃85mmF1.2Lをゲットした後に購入したレンズです。当時はトキナー80-200F2.8とどちらを買うか迷った記憶があります。持ち金がギリギリで、「帰りの交通費が無くなるから、もう1,000円負けて!」と店員を困らせた事を思い出しました。
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NewFD35-105mmF3.5>S/N?

newfd35-105f35 特徴

フィルター径72mmが85mmF1.2L、200mmF2.8と共通だったのでフィルターワークには結構重宝しました。肝心な写りですが…。ピントが合う所がない。フレアが直ぐに出る。コントラストが弱い。階調表現出来ない。絞りと画角によるピント変化が激しい。35mmで湾曲する。少なくとも私が所有していた玉は、描写に関して良い所は見当たりませんでした。
尚、現在は手放してしまいました。





購入秘話

購入価格:忘れました。すみません。
購入店 :同上

特に有りません。ズームは嫌いです。学生の身分では贅沢品だったと思います。
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TAMRON:SP90mmF2.8MACRO1:1>S/N000097

特徴

とても柔らかい表現をするボケの形のきれいなレンズです。しかし、少し色被りする傾向がありますので注意が必要です。ポートレートにも良いと聞いたので早速試してみましたが、まずまずといった感想です。言葉にすると難しいのですが、中距離開放ポートレートでは昔の郷ひろみ・西城秀樹の頃のアイドルブロマイドっぽい、厚ぼったいピントの線を持った感じに仕上がります。
昔、TAMRONのSP24mmF2.5というレンズを使っていましたが、共通した描写だと思います。好き嫌いが分かれると思いますが、ポートレートで使うなら私は遠慮します。やはりこのレンズはMACROで使うのが良いと思います。マクロレンズとしては優秀ですね。柔らかいボケと柔和な色調がF2.8の開放描写の特徴です。NewF-1との組み合わせではホールディングが極めて良く、開放マクロ大好きな私は手持ちで1:1撮影に励んでいます。マクロPlanar100mmF2.8+RTS3では出来ない芸当だと思います。2001年春のマイブームです。

購入秘話

購入価格:¥37,500(新品MF)
購入店 :Y

マクロPlanar100mmF2.8が欲しかった。しかし、あまり使わないマクロレンズで定価¥198,000中古¥120,000を買うだけの度胸と資金が無かったので、NewFD100mmF4とこのレンズ、どちらにしようか迷いましたが、将来マクロPlanar100mmF2.8を買うまでの繋ぎと思えば、マウントアダプターでCanonにもContaxにも付けられるこのレンズでいいと判断しました。と言ってもContaxには付けていませんが。描写もこちらの方が柔らかい感じですし、正解だったと思っています。色被りは勘弁して欲しいと思いますが、その他は概ね満足しています。それにしても、いつになったらマクロPlanarが買えるのかな…?

※注意
FDマウント用アダプターで銀色の締め付けリングを持つものは、シャッターを切った後に絞りが戻らない事があるので、黒い締め付けリングの物に換えて下さい。
現在新品で売られている物は、全て黒いタイプです。中古で買う場合は注意が必要です。
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