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ニラ

英名/Leek 古エジプト名/イアケ・ト
年代 地中海沿岸が起源とされ、古代エジプトでも古くから食べられていたと考えられている。
確かピラミッド建造者が食べていたという触れ込みでしたっけね(笑)
利用例 ●人に噛まれた傷に。アーネジュウ鍋(何だろうコレ)とニラを小さく砕いて柔らかな塊にし、患部に塗り、包帯をする
●火傷の痕を目立たなくする。赤色黄土をシカモアの乳香内ですりつぶし、コロシントウリを入れ、さらに磨り潰して包帯をしたように塗る。それから外科の切開手術をし、小さく刻んだニラ、エンドウマメの実を混ぜ、患部に塗り包帯をする。
コメント 漢方薬では滋養強壮・興奮剤など色々な用途に使われているもので、エジプトでは、現代でも喘息や緩下剤(かんげざい)として用いられているという話だ。


英名/Lotus 古エジプト名/セシェネ
年代 下エジプトの創世神話に「生まれたばかりの太陽は蓮の上に乗っていた」というものがあることから、かなり古くから栽培されていたものと考えられる。
利用例 ●肝臓の薬に。ハスの葉、ワイン、キリストノイバラの粉末、イチジク、ミルクなどをかめに入れ、一晩さらして裏ごしし、四日間飲ませる。
●血尿に対して。磨り潰したマンナ豆実、イグサ、シカモア、新鮮なナツメヤシ、ハスの実などを水に入れて混ぜ、裏ごししてすぐ飲ませる。
●毛髪を成長させるために。ハスの葉を油か脂肪に入れて煮、頭につける。
コメント セシェネが「ハス」なのか「スイレン」なのかは本によって書き方が違う。現在エジプトにある種は白い花の咲くもののようだ。このサイトではとりあえず「スイレン」としてある。
神話におけるセシェネの役割は、万能薬か霊薬のようなもの、美と健康の象徴。ネフェルテム神の項をご参照あれ。


パセリ

英名/Parsley 古エジプト名/メアテト、ヘアセト
年代 原産は地中海沿岸。エジプトでも昔からあったと考えられる。エジプトでは「山のセロリ」と呼ばれ古代から存在した。
利用例 ●排尿を保つために。パセリ、下エジプトのセロリ、イベウ植物(正体不明)、ジュニパーの実などを水に浸し、一晩置いたあと裏ごしし、四日間飲ませる。
●腸の中のガスを排出するため。脂肪の多い肉、タイム、パセリ、乳香、新鮮なパンなどを甘いビールとともに食べさせる。
コメント 現代のエジプトのパセリを見るに、水が少ないせいか骨太で葉っぱも硬いんで、日本のものとはちょっと違うカンジなんだよなぁ。


ハッカ

英名/Mint 古エジプト名/メユト・ト
年代 古代エジプトではすでに薬として使われていたようだが、種類が多いため、東洋のものとは違っていただろうとされる。
利用例 ●睾丸炎に。ジェアセ植物(正体不明)と、ハッカを細かく砕き、苦しんでいる男に食べさせる。
コメント …喉には使わなかったんでしょか。発見されている使用例が少ないようで。


パピルス

英名/Papyrus 古エジプト名/メヘイト
年代 もちろん昔からあった草です。敷物にも薬にも食べ物にも使えます。
利用例 ●かすみ目を取るために。ゴム樹脂とパピルスの葉芽、骨髄、蜜蝋などを混ぜ、目の外側に付ける。
●体のこわばりを取るために。上エジプト産ヒルムシロ属の水草、下エジプト産のヒルムシロ属の水草、パピルスなどを混ぜ、患部に塗り、包帯をする。
●火傷した最初の日に、煮たマンナ、オオムギ、カヤツリグサ、パピルスなどを蜜蝋に入れて混ぜ、柔らかな塊にして火傷につける。
コメント その他、パピルスについては用法が色々あります。それだけで一冊の本があるくらい語りどこのある植物。ちなみに現在は、ナイルの増水がなくなったのと、使いすぎたのとで、本家のエジプトでは元の種が絶滅してます^^;


バルサム

英名/Balsam Mecca 古エジプト名/セネヌ
年代 実際にセネヌがバルサムなのかどうかは微妙。
利用例 ●視力を良くするために。黒い目の化粧品、アロエ、バルサム、赤色ミネラルなどを混ぜ、柔らかな塊にして目に塗る。
●目の中に出来た赤いできものを取り除くために。赤色黄土、黒い目の化粧品、バルサム、蜂蜜の発酵生成物を混ぜ、磨り潰してやわらかい塊にし、四日間両目に塗る。
コメント バルサムノキというのがあるんですが、それなのかどうなんだか。


パン

英名/Bread 古エジプト名/ペレネ・テ
年代 もちろんパンはエジプト人の主食。オオムギ、スペルト小麦、エンマー小麦などの穀物で作られたパンやケーキが多種あります。
利用例 ●腹部と肛門の薬として。ガチョウの脂肪、蜂蜜、タイガーナッツ、新鮮なパンを混ぜ、裏ごしして一日に飲む。
●舌炎に。ウシの脂肪、牛乳、新鮮なパンなどを混ぜ、口の中でよく噛ませる。
●傷を乾燥させるために。オオムギで作った古めのパンを傷口に充て、出ている汁を吸い込ませるようにする。それからウシの脂肪を傷に塗り、包帯をする。
●駆虫剤として。赤色黄土、二種類のパンなどを甘いビールに入れ、されいに磨り潰して裏ごしし、一日に飲ませる。
コメント パンは補助的な薬として使われていたようです。


ヒヨス

英名/Hyoscyamus 古エジプト名/ペセジェ
年代 エジプトの下流は原産地域の一部です。
利用例 ●膿汁をキレイにするため。ヒヨス、ナツメヤシ、ビールなどをロバの乳に入れて煮込み、裏ごしして四日間飲ませる。
●関節のこわばりを和らげるために。ヒヨス、ソラマメ、黒い火打石、コロシントウリなどを磨り潰して混ぜ、関節に塗り、包帯をする。
●体のこわばりを和らげるために。不明のセウネ植物、コロシントウリ、ヒヨス、ソラマメなどを油か脂肪とともに蜂蜜に入れて混ぜ、磨り潰して塗りつけ、包帯をする。
コメント ヒヨス「マメ」なら、ふつーに食用。薬草としてのヒヨスは、葉に強い毒性のある物質を含み、日本の漢方としては、劇物に指定されているとか。鎮静、鎮痙に使われるようです。


ブドウ

英名/Vine 古エジプト名/イアレルト
年代 ブドウの原種は古くからあり、紀元前3000年ごろから栽培されていた模様。もちろん品種改良されたものが古代にあったワケではないので、皮が厚く種の大きなブドウだったはずだ。
利用例 ●利尿薬として。ゴム、ブドウ、カノコソウなどを蜂蜜と混ぜ、柔らかな塊にして就寝前に食べさせる。
●黄疸に。イチジク、セベスチン、アニス、裂け目を入れたシカモアの実、ブドウの実、乳香などを甘いビールに入れ、一晩夜露にさらし、裏ごしして四日間飲ませる。
●心臓と肛門を冷やして熱を取るために。ブドウ、マンナ豆のさや、アニス、蜂蜜を水にまぜ、裏ごしして四日間飲ませる。
コメント ブドウの処方は、すべて「食べる」タイプのもの。生のブドウだけでなく、干しブドウを使った処方箋もある


ブリオニア

英名/Bryonia 古エジプト名/クェァセユ・ト
年代 いつから使われていたかは定かでないが、今でもエジプトで使われている伝統的植物。
利用例 ●腹の中の病気を取り除くために。ブリオニアをブタの脂肪とともに煮て、若い婦人の尿とともに患者に塗る。
●腹部の腫脹(しゅちょう)を取り除くために。イチジク、セベスチン、干しブドウ、ミルク、さけめを付けたシカモアの実、ブリオニアの実、黄土、乳香を水に入れて一晩夜露にさらし、四日間飲ませる。
●規則的な排尿のために。蜂蜜、タマリンド、カヤツリグサ、シカモア、ブリオニアの根、粥などを熱して裏ごしし、かめに入れる。翌朝早くにふたを開け、それを飲む。
コメント あんまり馴染みのない植物だと思うのですが、一応。つる植物です。下剤として使われるものだそうです。


マツ

英名/Pine 古エジプト名/?
年代 昔から生えている。日本の松とは、もちろんだいぶ違うのだが…
利用例 ●膀胱と肛門の熱をとるために。天然炭酸ソーダと赤色黄土、乳香、マツの実、蜂蜜などを綺麗にすり潰して塗り、包帯をする。
●火傷の傷の手当てに。クブウ植物(正体不明)、セロリ、マツの油などをすり潰し、頻繁に塗りながら、包帯を巻いておく。
死者や悪霊を取り除く。カノコソウ、蜂蜜、マツの油などを混ぜ、柔らかな塊にして塗る。
コメント 古代エジプトでは、マツの実を使う方法、樹脂を使う方法、皮を使う方法など、処方によっていろいろ。
マツの樹脂は日本でも皮膚の刺激剤として使われている。


マンナノキ

英名/? 古エジプト名/ウアーヘ
年代 エジプトには沢山生えているものらしい
利用例 ●嘔吐に対して。牛乳とマンナのさやを鍋に入れ、火にかけて煮る。マンナはよく噛んで、ミルクとともに飲み込ませる。
●下腹部の熱をとるために。すり潰したマンナのさや、蜂蜜、油か脂肪、ギンバイカなどを混ぜ、下腹部に塗って包帯をする。
●血尿に対する薬として。マンナのさや、イチジク、ブドウ、アニスなどと水を混ぜ、裏ごしして就寝前に飲ませる。
コメント トネリコ属の木です


ミロバラン

英名/Myrobalan 古エジプト名/ネジェメ
年代 原産はインドからセイロン、ビルマにかけて。古代エジプトに何時ごろ入ってきたのかは不明。
利用例 ●腹の中を空にするために。ミロバラン、ミルク、蜂蜜、コロシントウリ、ワインを煮て裏ごしし、四日間飲ませる。
コメント ネタに使えるかなーと思って入れてみた…。


ミルラ

英名/Myrh 古エジプト名/アーネテュウ
年代 いわゆる没薬。エジプトには無かったので、輸入品。高価なものだった。
利用例 ●頭痛に。クミン、アギの樹脂、ミルラ、ベン油、ジュニパー、ハスの葉をまぜ、すり潰して頭に塗る。
●丹毒に。柔らかなミルラ、シダ類、かめのある部分と蜂蜜を混ぜ、柔らかな塊にして塗る。
●かすみ目に。ミルラ、シダ類、コロシントウリ、緑の目の化粧品などと白い油を水に入れて混ぜ、一晩夜露にさらし、裏ごしして四日間飲ませる。
●死者や悪霊を取り除くため。新鮮なミルラ、黄土、シカモアの乳状液、ギンバイカを混ぜ、柔らかな塊にして患者に塗る。
コメント お香として焚くもアリ。


メリロータス

英名/Melilotus 古エジプト名/アーフェア
年代 数あるハギの中でも、古代エジプトにあったのがどれなのかは微妙なところ…
資料にした本では、日本語は「コゴメハギ」とされてました。
利用例 ●回虫駆除の内服薬に。メリロータス、ニガヨモギ、植物粘液をまぜ、柔らかな塊にして食べさせる。それによって腹の中のすべての虫が流れ出る。
●咳がひどく嘔吐するのに対し。メリロータス、甘いビール、油か脂肪、ギンバイカなどをすり潰し、かめに入れて一晩おいたあと裏ごしし、四日間飲ませる。
●耳の中にある粘液成分を取り除くために。メリロータスをラタ゜ナム樹脂と混ぜ、耳の中につける。
コメント 木の匂いは甘いかんじらしい…。


ヤナギ

英名/Willow 古エジプト名/テレト
年代 ヤナギというと日本的だが、古代エジプトの川辺にはありふれた植物。ピラミッド付近にも生えている。
利用例 ●冷湿布に。アカシアの葉、ヤナギの葉、シカモアの葉、エンマーコムギの趣旨とゴムの水溶液を混ぜ、四日間塗って包帯をする。
●胸の傷の奇形の手当てに。冷やして傷口から熱を出す。ヤナギの葉、キリストノイバラの葉とセネテユを混ぜ、傷につける。
コメント 樹皮からはリウマチの特効薬が作れるらしい


英名/ 古エジプト名/
年代
利用例
コメント



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