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エンディング(ED:10-ED:012)


ED:10 豊穣祭

<灰色の町・神殿前。祭りの準備が進んでいる。メルカが主人公に近づく>

神官メルカ
「ここにおられたのですか、守護者殿。」

神官メルカ
「もう、祭りがはじまりますよ。」

主人公
「うん。みんな、楽しそうだね」

神官メルカ
「それはもう。
 なんたって、年に一度の収穫祭です。無礼講ですから。
 このような暗い時代にあっても、
 \N[1]様のお陰で、この谷は平和なままです」

主人公
「ここは、峠を越えた先だから、あんまり人も来ないしね」

神官メルカ
「そうですね。
 まさか、こんなヘンピな場所に、こんなに豊かな町があるとは、思わないでしょうし、…」

<ネフェルトが駆けてくる>

ネフェルト
「ねえ、何してるの? みんな待ってるんだよ。
 はやく、始めようよ!」

神官メルカ
「あ、あ、そうでした。すぐ行きます。すぐに…」

<ネフェルトとメルカ、去っていく。人々が祭りを始める>

主人公
「谷を吹く風は、今日も優しい。
 …半分は、マアディのおかげ。
 ずっと、このまま――みんなが笑顔で暮らせたら、嬉しいな…」

主人公
「…あ、ちょうちょ」


― ED:10 ―

谷に守られた、静かな灰色の町は、その後も、平穏な暮らしを続けました

その町が何処にあったのか、今では知ることは出来ませんが、
案外、今もまだ、そこに町があるのかも、しれません


ED:11 谷の守護者

<町の近くの峠道。主人公が一羽の鳥を空に放している>

主人公
 「もう、羽根の具合は大丈夫?
 ……そか。
 じゃあ、気をつけて行くんだよ。」


 「元気そうだね、【】」

<主人公、振り返る。トトが現れる>

主人公
 「あ、こんにちは! どうしたんですか? 急に…」

トト
 「君のことが少し、気になっててね。もしかして、後悔していないかと…」

主人公
 「あの時の、答えですね」

トト
 「道を選ぶあの時、君は、言った。"疲れたので、守護者を辞めたい"
 人とともに生きてはいても、全ての人と、直接語り合うことは出来ない。
 今の状態に君は、満足していないのではないかと…」

主人公
 「そんなこと、ないです。
 もう、守護者を辞めたいなんて、ぜんぜん思ってませんから。
 あのときはまだ、分かっていなかったんです。
 肉体に触れることも、声に出して語り合うことも出来ない。
 だけど… だけど、それ以上に… もっと人に近い場所に、居られるってこと…
 それが、守護者という存在、だったんですよね」

トト
 「そう…。
 それが、"人の祈りを聞くもの"。人の、心のうちを知るもの。
 今の君には、人以外の祈りの声も、聞こえているようだけどね」

主人公
 「この谷を守っていくって、マアディと、約束したから。」

トト
 「―――灰色の谷の守護者、【】。
 今いちど問おう。君は… …今、満足している?」

主人公
 「はい。」

トト
 「そうか。安心したよ。
 …君はきっと、良い守護者になれる。
 時が流れ、人々の心が変わっても…きっと、共に歩んでいける」

主人公
 「…あなたも」

トト
 「ん?」

主人公
 「大地に生きる、すべての魂の声を聞くもの。
 あのとき、ほんのちっぽけな僕の声を聞いてくれた。
 きっと、あなたも…ずっと先まで、人とともに、歩み続けるんだと思う。
 そんな気がする」

トト
 「そうであることを願うよ。
 人々が暴力におぼれ、理性を失うことの無いように。
 誰かが、この名を思い出し、呼び続けてくれることを」

主人公
 「……。」

<フェードアウト>

― ED:11 ―

灰色の町には、それからも変わることなく人々が住み続けました
長い時が流れ…、
やがて、古代の神々が姿を消してしまう時代が訪れた後も
人々は時々、かつて共に生きた神々の名を思い出し、
昔のことを語っては、懐かしんだといいます


ED:12 決別


<谷の道。逃げる採石場の労働者たちを、兵士たちが追いかけている。労働者たちが立ち止まり、両者は対峙する>

王軍の兵士
 「追い詰めたぞ。もう逃げられん」

王軍の兵士
 「政府に逆らう、灰色の谷の反逆者ども。観念して、おとなしく年貢を納めろ」

灰色の谷の住人
 「イヤだね!」

王軍の兵士
 「陛下は、いたくお怒りだぞ。拒めば、大軍が押し寄せよう。
 お前たちの、ちっぽけな町などあっという間だ」

灰色の谷の住人
 「それはどうかな?」

灰色の谷の住人
 「お前たちは、いつもそうだ。
 力づくで押さえつけ、従わぬ町を打ち壊し、女子供にいたるまで奴隷のように働かせる。
 俺たちは、そんな王になど従わない!」

灰色の谷の住人
 「貴様らの神など、偽の神だ!」

王軍の兵士
 「おのれ、言わせておけば! どうなるか、わかっているのか!」

灰色の谷の住人
 「何を恐れよう。我らには、偉大なる守護神がついている。
 見よ、ここは既に、かの神の聖地なり!」

<応えるように、咆哮が響く。うろたえる兵士たちの前に、一頭の巨大なライオンがあらわれる>

王軍の兵士
 「?!」

王軍の兵士
 「ひっ…」

王軍の兵士
 「う、うわわっ」

王軍の兵士
 「た、助けてくれ。鷹神ホルスよ、どうか、お助けを〜〜ッ!」

ホル
 「やめろ!」

<ホル登場。ライオンと兵士の間に割って入る>

ホル
 「――お前、なんだろ? 【】……」

<ライオンの姿がフラッシュし、主人公(成長後)に変化>

ホル
 「なんで、こんなこと…。相手は王軍だぞ? 分かってるのか?」

主人公
 「相手が誰であろうと、この谷の住人を傷つけようとするものは許さない。」

ホル
 「この谷の連中が王に従わないのは、お前のせいなのか?
 …そうなんだな?
 なぜ、逆らったりする。王とは、神に認められた、地上の権利の代行者――」

主人公
 「その王とやらが、この百年に、何十人いたと思う?
 戦が起きるたびに、神々はその守護を、違う人間に与える。
 栄光は一時のものにすぎず、しかも、この国には、王を名乗る者が
同時に何人もいる。
 誰が本当の王なんだ。王とは、一体何だ?それを決める神とは?
 ――以前の君なら、同じことを疑問に思っていたはず…」

ホル
 「……」

主人公
 「マアトは失われて久しく、誰も神殿を訪れない。
 王の権威が地に落ちたとき、君たちの権威も失われたんだ。
 信頼されない神に意味は無い。君たちには、もはや何の力もない」

ホル
 「なんだと?!」

<主人公に近づこうとしたホル、阻まれる>

主人公
 「今の君に―…僕が、止められると思うか…?」

ホル
 「……!」

<主人公、ホルと兵士たちを攻撃>

王軍の兵士
 「ぎゃあ」

王軍の兵士
 「ひッ」

王軍の兵士
 「わあぁ」

王軍の兵士
 「あああ゛っ」

王軍の兵士
 「うわああっ、に、逃げろーッ」

王軍の兵士
 「あ、あわわ、もうダメだ。やっぱり神様は助けてくれない」

ホル
 「…!」

<兵士たち、逃げていく。ホルは呆然とそれを見送る>

灰色の谷の住人
 「アハハ、見ろよ、奴らめ逃げていくぞ」

灰色の谷の住人
 「ざまあみろだ。この谷には、ニ度と踏み込むんじゃない。
 ここは、お前たちのニセモノの神なんかじゃない、本物の神様に、守られた土地なんだからな!」

ホル
 「人間に直接、危害を与えるなど…人と人との争いに介入するなど、
 お前、それは…!」

主人公
 「僕は、この谷の守護者。谷に害なすものは、たとえ人であれ排除することが出来る。
 なぜなら、僕には…王に従えという くだらない制約も、すべての人を守れという命令も、無いからだ」

ホル
 「変わったな、お前」

主人公
 「変わったのは、君だ。
 かつて、王に逆らって自分の町を守ろうとした君が――今や名前だけの王たちの庇護者」

ホル
 「オレは――」

主人公
 「守護者にとって最も大切なことは、己の町を守ること。
 そこに住まう人々とともに、生きること。
 それが分かるなら、僕が、この谷を守るために、谷を閉ざした意味も理解できるはずだ。」

ホル
 「【】……」

<主人公と谷の人々が去っていこうとする>

ホル
 「【】っ!」

<主人公、立ち止まる>

主人公
 「民を苦しめる王など認めない。
 大地は誰のものでもない。ここに生きる人々は自由だ。
 これからも、ずっと……。」

<ホル、立ち尽くす。主人公、画面外に消える。フェードアウト>

― ED:12 ―

大地は幾つもの権力に分かたれ、
再び一つに戻るのは、百年も後のことです
混乱の時代の中で、砂漠のオアシス、谷間の町、国境の町などが、
次々と離反し、独立していきますが…
そのうちの幾つかは、国が平定されたのちも独自の道を、歩み続けることとなります
やがて、文明が斜陽の時を迎え、多くのものが、かつての姿を失ってゆく中、
彼らだけが、古い姿を残していたのでした


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