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もしも日本にピラミッドを作るなら。(1)

合成画像です。/山の写真→かもめ工房(閉鎖?)/ピラミッド写真→OsirisExpress

日本にもピラミッドがある! と主張する人は、いる。綺麗な四角すいの形(いわゆるピラミッド型)をした山は何でもピラミッドと呼んでしまっているわけだが、そういうアリガチでベタなネタではなく。
もしも日本にピラミッドを作るとしたら。
別に誰もそんなん作りたいと思わないだろうが、敢えて「作るとしたら」と仮定して、余計な空想をしてみたい。

・ここで言う「ピラミッド」は、取り合えず一番ポピュラーなところでクフ王のピラミッドをモデルに。
・ピラミッド「型」の施設ではなく、目的・構造もあくまでピラミッド。
・河岸神殿を含みます。

と、いうわけで、まずはクフ王のピラミッドのサイズから。
底辺は230mの正方形、高さは建設当時で146.5m。本体だけでこの大きさがあるが、河岸神殿への約650mの回廊も含めると、結構なスペースが必要なことに。

52,900平方メートル

1平方メートル0.3025坪なので16002.25坪
畳のサイズは地方によって違っていて鬱陶しいので計算やめました。
ちなみに一坪は昔の畳の二枚分で、柱と柱の間ひとつぶんのことです。

東京ドームは46,755平方メートルなので、ピラミッドの面積のがチョイでかいくらいってとこ。
阪神ファンの方がいるかもしれないので比較のために書いておくと、甲子園球場は39,600平方メートル。ということは、ピラミッドは甲子園球場の1.34個ぶんなのですな。


【土地を探す】

建設するためには、まずは土地を探さねばならない。
お値段で考えると、坪10万でも16億円也。もはやこの段階で庶民には笑えてくる内容である。
しかし田舎であればあるほど値段は安くなる。
未開拓地! 山奥! 世の中には坪1〜2万という土地もあるのだ。電気も水道も通ってないが(笑)。…施設を建てたあとどうするか、っていうより、工事の人たちの死活問題に直結するような気がする。まぁどのみち工事は長期になるだろうから、ピラミッドの周りに建設作業員の町を作るところから始めなくてはならないだろう。

もちろん土地は連続したものでなくてはならず、一帯を根こそぎ買い占めることになる。
東京ドーム1個以上もの面積の土地を楽に安く手に入れるとするならば、それはもう山奥しか在り得ない。

本場エジプトのピラミッドはナイル河のほとりだったわけだが、日本のピラミッドは山奥に作られてしまうのだ。必然的に。

…なお、万博などで広い土地を確保するときの策として「海岸線・埋立地」というものがあるが、今回これは却下。ピラミッドのような巨大なものを、地盤の緩い埋立地なんぞに作ったら、まず間違いなく沈むだろう…。


【山奥の利点】

さて、山奥にピラミッド造営の土地を確保したとしよう。
そこには、「土地が安価」という以上の利点がある。何がいいかって、まずは日照問題。
そりゃあ、東京タワーやサンシャインよりは低いだろうが、ピラミッドには横幅があるのだ。町中に146.5mもある建造物を作ってしまったら、北側一帯の住宅は日照不足で大問題。ついでに婦人会の皆さんに、景観を損ねると怒られそうだ(笑)

その点、山奥なら無問題。周囲の山で林業が営まれていて木材の発育を気にするというので無ければ、大きな影が出来ても誰も文句は言ってこない。むしろキノコを栽培して一石二鳥。

さらに、ピラミッドの材料を調達しやすいという点がある。
ピラミッドの材料といえば、石。古代エジプトで河べりにピラミッドが築かれたのは、河の上流が良質の石材を産出する石切り場となっていて、そこから船を使って材料を運搬できたからだ。
しかし日本の河川は世界でも稀なほど急で狭いため、たとえ石切り場が上流にあっても、ピラミッド建設に使われるような巨大な石の運搬が難しい可能性が高い。

となると陸路での運搬となるのだが、ピラミッドに使われている石は、大きなもので約4-5tにもなる。トラックで山道を輸送するのは…、出来なくは無いが、かなり大変だ。まずは道の整備から始まる。
エジプト人は何千キロも彼方から石材を切り出して運べたが、そりゃエジプトの国土は平野が多いからだ。山ばっかりで狭い日本で、でっかい石を抱えて北海道から名古屋まで…とか、そんなマネはまず出来ない。隣の山からでさえ、至難の業だろう。

では、どうするのか。答えは一つ。採石場のある山に土地を買い、その山を削りつつピラミッドを建設する。
大ピラミッドには約300万個の石が使われているという。そんなに削ったら山が一個なくなっちゃうじゃないの? なんて心配もこれで解消…山は新たに作られます(笑)

何も石でなくとも、コンクリートで作ってもいいとは思うが、それだと海から大量の砂を運ばねばならず、それはそれで重労働なうえ環境破壊にも繋がってよろしくない。また、コンクリートは実は石より脆いのだ。ヒビが入って、そこから水が入り100年やそこらで崩壊…というのでは、5000年保たせたエジプト人に笑われる。

ここは敢えて、エジプトのピラミッドと同じ石――頑丈な「花崗岩」や、一般的な建材である「砂岩」を使用してピラミッドを建設したいところだ…。

と、いうわけで、日本でピラミッドを造営するのであれば、最も友好な場所選は

花崗岩・砂岩の採石場を作れる山間部

…と、いうことになるだろう。

【河岸神殿】

もちろん、河岸神殿・衛星ピラミッドその他、近辺施設も建設しなくてはピラミッドとは言えない。

ピラミッドには必ず、河岸神殿がくっついている。「ピラミッドは超古代文明が作った宇宙との交信基地」だと言い張ろうが、「ピラミッドは王の墓、もしくは葬儀に関する何らかの宗教施設」と言おうが、とにかく、この神殿が無いとピラミッドのピラミッドたるゆえんが無くなってしまう。
位置関係としては、下図のようなカンジである。





ピラミッドから、ナイル河のある東に向けて長ーく延びている道。これと同じ角度である必要は無いが、参道は、ピラミッドから見て太陽の昇る方向・東に向けて伸ばすのがお約束である。

東のほうに河がある地形というのは難しいかもしれないが、出来れば湖なんかあるとイイかもしれない。


<つづく>


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