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シュウ Shu

古代名:シュウ/ギリシア名:-/別称・別綴り:ヘルメス・アエリオス
性別:男性


――――天地を分かつ秩序の化身

主な称号
天空の四つの風の主人、光なるもの、天空を上げるもの、太陽に道を切り開くもの

主な信仰

ヘリオポリス系の神話において天地創造に関わる大気の神。創世の神アトゥム(またはアトゥム=ラー)によって最初に生み出された二柱の神で、妹テフヌトとともに作り出された最初の性別を持つ神、ということになっている。彼自身の名は「立ち上がるもの」もしくは「虚空」を意味する「シャウイ」に由来するとされ、「シュウ」という言葉は中王国時代以降は「光」を意味する日常語として使われていた。「シュウ」という名は「光る大気」と意訳することが出来る。

光る大気であるシュウは、天と地の間に存在し、「四つの風」とともに大気を循環する存在である。また、太陽の舟の守護者として、太陽の通り道を作るため、天である娘ヌトを大地から押しあげる役目を持つ。 (ゲブ と ヌト の項も参照。) 天地を開闢させ、世界のはじまりを作った神として、秩序の化身でもある。シュウの象徴であるダチョウの羽根は、それ自身が「シュウ」というなで呼ばれ、真実と秩序を擬人化した女神マアトの持ち物とて、死者の魂をさばく死後の審判で使われる。またシュウは、秩序の体現者として、太陽の舟の守護者として、混沌の化身である大蛇アポピスとは敵対する関係にある。

テフヌトもシュウ同様に大気の神ではあるが、天地を切り離すものとしての役目は希薄で、この図に表現されることはほとんど無い。



大気の神としてのシュウは、嵐の神でもあるセトとは対照的に荒れ狂うことは無く、穏やかな大気、生命を育む風という存在である。
ピラミッド・テキストの魂の昇天のシーンに書かれている「シュウの湖」「シュウの骨」という表現は、それぞれ、霧と雲を意味すると推定されている。

なお、妻テフヌトとともに、時折ライオンの姿で表現される戦いの神でもあるが、単独で戦うことはあまりなく、戦う対象も人間ではなく冥界で太陽を邪魔するアポピスなど超自然的な存在がメインだったようだ。


★肩書きにある四つの風とは、東西南北それぞれから吹く風たちのことを指す。以下参照。

ケブウイ(北)
フウジャイウイ(西)
ヘヌキセスウイ(東)
シェヘブウイ(南)

マルクス・アウレリウス帝のローマ軍に公式の祭司として仕えたエジプト人ハルヌフィスは、ローマ軍が水不足に陥った際、ヘルメス・アエリオス(大気の神)に祈り、雨雲を呼び寄せたとされる。この神はエジプトでいう大気の神シュウのこと。これは174年の記録であり、エジプトがローマ属州となって以降も名を変えつつエジプトの神々がローマ支配地域に浸透していたことが伺える。また、エジプト人祭司の存在は、ヒエログリフや古代の伝統がある程度継承されていたことを示している。


神話
・天地創造神話に登場。妹であり妻であるテフヌトとの間に、大地ゲブ、天ヌトを発生させる。

・しかしゲブとヌトがいちゃつきすぎて、間を風が通れなかったので、風の上司であるシュウは怒って二人をひっぺがした。これがエジプト神話における「天地開闢の物語」である。ちょっと微笑ましいような?

・風が吹いたら思い出してください。今日も空で頑張っているシュウのことを…。

聖域
ナイ・タ・フゥト(現在のテル・エル=ムクダム)、またはヘリオポリス周辺

DATA

・所有色―赤、青
・所有元素―大気、光
・参加ユニット―ヘリオポリス九柱神<アトゥム・ラー、ヌト、ゲブ、シュウ、テフネト、イシス、オシリス、セト、ネフティス>(※ヘリオポリス九柱神はメンバーが替わっている場合あり)
・同一化―オヌリス(獅子を連れ戻す神話として)
・神聖動物―特になし
・装備品―自分の名「シュウ」を表す、ダチョウの羽根、ウアス杖



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