主な称号
星々の間に住まうもの、その目で世界を照らすもの、夜の主人
主な信仰
別名には「ホルセムス」もある。「年老いたホルス」とも呼ばれる。
基本的な外見はホルスと一緒。
ハロエリスはエジプト語名はヘル=ウルで、ヘルは「ホル」であり、ホルスのこと。「ウル」は偉大な、年長の、という意味。直訳すると「大ホルス」になる。ホルス神の一形態であり、 発祥年代はかなり古く、成人、もしくは老人としてのホルスである。大地の神ゲブ、天の女神ヌトから生まれた五人の子供たちのうちの一柱だが、オシリスやセトといった他の四柱が有名なのに対しあまり知られていない。オシリス神話には全く絡むことのない神である。(その原因は、そもそもホルスという神自体、オシリス神話とは無関係なところから組み入れられているからだろう。)
ちなみに、オシリス・イシスの息子であるホルスとはしばしば混同され、オシリスとイシスが母ヌトの胎内にいるうちから夫婦行為を行い、同時にこの世に誕生してきた"息子"なのだという異説神話も存在する。
●天空神として
他の"ホルス"名をもつ鷹神たち同様、"その顔は天、その右目は太陽、その左目は月"とされるが、このホルスは太陽の神というよりは「月の」神として、夜空の星星の間に浮かぶものとされた。また、目を癒す力を持ち、眼病患者の信仰対象となっていた。(月の満ち欠けが、瞳を開かせることと通じていたのだろうか)
また、「天と地を分かつもの」という形容詞も持つが、天空神として、母なる天ヌトと父なる大地ゲブの間にあるということを指している。
●境界線上の神として
ハロエリス神は、多くの意味で二面性を持つ神といわれる。オシリス・イシス夫妻の兄弟であり息子でもある(ホルスというおなじ名前を持つことから)ということと、天空に結び付けられた癒しの神でありセベク神などと結びついた戦いの神であるということ。
優しさ・懐の広さから「父」と慕われる反面、残酷さ、厳しさも兼ね備えている。微笑ながらガシガシ敵を殺してそうな神様。この複雑な性格が、その時々で多くの神々との結びつきを生んだのだろう。
さらにこの神の聖域はエジプトの北と南の両方にあり、定期的に往復すると信じられていたようだ。「二つの国」の境界線も越えて、国内を移動する神でもあったという。聖誕祭において、ハロエリスは「北の国を旅したのち自らの都市に再び姿を現すもの」と呼ばれた。普段は旅していて、誕生日になると生まれ故郷に帰って来るスナフキン的な神様だったということか。
この神は、特殊な役割ゆえに複雑な交友関係の持ち主で、蛙の女神ヘケトの同僚だったり、太陽神ラーと懇意だったり、はたまた地方神メヘンティ=イルティと業務を分担したりする。神格の上下関係なしの付き合い方…とも言える。(?)
神話
・固有の神話はあまりなく、大半はホルスと被っている。
・オシリスたち兄弟に組み込まれたのはだいぶ後の時代になってから、と考えられている。
聖域
クース、レトポリス、
コム・オンボ(
セベクと合祀)
DATA
・所有色―
・所有元素―
・参加ユニット― 大地と天の子として<オシリス、セト、大ホルス、イシス、ネフティス>
プトレマイオス朝のコム・オンボ神殿限定ユニットとして、妻
タセントネフェルト、息子
パネブタウィという組み合わせになっている。
・同一化―他のホルス神たち
・神聖動物―隼、鷹、末期王朝時代以降はマングースとトガリネズミも追加。マングースは蛇を狩る者という属性で加えられている
・装備品―