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ハピ Hapy(仏語:Hapy)、Hapi

古代名:ハピ/ギリシア名:ハピ/別称・別綴り:
性別:男性


――――ナイルの恵みもたらすもの

主な称号
水の主人、二つの国に生命をもたらすもの、神と人の父なるもの

主な信仰
ナイル河の神として知られる神。ナイルの化身そのものであり、体はしばしば水の色(青または緑)で着色される。※ カタカナ表記にするとまったく同じになってしまうが、"ホルスの息子たち"と呼ばれる四柱の神の中にいる「ハピ」とは全く別の存在。

●ナイルの化身としてセマァ・タウィ
称号に「神と人の父」とあるが、これは人も神もナイルの恵みなしに生きていけないということも指していると思われる。またナイルの豊かさを表すため、一般に肥満した男性の姿になっている。男性でありながら女性のような乳房も持っているので両性具有を表した可能性もあるが、おなかもだいぶたるんでいるので、贅肉説にとりあえず一票。ていうかほかの女神様たちはこんなに胸たれてないので(笑)

頭に生やしている植物はナイルの象徴であるパピルスの茂み。手のツボから水を放出している姿で描かれたり、ナイルの恵みを手に捧げ持っていることもある。またナイルは上下エジプトを貫いて南北に流れるものであることから、上下エジプトをそれぞれ意味する二人のハピが描かれることもある。

右にある図は「セマァ・タウィ」と呼ばれる。セマァ=統合 タウィ=大地。
二人のハピが下エジプトの象徴であるパピルスと、上エジプトの象徴であるスゲを使って呼吸を意味する文字(肺のヒエログリフ)を縛りあわせているのは、上下エジプトの統一を意味している。同じ図の縛る役目はセトとホルスが担うこともあるが、その場合でも意味は同じ。

>>セトとホルスのVerはホルスの項を参照。


●豊穣の神としてハピ
ハピは毎年起こる神秘的な「増水」の象徴であり、波打つ河の泡を意味する多数の氾濫の精霊たちの頂点にある河の恵みの象徴である。
ナイルの象徴的な水源とされたアスワン付近にはハピの住まう洞窟があり、そこには財宝が詰まっているとされた。
また、セヘール島に残された「飢饉の碑」と呼ばれる碑には、ハピがナイルの増水を引き起こす象徴として登場している。

ナイルの氾濫は上流から肥沃な土を運んでくると考えられた(実際は水自体に肥料の効果はないが)、古来より農業大国であるエジプトにとって重要な自然現象だった。そのためハピへの信仰は広くナイル流域で行われ、ナイルの水位が下がる季節には「ナイルのいいなづけ」と呼ばれる麦穂人形を河に投げ込み、その年の水位が丁度よいところまで来ることを祈願した。(昔は氾濫の起こらない年には生身の娘を投げ込んでいたのでは? という説もある。日本でも古代には水神に人身御供を捧げる風習があったように。)
ちなみに、ハピへの捧げ者を川に投げ込む風習は、アスワン・ハイ・ダムが稼動する前年の1964年まで続けられていたことが確認されている。


神話
・太陽神話やオシリス神話に混じることはなかった。

・人々は、氾濫はハピの神秘的な力でコントロールされていると思っていたらしい。なのでハピは偉大なる魔術の神としても崇められた。

・ナイルの氾濫は「ハピの到来」と呼ばれた。また、ナイルに住む全ての鳥と魚たちの長でもあるという。

・ハピの住まいは、川底にある洞窟で、そこにはハピの財宝が多数眠っているのだという。エジプトの恵みをもたらす、ナイルの氾濫はハピが起こすもの。従って、恵みもたらす神であるハピ自身は、エジプトの国より裕福だと思われたのだ。

・「ナイル賛歌」と呼ばれる一群の呪文は、ハピに捧げられたものである。

聖域
特にないが、自宅があるとされたアスワンや、ナイルが急流となるジェベル=シルシラなどで特に篤く信仰された。

DATA

・所有色―青、緑
・所有元素―水、土
・参加ユニット―のちの時代にソティスとご夫婦に
・同一化―ナイル河。時代が進むと、豊穣の神としてオシリス、ネプラ、セベク、水の神としてヌン、増水の神としてクヌムと同一化した
・神聖動物―特にない
・装備品―水のつぼ、ナイルのもたらす恵みフルセット(穀物、水鳥、野菜、花など)



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