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Aida Story

−アイーダ ストーリー解説−


【第一部 第一場】

古代エジプトの、いずれかの王朝の時。
ファラオはメンフィスに都を構え、戦いを仕掛けて来る南のエチオピアの国に悩まされていた。
「エチオピアがまた反逆した」
この戦いを終わらせることの出来る者は、いずれか? 神官ランフィスは女神イシスにお伺いを立てる。

イシスが選んだのは、ラダメスという若い武将だった。ラダメスには夢があった。何度も戦に出かけ、多くの捕虜を連れ帰ってきた彼の望みは、このエジプトとエチオピアの戦争を終わらせること。そのためには、勇猛で知られたエチオピア王を討ち取らねばならない。そして戦いが終わったなら、さきの戦いで捕虜としてつれてこられ、今は王女アムネリスの侍女として仕える乙女、アイーダを、自由の身にしてやりたい。
だが、そのアイーダは、実はエチオピア王、アモナズロの娘だった。
身分を隠し、敵国の将と、囚われの奴隷として密かに思いあうラダメスとアイーダ。そして、エジプトの王女アムネリスも、ラダメスのこととを思っていた。
アイーダは、ラダメスが出陣すると聞いて、父に無事でいて欲しいという思いと、恋するラダメスに勝って欲しいという思いに引き裂かれる。

【第一幕 第二場】

アイーダは悩んでいた。恋人には勝利してもらいたい、しかし、そのためには故国が敗北せねばならない。
国より恋。彼女は人々とともに神に勝利を祈願する。神々に祈り唱和する声が続き、神々に捧げる巫女の舞いが踊られる。高位神官ランフィスにより、聖なる剣を渡されたラダメスは、「メンフィスの地の聖なる守り手にして復讐なる神の名において」出陣をすることになる。

【第二幕 第一場】

戦いは何ヶ月も続き、ついにエジプトは勝利した。エチオピアにおびやかされていたテーベの町が平和に戻ったという知らせが届き、国中が沸き立つが、父や国のことを思うアイーダは浮かない顔だ。
祝いの出立のため準備をしていたアムネリスは、アイーダが打ち沈んでいることに不安を覚え、ラダメスは死んだと嘘をつき、アイーダとラダメスが密かに思いあっていたことを見抜く。
今や奴隷が恋敵と知ったアムネリスは、王女である自分と張り合うつもりかとアイーダを責めるが、アイーダは自分も王女であるということを隠したまま、私には思うことしか出来ないのだと哀しく歌う。
アムネリスは、アイーダがラダメスを思うことがいかに身分違いか分からせてやると言い、テーベでの祝いの儀式に彼女を連れて行く。


【第二幕 第二場】

ラダメス、勝利の凱旋。テーベでは、エジプトの勝利を祝う壮麗な儀式が行われた。アムネリスは大急ぎでアイーダら奴隷たちを従え出迎えに行く。数々のきらびやかな戦利品、勝利の踊り。国王はラダメスを祖国の救済者として抱擁し、アムネリスが勝利の冠を被せる。
褒賞は思いのままという国王に、ラダメスは、かつての夢である捕虜の釈放を願う。エチオピア王アモナズロが討ち取られた今となっては、もはや戦いは起こらないと思っていたのだ。だが、引き出されてきた捕虜の中には、アイーダの父であるエチオピアの国王もいた。
神官ランフィスは、奴隷の解放は英雄的な行為だが、再び戦になる可能性があると忠告するが、ラダメスは聞き入れない。
結局、捕虜となったエチオピア人たちは解放されたが、アイーダと、アイーダの父(身分を隠しているアモナズロ)の二人だけは残されることとなる。
その上、ファラオは、ラダメスが王女アムネリスの婿になることを宣言した。愛する人が手の届かぬところに言ってしまうことを嘆くアイーダ。そしてラダメスもまた、栄光の苦さに苦しんでいる。
歓喜する人々、勝ち誇るアムネリス。ただ二人、アイーダとラダメスのみが立ち尽くしていた。


【第三幕】

イシス神殿のそば、ナイルのほとり。夜の場面。
神殿の中から、オシリスの不死の母(イシス)に祈る声が聞こえる中、アムネリスは神官ランフィスとともに婚礼前夜の祈りのため神殿に入っていく。それを見て、アイーダはナイル川に身を投じようとするが、そこへ父のエチオピア国王があらわれ、娘に迫る。
ラダメスとの恋仲を知る彼は、娘に、ラダメスから軍の情報を聞き出せというのだ。出来ないと言うアイーダに、王女としてのつとめを果たせと言い残して去っていくアモナズロ。そこへ、何も知らないラダメスが姿を現す。

エチオピア軍が再び勢いを盛り返しているため、婚約を解消し、再び戦場へ向かいたいというラダメス。そして再び勝利したなら、アイーダと父親を今度こそ解放出来るようにファラオに頼む、という。

だが、父がエチオピア王であると知られれば殺されることを知っているアイーダは、自分を愛しているなら一緒に逃げて欲しいとラダメスを説く。自分の国を捨てることに抵抗を覚えるラダメスだが、アイーダに迫られて、つい、一緒に逃げることに同意する。そして、口を滑らせ、軍の配置を教えてしまう。

そこに、隠れていたアモナズロが飛び出してくる。自分はエチオピアの王、そしてアイーダは王女、エジプト軍の手薄なところを聞き出したのだと言うアモナズロに驚き、アイーダに騙されたと勘違いするラダメス。そこへ現れたのは、アムネリスだった。彼女は、隠れて一部始終を見ていたのだった。
アムネリスの「裏切り者!」という叫びがこだまし、衛兵たちが駆けつける。アムネリスに襲い掛かろうとしたアモナズロだったが、ラダメスによって阻止される。アモナズロはアイーダを連れて逃げ去る。
ラダメスはその場でとらえられ、地下牢に閉じ込められる。


【第四幕 第一場】

地下法廷へと続く、宮殿内部。
アムネリスは、アイーダを取り逃がしたことに歯軋りし、ラダメスの裏切りを呪い、それでもラダメスへの思いを断ち切れず彼を連れてこさせる。
しかし、ラダメスは、アイーダが無事に逃げ去ったことを知って喜び、祖国への裏切りは後悔していないという。命乞いはしない、というのだ。アムネリスは胸をかきむしり悩むが、どうしようもない。裁判で生き埋めの刑を宣告されたラダメスは、生きながらにして墓に収められることとなる。
愛する人を死なせてしまうことになったアムネリスは嘆き、後悔の声を上げる。


【第四幕 第二場】

舞台は、神殿内部と地下牢(墓?)に分かれている。
閉じ込められたラダメスは、もういちどアイーダに会いたいと願う。と、そこへ、本当に彼女が現われる。
アイーダはラダメスに抱かれて死にたいと願い、牢にしのびこんでいたのだ。父アモナズロは戦乱の中で討ち取られ、逃げても故郷は戦で荒れ果てている、もう帰る場所はないのだ、というアイーダ。「これで不死の愛が始まる」
二人が抱き合いながら息絶えるとき、巫女たちを連れたアムネリスが現われ、ラダメスの冥福を祈る。



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