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中王朝時代 第12王朝
Amenemhat T
●新たな首都の建造
艦隊を率いてナイル川を渡り、抵抗勢力や南の国境付近のアジア人を制圧。また、メンフィスの少し下流に、新たな首都「イチイタウイ(二つの土地の征服者)」を建造。この都は、以降約400年にわたり首都として機能し続ける。また、さまざまな革命を行い、共同統治というシステムをはじめて採用した。そのため皇太子のセンウセレト1世は父の存命中から活躍している。
太陽神信仰が復活したことにより、この王の治世から、古王国時代と同様にピラミッドが建造されるようになるが、古王国時代の巨大ピラミッドほど豪華なものではなく、内部は日干しレンガなどを使い、表面のみ化粧石で美しく仕上げる、短期間で施工可能な形式だった。
●アメン神への信仰
アメンエムハトはアメン神に絶対的な忠誠を誓っており、この時代から、ラーとアメンとが入れ替わる。(ただし、アメン神信仰が頂点に達するのは、さらに未来の第21王朝のことである。)
アメン神の名には「隠れたもの」という意味があったため、他の神格のうちに存在する本質的なもの、とする哲学的な考え方が生まれ、ラー神と習合させられてアメン・ラーという神に変化する。アメン神が太陽神の属性を持つようになったのは、この時からである。
●王権の簒奪と暗殺
碑文から知れるように、アメンエムハトは、名門の出ではなかった。もし彼がメンチュヘテプ4世の宰相だったアメンエムハトと同一人物だとすると、クーデターによって王権を奪った実力主義者だったのかもしれない。しかし、その彼も、最後には暗殺という悲運な最後を遂げたと考えられている。
暗殺の物理的な証拠はないが、王の死後に作られたと思われる「アメンエムハトの教訓」という、王自身が語ったという形式で書かれた教訓文学の中に、王が殺されたことを示唆する内容がある。また、自伝文学「シヌヘの物語」の中で、王の急死をあらわすシーンが冒頭にある。