北欧神話−Nordiske Myter

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スキールニルの旅(1)

−グレミオ風「坊ちゃん」呼称召使い系バージョン−


スキールニル 「坊ちゃん。一体どうしたっていうんですか。お義母上のスカジ様が心配なさっておられますよ」
フレイ 「放っておいてくれないか。義母上には、なんでもないと伝えてくれ」
スキールニル 「そういうわけには参りません! 水臭いではありませんか。私は幼き日よりあなたに仕えて来た仲です。
坊ちゃん、どうか仰ってください。何があなたを苦しめているのか。」
フレイ 「……。ギュミルの庭を、美しい娘が歩いているのを見たのだ。その娘の腕は輝き、天もくまなく輝き渡るほどだった。」
スキールニル 「その娘ごに、思いをかけておいでなのですね?」
フレイ 「私ほど、彼女に焦がれている者はいないだろう。
だが、アース神も、私の統べる妖精たちも、私が巨人と和解することを望まないだろう。
ああ、私はどうすれば!」
スキールニル 「では私が行ってまいります。その娘に、坊ちゃんの思いを伝えるために。
私に馬と、剣をくださいませ。」
フレイ 「すまない、スキールニル。…頼んだぞ」
こうしてスキールニルは、フレイのために求愛の死者となって巨人族の国へと馬をすすめた。
フレイの与えた馬と剣は、どちら魔法の力を持つ、特別なものだった。
ゲルズ 「何なのかしら、この、地響きの音は。何かが家に向かってやってくる。ギュミルの庭中が、震えているわ」
侍女 「男がひとり、外に来ています。でも見たことの無い男ですわ。旅人でしょうか…。」
ゲルズ 「客人であることに違いはないのでしょう? それなら、中に入って蜜酒を召し上がってもらいなさい。
ようこそ、旅人よ。あなたは一体、何をしにこんなところまで?」
スキールニル 「私の仕える主人より、ゲルズ様、あなたへの贈り物をお持ちしたのです。
ここにある林檎を差し上げましょう。その代わり、あなたが、主人フレイ様の求愛を受け入れられますよう」
ゲルズ 「フレイですって? いいえ。私は林檎を受け取りはしません。私は、あの方とともに住むことは出来ない」
スキールニル 「お気に召さないようですね。
では、オーディンの息子バルドルとともに焼かれたかの腕輪、ドラウプニルを差し上げましょう。これでいかがです」
ゲルズ 「遠慮させていただきますわ。私には、林檎の若さも、ドラウプニルの富も必要ない」
スキールニル 「なぜ、求愛を拒むのです。あのフレイ坊ちゃんが、あなたにお目をかけていらっしゃるのですよ」
ゲルズ 「相手が誰であろうと、私は求愛を受けるつもりは無いわ。」
スキールニル 「(ムカ)私の手にしている剣が目に入りませんか。承知なさらぬなら、あなたの首を切り落としても良い。
魔法の杖であなたを打って人前にでられぬ姿に変えてもよい。あなたのお父上も、命を落とすだろう。
頭の三つある巨人を夫とするか? それとも、永遠にひとり身で過ごすか。
フレイの求愛を拒む者に良い未来など存在しない!」
ゲルズ 「そんな…。無体な…。」
スキーニル 「坊ちゃんのために手段は選ばない。坊ちゃんはあなたを焦がれて死にそうなのだ。」
ゲルズ 「…分かりました。
よもや、この私が、ヴァン神族のひとりのものになろうとは、思ってもみなかったけれど。
祝福の杯をお受けください。そして、もどって、あなたの主人に伝えて。
ゲルズの娘は、9夜ののちに、バリの森にゆきましょう」
スキールニル 「お伝えしましょう。あなたにも、祝福のあらんことを」
こうしてスキーニルニルは使命を追え、フレイのもとに戻った。
フレイは家の前でいまかいまかと待っていて、戻ってきたスキールニルにすぐさま尋ねた。
フレイ 「スキールニルよ、守備はどうだった。彼女は、私の求愛を受け入れてくれただろうか」
スキールニル 「もちろんです。坊ちゃんを拒む女性など、いるものですか(にっこり)。
彼女は、9夜ののちにバリの森であなたと会うそうです。」
フレイ 「そうか…。ありがとう、スキールニル。ああ、その夜が待ち遠しく、なんと遠いことか」
End.


ーーちなみにフレイは、のちのちロキに、このときのことをネタに「妻を買った」と罵られ、
世界の終末の戦いでは、スキールニルに武器をやってしまったせいで素手で戦わなくてはならなくなる。
いろんな意味で代償の高くついた求婚である。


◎このスキールニルの性格ポイント◎

・坊ちゃんのためなら、どんな危険も厭わない。(危険な巨人の国へだって単身レッツゴー!)
・坊ちゃんを苦しめる者は、何者であれ許さない。
・坊ちゃんの敵は、どんな手段を使っても倒す。
・グレミオなのでシチュー料理が得意。(ニョルズが離婚してアスガルドへ来た後、スカジと再婚するまでの間、フレイとフレイヤを育てたお母さん代わりだったりすることを予想)
・しかし実力は伴わないため、ストーリー中盤でさっくり死んでしまったりなんかしちゃったりして、イザというとき(ラグナロク)には戦力に入ってない。ダメじゃん!

※「グレミオ」とは、幻想水滸伝というゲームのキャラクターです。ネタわかんない人、スンマセン。^^;


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