北欧神話−Nordiske Myter

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オーディンの箴言 81〜100


【81】
オーディン;
夕方になってから昼を誉めるべきだ。(死んで)焼かれてから女を、ためしてから剣を、嫁にやってから娘を、渡ってから氷を、飲んでしまってから麦酒をほめるべきだ。

ロッド;なんか誉めてから失敗したことがあるみたいですねえ。

オーディン;わしも昔は甘かったのじゃ…。

【82】
オーディン;
風の吹くときに木を切り倒せ。天気のよいときに海に漕ぎ出せ。女とは暗闇で話せ。昼の眼は多い。船にはスピードを、盾には防御を、剣には一刀両断を、娘には接吻を要求せよ。

ロッド;何か、他の部分がぜんぶつけたしで、真髄は女の扱い方にありって気がするのはオレだけですかね。

オーディン;そういう無粋なことは言うものではない。(照)

【83】
オーディン;
麦酒は火のそばで飲め。氷の上は雪靴で滑れ。痩せた馬、錆びた剣を買え。馬は家の中に、犬は小屋の中に飼え。

ロッド;すっごくケチくさい生活ですね。

オーディン;神でも質素倹約はできるのだ。

【84】
オーディン;
娘のことば、女の言うことなど信用するな。彼らの心は、回転する輪のように作られていて、移り気が胸に巣食っているのだ。

ロッド;男はいつまでも心変わりせず昔のことをウジウジ言いやがります。

オーディン;どっちもどっちじゃな。

【85】
オーディン;
折れそうな弓を、燃えさかる炎を、口を開けた狼を、鳴く鴉を、うなる豚を、根の無い樹を、たかまる波を、煮えたぎる鍋を、

【86】
オーディン;飛ぶ槍を、砕ける波を、一夜で張った氷を、とぐろを巻いた蛇を、花嫁の床の語らいを、折れた剣を、熊のたわむれを、王の子を、

【87】
オーディン;
病気の仔牛を、わがままな奴隷を、巫女の親切な言葉を、倒れたばかりの戦士らを、

【88】
オーディン;
はやく種をまきすぎた畠を、誰も信用するな。息子にもあまり早くから信頼をおくな。畠は天候次第、息子は分別次第だ。どちらも頼りにならぬ。

ロッド;ちなみに、自分だけは信用しててもいいわけですか。

オーディン;それも、分別しだいじゃな。

【89】
オーディン;
道で出会っても、兄弟殺しを、半焼けの家を、早すぎる馬を---馬は片足が折れたら使い物にならぬ---信用するほど信じやすくてはいけない。

ロッド;どんなことがあっても、「まぁそういうこともあるさ」って思えば、ヘコまないってことですね。

オーディン;心から信じていたものに裏切られるよりは、疑っていたものに裏切られるほうが納得がいく。

【90】
オーディン;
不実な女の愛というものは、元気のいい二歳駒の人に馴れぬのを、つるつる氷の上で滑り止めもつけずに乗り廻すようなものだ。また、舵の無い船で強風の中を行くようなものだ。また、雪融けの山で、ちんばに素手で馴鹿を捕まえさすようなものだ。

ロッド;滑って当たり前、転覆して当たり前、捕まえらんなくて当たり前…か…。世の中シビアですよねえ。

オーディン;にもかかわらず、愚か者はそのアタリマエが分からず痛い目を見るのだ。

【91】
オーディン;
わしは男も女も知っているゆえに、ざっくばらんに語ろう。男の女に対する心は移り気なものだ。不実な心を抱きながら、われわれは口先だけきれいなことを言う。それで賢い人の心も騙される。

ロッド;なんか昔、イヤなことでもあったんですか。

オーディン;ふ…。北の海に涙した、あの若かりし日々の潮風が心に染みる…。

【92】
オーディン;
女の愛を得んとするものは、きれいごとをいって贈り物をし、女の美しさを誉めよ。お世辞を言うものは首尾よく行く。

ロッド;って、神が口説き方教えてどーするんですか。

オーディン;ふはは、わしも昔はアスガルド一の美青年だったんじゃぞい♪

【93】
オーディン;
他人が恋するからといって咎めてはならぬ。馬鹿げたことには手を出さぬ賢い男でも、欲望をそそる美貌に手もなくとりこになることは多い。

ロッド;あぁ、マジメ君ほど道を誤るときは急転直下ですよねぇ。

オーディン;なんじゃ、その目は。これは自分の話ではないというに。

【94】
オーディン;
多くの人に降りかかることで、人を咎めてはならぬ。人の子にあっては、燃え盛る恋心が賢いものを愚か者に変える。

ロッド;咎めてませんって、別に。

オーディン;…ほんと?

【95】
オーディン;
胸の思いを知るのは心だけ、自らを慰めるものも心だけだ。賢い人にとって、何も満足できぬより悪い病はない。

【96】
オーディン;
葦の中に坐って愛人を待っていたとき、わしはこのことを知った。賢い娘はわしにとり体であり心であった。それなのに、わしは女をものにできなかった。

【97】
オーディン;
太陽のように美しく輝くビリングの娘がベッドの上に寝ているのを、わしは見た。このような娘と一緒に暮らすのでなかったら、王侯の幸せもとるものに足りぬ、とわしには思えた。

ロッド;…やっぱ分別無いし。女がすべてですか。

オーディン;タワケ。美しいおなごがおったら口説くのが男の礼儀というものじゃ。

【98】
 「オーディンよ、もし、わたしと語らいたければ、夕方お出かけくださいませ。このようなはしたないことが人に知れましたら、災難でございますから。」

【99】
オーディン;
深い考えもなく、思いはかなえられるものと思って、わしは引き返した。女の心と楽しみのすべてを手に入れなければ、と思っていたのだ。

【100】
オーディン;
頃あいを見て来てみると、兵士たちがいっせいに見張りについていた。手に手にかざした明るい松明で、わしの忍んでいく道はあかあかと照らし出されていた。




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