■フィンランド叙事詩 カレワラ-KALEVALA |
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まず語らなければならないのは、現在手にしているところの「カレワラ」は、過去に何度か書き直された上に成り立っている、という
ことです。
エリアス・リョンロットが最初に書いた、俗に「原カレワラ(Alku-Kalevala)」と呼ばれる作品…、もとのタイトルが「ワイナミョイネンの民詩集」と、いう、これは未発表のままに終わっています。
この原カレワラをさらに歌の採集を重ねて書き直したものが「古いカレワラ(Vanka
Kalevala)」、もとのタイトルが「カレワラ・フィンランド民族太古よりの古代カレリア民詩」と、いうものです。
この、「古カレワラ」は、1835年2月28日に発刊されました。フィンランド人にとって、失われていた民族のアイデンティティが取り戻された記念日でもあります。
現在でも、この日には「カレワラ祭」という、盛大なお祭りが催されているといいますから、当時のインパンクトは、かなりのものだったのではないでしょうか。
けれど、この時点では「カレワラ」には、まだ欠けている部分も多くありました。
リョンロットは、さらに専門性を高めるためエウロパエウスなどの学徒の助けを借りつつ、各地からさらに詩の採集を続けます。
その結果、クッレルボ・サイクルなどで欠けていた部分の歌が付け加えられ、1849年に、現在のような形のカレワラ、「新カレワラ(Uusi
Kalevala)」が、誕生するのです。
古カレワラから新カレワラまで、約14年。リョンロットが詩の採集を始めてから、20年以上の歳月が流れていました。
なお、新カレワラが完成するまでの編成過程は、以下のようになっています。
※上の図は、岩波文庫の「フィンランド叙事詩 カレワラ(上)」から、ほぼそのまんま写したものです。
だんだん増えていってるのは、見ておわかりになると思いますが、最初の段階では、クッレルボ・サイクルやサンポ・サイクルが見当たりませんね。
また、「新カレワラ」ではイルマリネンの結婚式シーンの一部に使われているだけの結婚歌謡が、独立しているのも面白いものです。
と、いうのも実は、結婚歌謡は、それだけで膨大な種類と量がある、非常に大きな研究分野のひとつだからなのです。
これらはカンテレタルといって、カンテレの伴奏で歌われる、悲しい意味合いの歌です。「花嫁は住み慣れた家からひきはなされ、云々」など、結婚式という祝いの場面にはふさわしくないようなセリフも、たくさん入っています。
このような歌を「哀泣歌」と呼び、歌われる場所によって、葬儀・婚礼・戦場の3つの種類に大別されます。
単に物語だけではなく、生活の一環としても歌われるものだったからこそ、歌は、幾たびも時代の波にもまれながらも消えることなく、伝えられていったのかもしれません。