■シャルルマーニュ伝説 |
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つっこみルネッサンス
物語は、女勇者を主人公に迎えてあらたにスタート。
リナルドが上司の命令で援軍を集めにイングランドへ向かっていたその頃、リナルドの妹・白の女騎士ブラダマンテは、一人、見失った恋人を探してさすらっていた。
「ああ、あの人はいずこ。まだお名前しか聞いていない(それで相思相愛)。召還命令など聞いていられないわ。私は、あの人にもう一度会わなければ」
…でもさ。今、フランスがヤバいんですよ。
自分とこの国がなくなりそうだってェのに、主力の騎士たち全然お構いなしだよ。仕事しろよ…
何といってもルネッサンス期の作品ですからね、コレ。
フランスどうでもいいと思ってるイタリア人とかが書いてますから(笑)
馬に乗ってテクポク行くうちに、ブラダマンテが出会ったのは、打ちひしがれている一人の騎士。騎士の名はピナベルと言った。
「どうしたんですか」
「許婚が攫われてしまったんですよ…翼の生えた馬に乗る魔法使いに…。」
騎士は傷ついて、ヤル気をなくしていた。
「それで、通りかかったセリカンの王、グラダッソとムーア人ロジェロ殿に助力を仰いだのです。しかし、お二人とも魔法に負けて連れ去られてしまいました」
「!!…なんですって」
囚われるのは、お姫様とは限らない(笑)
「なんてこと。私が行って助け出さなくては。…あなた、そこへ案内して頂戴」
「いいでしょう。最も大切なものを失った私にはもはや、生きていく気力もない。だがあなたが危険な目に遭っても、私を恨まないでくださいよ。」
すげーー投げ槍ーーー…。
と、そこへ、召還命令を持った使者が、ブラダマンテに追いついてきた。
サクリパンにブラダマンテの名を教えた、あの使者だ。
使者が国に帰れと言ってるのに、ブラダマンテは帰ろうとしない。自分には、助け出すべき恋人がいる…。
このやりとりを横で聞いていたピナベル。ブラダマンテが、自分の宿敵クレルモン家の者だと気がついた。
ピナベルの家はマイエンス家。クレルモン家とはずっと昔から仲が悪い。と、いうかマイエンス家が一方的に恨んでた^^;
彼は思った、コイツがオレの家系を知ったら、殺されるかもしれない…。(被害妄想です)
殺られる前に殺れ。
あんた攫われた許婚助けるのはどうなったんだよ、もう生きる気力も無いとか言ってたじゃんよ? …と、いうツッコミも無視してピナベル大暴走。
まずブラダマンテを偽の道を案内し、岩山の上にいざなった。
そこには深い洞窟があり、まずピナベルが覗き込む。
「何があったのだ?」
「それが。ひとりの高貴に見える少女が、涙を流していたのです。私が助けようとする前に、洞窟の奥から悪党どもがやってきて、少女を攫っていってしまいました。山賊どもに攫われた、いずこかの令嬢やもしれません」
「何だと!」
こういうことをほっとけないのが、ブラダマンテ。兄ちゃんのリナルドともども、徹底的にお節介。
洞窟の中を確かめようと身を乗り出し、太い木の枝を命綱に、ピナベルに端を持っているよう言って、そろそろと洞窟の淵に足をかけたのが運の尽き…。
「かかったな…」
「?」
「死ね!!!」
ピナベルは、命綱の手を離した。信用して体重を預けきっていたブラダマンテは、深い洞窟の闇の中にまっさかさま…!
「ふん…憎らしいクレルモン家の人間め、オマエたちが全員、この穴の中に転がり落ちればいいのに」
そんなだから、あんたの家系は嫌われるんだっつの(笑)
ブラダマンテを始末したものと思い込んだピナベルには、もはや攫われた許婚なんかどーでも良かったらしい。
宿敵を退治してスッキリしたらしく、そのまんまとっとと家に帰ってしまったそうな。
これでブラダマンテがあっさり死んだら大変なことになる。
しかし物語はまだまだ、終わらない。RPGのお約束どおり、ブラダマンテは生きていた。そしてピンチの時こそチャンスの時。
転がり落ちた洞窟は、広く、薄明るく、地下寺院のようだった。
「…ここは…」
「ようこそ、ブラダマンテよ。お聞きなさい、ここへあなたを連れてきたのは天の意思、あの若者のせいではありません。」
現れたのは裸足の巫女、洞窟の中には厳しい祭壇が置かれている。
「偉大なる魔法使い、マーリンの霊がわたしに告げたのです。この洞窟はマーリンの作りしもの。彼が一生を終えたのは、この場所なのです」
「おお、あの高名なるマーリンが。では、ここはマーリンの墓標…」
「そうです。彼は最後の審判の時が訪れ、天使のラッパが鳴り響くまで、ここに横たわっているのです。」
いやー、ちょっと待てよ、いろいろツッコミも入れたいけど、まず、ここってイタリアじゃなかったですっけ(笑)
マーリンが敬虔なるキリスト教徒になってるし。
モルガンは出るわマーリンは出るわ、まさにRPGなみのちゃんぽん具合だ…。
「おいでなさい。マーリンがあなたに語ります」
巫女(尼僧)に付き添われて、ブラダマンテはマーリンの墓の前に立つ。
墓石がカタカタ動き、その下からマーリンの声が響き渡る…。
心霊現象です。
「おお、汝、イタリアの栄光、未来の英雄たちの母よ。汝の計画が巧くいくように。
そなたはロジェロと結ばれるよう定められている。そしてそなたたちから優れたる英雄たちが生まれ、祖国の栄光を取り戻すのだ!」
(※祖国っていうのは、フランスではなくイタリアのことね。^^;)
すごい。すごいよマーリン。
アンタいつからイタリア人になったんだ。しかも、縁結びまでやるなんて…!(笑)
やりすぎだよ、アリオスト。
「と、いうわけで、わたしはマーリン様のご意思を代行すべく、あなたにお力を貸すことになりました。」
すかさず巫女が隣にスタンバイ。(今のマーリンの言葉は彼女の腹話術ではなかったのか…)
「わたしの名はメリッサといいます。運命に定められたとおりにあなたがたを結びつけ、イタリアの栄光を実現させなければ」
「……。」
「ロジェロを取り戻すための方法を教えましょう。おいでなさい」
かくてブラダマンテは、メリッサというゲストキャラを仲間にし、洞窟から抜け出したのだった。
[次回はいよいよ、女勇者ブラダマンテが魔法使いの城に殴りこみ。]